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第十話「私ってなんなの!?」

 私はマルスから残念な知らせを受けた

 名案だと思ったのだ

 多重人格は強烈なストレスから逃げることで発生する障害

 でも私はそんなストレスからは無縁だった

 そこで除霊を思いついたのだ

 彼は幽霊で私にとりついた

 そう思ったのだ

 でも除霊は失敗した

 もううつすべがない


 私は重い足取りで学校に向かった

 2-Cクラスへ向かう


 道行く先にはヤンキーどもが待ち伏せしていて

 ”師匠、今日も稽古お願いしやす”と意味不明な発言をしていた

 私は謝ってその場を走り去った


「姫子、今日は暗いねどうしたの?」

「皐月、放課後話があるけどいいかしら?」

「ええ、いいけど」


 最近屋上でよく女子たちに告白される

 分かってる

 全てあいつのせいだ


 放課後

 私は皐月を連れて学校の裏庭に出た


「どうしたの? こんなところに呼び出して」

「実は……」


 私は皐月に全てを話した


「そうだったんだ、私も思ったんだよね、姫子ってキャラ作るタイプじゃないし」

「彼のせいで……彼のせいで私の人生は……」


 私は泣き出してしまった


「もう泣かないでよきっとなんとかなるって」


 そう言って皐月は私を抱きしめてくれた


「ありがとう皐月、親友であるあなたに話せてすっきりしたわ」

「それは良かった」

「皐月も協力してくれる?」

「でも私はその姫子がマルスになったときの姿、好きだわ、博学でキリッとしてておまけに喧嘩も強い」

「もう! 皐月までそんなこと言わないでよ!!」

「ごめんて、姫子は本当に悩んでるんだよね」


 家に帰ると私は早速お母さんに病院に行きたいと意思表示をした

 お母さんは了承してくれた


「先生、私困ってるんです」

「確かに、そう日に日に人格が変わっては困ることもあるだろうね」

「どうかお願いします、私の病気をどうにかしてください」

「分かった」


 医者は私の言葉に頷くと

 マルスになったときにまた来てくれるよう告げた


 夜

 私はいつものようにノートを取り出し

 それを開きページに文字を綴る

 それが終わるとノートのそのページを開いたまま

 机の上に置く

 そして眠りについた




















 朝

 俺は目が覚める

 携帯で日付と時刻を確認しつつ

 机の上に目をやる

 いつもどおりだ


 俺は早速ノートの内容を確認する


「おはよう、マルス」

「おはよう姫子さん」

「除霊……失敗したんだね」

「はい、誠に残念でございます」

「今日友達に全て打ち明けたよ」

「ほう」

「友達も協力してくれるって」

「それは良かったな」

「あと病院にも行った」

「ふむ」

「先生が私がマルスになったときにここに来るようお願いしたわ」

「そうか、まあ仕方ないな」

「話は以上よ」

「……」

「P・S私の体で余計なことをしないでちょうだい!!」

「そう言われてもなあ」


 これからは俺は病院にも通う必要があるだろう

 まあ当たり前だ、これは多重人格

 病気だからな


「さてと、支度支度」


 俺の一日が始まる


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