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視えるのも困りものです

母様の治療奉仕から1週間が経ちました。

今回治療にあたった患者さんの経過観察をタジル先生が行っていましたが完治したようです。


私は今診療所にて薬草辞典に勤しんでおります。

勉強の方はと言えば・・・


「令嬢はもう魔術学院の初等部で習うべきすべてを取得いたしましたのでもう特に勉学に問題は無いかと。ご希望とあれば中等部の基本学を進めますが」

「ちょっ~とまって!!先生っ?!まって!いまなんて?

この1年やたら勉強勉強で貴族は大変だなぁ、なんて思って頑張りましたが初等部の学問終了って・・・

確か魔術学院は7歳以上の魔力保有者を対象に初等部、中等部、高等部、と3年づつ、成績優秀者だけがその上の「院」に行くって聞きましたけど」

「おや、きちんと覚えておいでで、教えた者としてはうれしい限りですね」

「先生、私まだ5歳なんですけど・・・」

この1年を返してください・・・

魔力の事もあったから死ぬ気で頑張りました。ひそかに徹夜だってしたんですよ。

身長伸びなかったらどうしてくれるんですか・・・成長期の睡眠は大事なんですよ・・・

「それはそれは・・・令嬢があまりにも教え甲斐があったものですから、私も少々調子に乗って進めすぎてしまいましたね。申し訳ありません」

言葉では謝罪をしているけど先生の目は笑ってます。

コイツ絶対悪いと思ってないな。


「まあ、基本的な知識もありますし、『源』も視る事が出来るようになりました。あとはじっくりと魔術というものを理解して使えるようになるだけですよ」

「・・・それが一番難しいんですね」

「まだ、魔力判定まで2年もあります。焦らなくても大丈夫ですよ」



先生はそう言ってくれたけど魔力判定で魔力持ちと分かれば即魔術学院に入学させられるらしい。

なにせ魔術師は国にとって貴重な存在だ。

魔力があるなら魔術の基本学さえ習えば普通は魔術を使う事が出来るものらしい。

それが出来ないんじゃあ、いじめられる・・・絶対いじめにあうです(偏見)。

それだけは避けたいですよ。



とはいえ意気込んだところで急に魔術が使える事は無いので、「やれることからやろう」という事で薬草辞典の製作に尽力しております。

勿論、先生もこき使っ・・・ご協力頂いております。



そんな平和な日常なのですか・・・

この2,3日とても気になる事があるんです・・・

あたま・・・そう頭なんです・・・アンデリックさんのあたまがぁ・・・


アンデリックさんというのはもともと伯爵家で働く庭師さんなのです。

最近診療所でも薬草園を造り、使用する薬草を育てるようになりました。

今までは森の中に入って必要な薬草を採りに行くというのが一般的だった様なのですが危険な所に生息していたり、時期によって採れなかったりしたので、栽培可能な品種は育ててみようという事になりました。

そこでアンデリックさんに我が家の庭の手入れの傍ら診療所の薬草園の管理をお願いしたのです。

草木を愛し女性子供に優しい笑顔が爽やかな純朴好青年、25歳独身!

麦わら帽子姿がとってもステキ!・・・・・・・・取りさえしなければ。


礼儀正しい彼は例え仕事中であっても雇い主である伯爵家の人間が通れば帽子を脱ぎ丁寧に挨拶してくれる

伯爵令嬢である私にも・・・である。


ただ、彼の頭は残念なのです。

例えるならヨーロッパの僧侶のように頭のてっぺんだけが寂しいのです。

僧侶の場合は自分から進んで剃髪しその髪型なのでしょうが、彼の場合は不可抗力。

まあ、そういう人もいるよね・・・優しいいい人だからいいじゃない。

今まではそう思っていた彼の頭なんですが・・・最近変なのです。


彼の頭から金色いものが・・・いや髪の毛ではない・・・ハズ。

うすぼんやりと金色の線のようなものが何十本もうねっているのです。

意志を持つように、目なんかないはずなのにこちらに気づいてまるで助けを求めるようにこちらに向かってうねってきます。

イヤッ!!気持ちわるっ!!一体なんなんだぁ!あれは!!


今もアンデリックさんは診療所の窓の外、診療所の薬草園でお仕事中です。

あっ、目が合っていつものお辞儀をされました。

ああ・・・やっぱりまた見えます。


「先生!アンデリックさんの頭なんですけど・・・見えます?」


隣で薬草とにらめっこしていた先生を窓際まで引っ張りアンデリックさんを見てもらいます。


「ああ、彼の頭ですね・・・本人も気にしているかもしれませんのであまり凝視されては」

「いいえ、そうじゃなくって・・・金色もの見えませんか?なにかうねってませんか?」

「は?いいえ。とくには・・・」


ああっ・・・やっぱり先生にはッ見えないんだぁ~。

なに?アレ!!ミミズ?寄生虫?!

お化け?・・・よーかい?


「先生、私、へんなんです!」

「令嬢が変なのは存じてますが」


あっ、このヤロウまた本音が漏れてる。


「そうではなくって!変なものが見えるんです!アンデリックさんの頭に金色の線がうねうねと~!うー気持ち悪いぃー」

「・・・よくは分かりませんが、『癒し』の魔力の影響では?特殊魔力は個人によって魔術の行使の仕方から視え方までかなり違いますから」


残念な人でも見るような視線はやめてください先生。

・・・じゃあ、アレは私の『癒し』の魔力によるものなのか?

でもそうなるとアンデリックさんのアレって・・・病気・・っていうのか?

いや、でも治療(・・)で良くなる事もあるから・・・でも、そんなものまで対象なんでしょうか『癒し』の魔力って・・・


今度、母様に聞いてみなくては・・・です。







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