プロローグ
亡国の王は『力』を欲した。
他国への侵略のため。
他国へ自国の脅威を見せつけるため。
より多くの富を得るため。
戦に続く戦で民は疲弊していた。
王のもとに一人の男が現れる。
魔導師を名乗る男は告げる。
強大な『力』を王の手に献上してみせようと------
その為に生贄が必要だった。
魔獣の骸、無垢な子供達の魂、そして異邦の乙女の鮮血。
魔導師の言いなりに王は次々と生贄を集める。
ある者は王を諌め反逆者として処刑され。
ある者は己の保身の為子供達を集め生贄に差し出した。
国を守るため多少の犠牲は仕方がない王宮に住む者は皆考える。
しかし魔導師が示す『力』は王の為のものではなかった。
強大な『魔』を生み出す為魔導師は『力』を欲し王を利用したのだ。
だが、魔導師によって強大な『魔』が生み出されることはなかった。
異邦の乙女の祈りにより『力』は共に贄となっていた子供達に渡される。
乙女の死と引き換えに--------。
彼らは『力』を使い魔導師を滅ぼす。
しかし魔導師は己の命をもって『魔』を生み出す陣を発動させる。
陣は大地深く刻み込まれ 力は弱いが多くの『魔』が生まれ出てきた。
『力』をもってしても滅しきれない『魔』に彼らは仕方なく陣の周りに封印を施す。
深い深い森で覆い、『魔』が出てこられぬように、陣が人目にふれぬように。
贄として集められた者たちは虐げられた民と共に決起し王家を廃し新たな国をつくりあげた。
『力』を得た子供の一人が建国の王となる。
新たな王は10歳に満たない少年であった---------。
ユーテリアス国建国記より