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まずは自己紹介でしょうか

久しぶりの再会なのだから、お茶でも飲みながらお話をしてはどう?という母様の提案によりお茶会中なのですが・・・なのですが・・・私はどうしてここに座ってるんでしょうか?

母様がお茶の用意をする為にキッチンに向った時は確かにソファに腰を下ろしたはずなのに・・・

ガーディによって「この方が話しやすい」と膝の上に乗せられてしまいました。


いや!この方がどう考えても話しにくいでしょう!


「おろして~~!!」


と、足掻けば、余計に羽交い絞めにされてしまいましたよ。


「あら。仲良しね」


お茶の用意を手に戻ってきた母様ですが助ける気は無いようです。

もうこの状態なのは諦め、お茶にするしかないようですね。膝にお茶でも零してやろうかしら。


「え~と、改めて自己紹介しないとね。今は、アルシャン国伯爵クラウス=フィールゼンとリステリア=フィールゼンの娘、ユリアナ=フィールゼン。5歳になりました。」


もしかすると、ガーディは知ってるかもしれないけど、一応ね。

しかし、ガーディの膝の上に横向きに座らされているのだけど、それでも少し見上げる形でしか話せないので首が辛いです。


「そうか、ユリアナって名前なんだ。なんだか不思議なものだよな。見上げていたはずのユリがこうして腕の中に入ってしまう位に小さくて、俺よりも年下なんて」

「私も不思議。あの、やんちゃだったガーディがこんな立派な青年になってるんだもん。・・・というか50年だよねっ?!50年は経ってるハズよね?!なんで青年なの?!なんでそんなに若いわけ?秘訣は何?アンチエージング?!いやっ、それにしては効きすぎてる。情報操作なのか?あれから実は10年しかたっていませんでした。とかそういう事なのかっ?!」


ああ、いけない、興奮してしまいました。

だって、こんなに若いのはおかしいでしょ。

・・・いえ、一つだけ要因となる事を私は視た・・・のだと思う。

・・・それでも、そうであって欲しくないから・・・言葉は別の事ばかりついて出てしまう。


「心配しなくても50年は経ってるよ。賢いライナスのおかげで漸くユーテリアス国も落ち着いきたしね。俺が若く見えるのは、う~ん、ユリはあんまり聞きたくないと思うけど・・・これも“陣”の力によるものだよ」


-----やはり、のようです。

私の表情に気付いてか、ガーディは少し困った顔をしながら。


「ユリにも関係してくるから、詳しく話さないといけないんだけど・・・」


ドドドドドドドッ-------


なんですか?!今の音、何かが階段を転げ落ちてきたような。

と思ったら、居間のドアが勢いよく開かれ父様が雪崩れ込んできました。

父様、今まで2階の廊下で気絶したままだったのですね・・・ごめんなさい。


「ユリアナ!!違うんだよ!父様はただ心配で心配で~~~~!」


一直線にこちらに向ってきます。


「決して覗こうとしたのではなくて----------どちら様?」


私達の間近に来てようやく父様はガーディの存在に気付いたうようです。

みるみる父様のお顔が険しくなっていきます。ああぁ、娘が見ず知らずの男の膝に座っていたら父親は心中穏やかではないですよね。


「はじめまして、義父上殿。私はガーディ=トルクスと申します。ユリアナ嬢と結婚の許しを賜りたく、ユーテリアスより参りました」


私を膝から降ろすと立ち上がり右手を胸に添え、腰を折り、父様に向かい挨拶をします。

ちょ~と待て!ガーディ!

いきなりソレですか?まだソレって継続中だったの?


「けっ・・・・けっけっけっ・・・けけっけこん!」


父様、『け』が多いです。


「ええ、出来れば、ユーテリアス国に連れて行きたいと・・・」

「駄目だ!他国へ嫁ぐなんてとんでもない!許さんぞ!ユリアナは何処にもやらん!!」


いや・・・まだ求婚を受けてませんから!

それにまだ5歳で結婚も何もないでしょう・・・いや、貴族社会では5歳くらいで結婚決める事があるのか?


「とにかく、娘が欲しければ私を倒してからにしてもらおう!」


父様!落ち着いてください!

いつの間に帯剣なさってたんですか?!

家の中で剣を抜こうとするのは止めてください!

-----あ、父様が固まりました。

母様の魔術の縄が父様を縛り付けているようです。


「まあまあ、旦那さま。結婚とは当人同士が決めるもの。周りがとやかく言うのは褒められた事ではありませんわ」


笑顔で父様の体をぐいぐい締め上げておりますが、その縄の構築って・・・鋼ですよね。

変形させてかなりしなるようになってるようですがそんな物で父様を縛り付けてよろしいんですか?


「ユリアナ、ここでは落ちついてお話が出来ないようだから。ガーディアル様を客間に御案内して頂戴。お泊り出来るように整えてありますから、二人で今後の事はお部屋でゆっくり話し合うといいわ」


まさに聖母の頬笑みで私達を2階へと促しますが、父様は床に転がり蓑虫状態になってます・・・いいのでしょうか母様。





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