目が覚めて、現れたのは・・・でした
気付くと私は自室のべットの上でした。
母様と父様に心配そうに見つめられながらの目覚めにちょっぴり恥ずかしいですね。
「ユリアナ、大丈夫かい?丸一日眠った状態だったから心配したよ」
「魔力を使いすぎたのでしょうね。もう少し眠る?それともお腹がすいてるかしら?」
『ぐぅぅぅ~~~~』
父様、母様の言葉に急に空腹を訴えてくる自分のお腹に脱帽です。
そうか、丸1日も眠っていたのですね。
母様について男爵家に向い、レニー君を・・・
「母様!レニー君はどうなりました?」
多分、体の治療は出来ていたと思う。でも、どこかほかに不具合があったりとか・・・
「大丈夫よ、レニー君は意識を回復したわ。まだ、ベットで安静状態だけど危険な状態からは脱したとタジル先生がおっしゃってたから」
あの後、私達と入れ替わりにタジル先生が男爵家まで赴き、診療を行ってくれたそうです。
レニー君が回復するまで、タジル先生が男爵家に往診に行く事が父様達との間で決まったようです。
「じゃあ、お食事を持って来るわね」
「母様、大丈夫です。もう起き上がれるので食堂で食べます」
食事を持ってこようとする母様を止め、ベットから下ります。
別に病気というわけじゃないのにベットの上で食事はあまりしたくないですね。
「そう?じゃあ、お洋服を着替えて下りてらっしゃい。」
「はい」
眠っている間に、母様が寝間着に着換えさせてくれていたので普段の洋服に着替えましょうか。
クローゼットから普段着ている洋服を取り出し、寝間着を脱ごうとしたんですが・・・
あれ?胸元に何か黒ずんだ汚れが?
-----違う。
何かの文字・・・ううん、文様・・・
-----違う。
私はコレを知っている。
嫌な汗が背中を伝う。自分の動悸に耳がおかしくなりそうだ。
寝間着を脱ぎ捨て、姿見の前に体を向けるが思うように体が動かない。
ミタクナイ・・・見なければ・・・
姿見に映し出された私の胸には|由利の命を奪った“陣”が描かれていた。
「いや--------っっ」
なんで?なんでこんなものが!!
足に力が入らず、崩れるように座り込んでしまった。
「どうしたんだ!ユリアナ!!」
ドアを蹴り破りそうな勢いで父様が入ってくるのが見えた。
ちょっと待って!今私、はだ・・・
「ぎゃあぁぁぁ!!父様のえっちぃ!!」
思わず手元にあった櫛を父様めがけ投げつけてしまいました。
櫛は回転しながらも見事に父様のお顔にクリーンヒット、父様は娘からの思わぬ攻撃によける事も出来ずに床に倒れ伏されました。
どうやら、気絶してしまったようです。
ああぁぁぁ、しまった!!
5歳児の娘の裸見たぐらいでこんな事される父親なんていないよな・・・ごめんなさい父様。
「あらあら、どうしたの」
騒ぎを聞きつけ母様が様子を見に来てくれましたが、部屋の入り口で倒れる父様にびっくりしているようです。
「は、母様~~~~」
恐ろしさと混乱の中私は母様に飛びつき、胸元に現れた“陣”の事を説明しました。
直径5㎝程の“陣”。
胸元・・・というよりは丁度心臓のあたりにあるようで・・・ゾッとする。
なぜ、こんなものが今になって、ユリアナの体に現れるの?
《見つけた----》
え?空耳?
《ようやく、戻ってきた-----》
事が起こったのは一瞬だった。
私の周りに突然風が吹き荒れ、視た事も無い数式や記号で構築された術が現れた。
構築の中から何か赤いモノが現れたのは視えた。
----が、次の瞬間、ものすごい勢いで抱きしめられました。
ちょっと待て!!苦しい!もの凄い力でぎゅうぎゅう羽交い絞めにされ息も絶え絶え状態です。
目の前に揺れる赤いモノ・・・ああ、髪の毛だったんだぁ・・・なんて、イッてる場合じゃないです!
どうにかしなければ、生命の危機です!
「はっ・・・はなせっ」
唯一自由になっている両足をバタつかせながら、それだけを告げるとようやく戒めは緩んでくれた。
「会いたかったよ。ユリ」
ようやく見る事の出来た顔は懐かしいサイラスの顔によく似ていた。
----サイラスによく似ている・・・・でも、彼じゃない・・・・誰?
・・・でも・・・でも・・・それよりも・・・この人なんで血だらけなの~~~~っ!!
先程、視線の端に捕えたのは髪だけではなくて、この傷だらけの肌に流れる血だったわけだ。
早く手当て・・・ちょっと待て、それより私、まだ服着てないんじゃ・・・・
「みんな出て行け~~~~~!!」
まずは洋服を着る事が先決なようです!
・・・ようやく、息子登場です。




