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いち

「ほうら、見てご覧。とても、綺麗だろう」

うん!すっごく素敵!キラキラ光って、まるでお母様が見せてくれた宝石箱を覗いているみたい!

「母様か…。あれもずいぶんと宝石が好きだったな」

お母様はまだ、帰ってこないの?

「……。お前もいつか、この村を守っていくんだ。私のように」

お父様のように?

「ああ、そうだとも。可愛い私の宝物。どうか、幸せになりなさい」

…どうして、そんなことをいうの?どこかへ行ってしまうみたい。

「そんな顔をするんじゃない…、決心が鈍ってしまうだろう」

どこにいくの?待って!嫌!行かないで!

「じゃあ…。そろそろ時間だ。領主の娘として、相応しくありなさい。心配はいらない。私がお前を…皆を守ってやるから」


やだやだやだ!なんで?なんで?

お母様もお父様も、どうして私を置いて行くの!!!

一人にしないでっ……!!




私の母は、この時既に他界していました。幼い私には、本当のことは知らされていませんでしたが…。そして、父もこの日を境に行方がわからなくなります。父は黒い服を着た男と共に、馬車に乗っているのを次の日目撃されていますが、今のところ生死も不明です。




エルミリィ・アルシオン。


アルシオン領主を父に持ち、貴族を母に持つサラブレッドにして、天涯孤独故、10歳にしてど田舎の小さな村に君臨する女領主…。


えっと、どちら様のことでしょうか?





どうも、エルミリィです。


まぁ、天涯孤独の身の上とはいってもですね、ひとりぼっちというわけではないのです。まだまだ子どもですからね!誰かいないと生きていけません。

そんな私のそばにいてくれるのは、まず執事のボート。普段は農夫をやっていますが、お客様がいらしたときは執事として領主の私を助けてくれます。まぁ、いってしまえば悪知恵を授けてくれるというわけです。

それから、乳母のメリーヌ。乳母とはいってもまだ三十いくつで、充分若くて綺麗です。家事やらを手伝ってくれています。彼女のご飯は絶品ですよ。

そして、最後に私の姉的存在、アリューシャ。メリーヌの娘で、まあ乳姉妹というような感じです。美人で、機転がきいて、賢くて、おまけにめちゃめちゃ優しいのです。真っ直ぐな黒髪は、彼女の心根の正しさを表していて、青い瞳は彼女の清廉さを表しています。とにかく、アリューシャの良さを挙げたらキリがないので、おいておきますが、そこは良いのです。

つまり、私には、強力な三人の味方がいるということ。そして、私は三人が大好きだということ。


それが、大切なことです。

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