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魔術はやはり恐ろしいようです

「まあ、とっても面白い人形劇だったわぁ。ユリアナってばドラマチックな人生送ってたのね」


私と共にガーディの寸劇を見ていた母様のセリフに脱力です。

・・・・おもしろかったですかぁ?

いやいや、当事者でなければこれはこれでいいのか?


まあ、結婚云々はとりあえず置いておいて(アラート先生との授業で身に付けたスルースキル発揮です!)、それよりも、ガーディの腕・・また血が滲んできているようです。

出血が止まらないのでしょうか・・・


「ガーディ、腕見せて、また血が滲んできてる」

「ああ、これくらい大丈夫だよ。俺の体、特殊だから、魔術効かないし、この出血も3日すれば止まるから其の侭ほっとけばいいよ」



3日も出血が止まらないって、どんな体じゃ~~~~!!

しかも、何故そんなにケロッとしてるの?

慣れ?慣れって何ですか~!そんなのに慣れちゃ駄目デショ!!


とりあえず傷口を見せてもらいましょう。

さあ、服を脱ぎなさい!

ああ、こういう時子供の体は不便です、手は届きにくいし力も無いから脱がせにくいったらないですよ。


あれ?なんか生温かい視線を感じます・・・

・・・母様、なんなんですかその目は。


「ユリ、積極的なのは嬉しいけど御両親の前でそれはちょっと令嬢としてはまずいんじゃないか」


はい?そんな頬染めて微笑まれても何のことか…

只今の我々の恰好は胡坐を組んで座る青年のシャツを向かい合って立ち、必死で引き剥がそうと抱きつく幼女の図・・・・である。

いや!別に抱きついたんではなくてですねぇ!服を脱がそうと・・・あれ?それもアウトですか?


「いいから!服を脱ぎなさい~~~!!」


いつの間にやら腰にまわされた手を叩き落としながら叫べば、ガーディは渋々ながら上着を脱ぎ始めました。

初めから素直に脱げばこんな手間は無かったんですよ。



上半身にまかれた包帯からは所々血が滲み、白い布を赤く染め上げていた。

かなりひどい怪我のようなのにガーディは平気そうに飄々としている。

包帯が巻かれているガーディの体は無駄な肉の無い鍛えられた体で、思わず見惚れてしまった。

当たり前だけど、子供の頃の体とは全く違っているものだから不思議。


傷口に注意しながら、丁寧に包帯を外していきます。

両腕全体と肩、胸に腹、本当に全身包帯だらけなんですね。

包帯の下から現れたのは無数の切り傷、傷口の大きいモノから小さいモノまでそのどれもが深く切られていて血が滲み出ています

肩の包帯を外そうとした時、ガーディの体がわずかに揺れた。

アレ?痛かったですか?

包帯の下から現れたのは傷ではなく・・・・“陣”だった。


私の胸に刻み込まれているモノと同じ大きさ、文様の“陣”。

ガーディの両肩、それに前を向いているので気付かなかったけど背中にも同じものがある。


「ガーディ・・・これ」


自分でも声が震えているのが分かります。

何故、ガーディの体にもこの“陣”があるの?


「あの時の“陣”だよ。俺たちにとっての力であり、----呪い」

「のろい・・・って」


向けられた瞳は酷く沈み、私はそれ以上問いかける事が出来ませんでした。

----違いますね、私が聞く事を拒んだのです。

聞く事が怖くて、ガーディが何か言う前に話を逸らしました。


「とりあえず、その傷を何とかしよう」


母様は『癒し』が効かないと言っていたけど、私の『癒し』はガーディには効く気がしている。

不思議と確信があった。

心を落ち着け、己の魔力に集中する


「両上腕及び前腕、側腹、両大腿及び下腿-----縫合」


私の手から金色の光の糸が現れ傷口を縫いあげていく。

糸で縫う行為ではあるけど魔力で縒った糸である為、ガーディに痛みは無いようだ、見る見る縫いあがってゆく傷口を興味深そうに覗き込んでいる。

縫合の終わった金の糸は皮膚に溶け込むように拡がり消えていった。

すべての縫合が終わると皮膚は傷一つない状態になった。


「凄いな、やっぱりユリの魔術は効くんだ」


綺麗になった腕を見ながら小さく呟き、クスリと笑った。


「ありがとう、ユリ」

「べっ・・・別に大したことじゃないから。それより、なんでそんなに傷だらけだった訳?」


あらたまってガーディにお礼を言われて焦ってしまいましたよ。

その笑みに少しだけドキッッとしたのは内緒です。


「ああ、漸くユリの気配を感じ取れたから、早く会いたくって時空魔術を使った」

「時空魔術・・・?」


そんな魔術あったっけ?魔術に関してはかなりアラート先生に詰め込まれたから色々知っていると自負してるつもりですが聞いた事ありません。


「一般的な魔術じゃないよ。多分使えるのは俺だけ」


私の疑問に気付いたのかガーディが説明してくれます。

50年前に得た力、(建国記に書いてあった力ですね)によって使えるようになった魔術だそうだ。


「ただ、この魔術は不安定な時空間の中を通るから、歪みに生じて出来た真空の刃に切り刻まれてしまうんだよなぁ。今までは物体を何度か送った事あるけどボロボロになっちゃって・・・自分を送るのは初めてだったけど上手くいって良かったよ」


良くないです~~~!!

そんな危険な魔術使わないでくださいっ!!

下手したら命の危機です!

尋ねてくるのなら地道に馬車で来てください!





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