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祐二とラーメン

普通の話に戻りました。

祐二と春樹と康宏でラーメン屋に行ったある日のこと。


「つまりだ、欠点をしっかり指摘しないからドジも治らないんだ。ドジッ子?他界しなさい」


祐二がカウンター席で春樹を挟んだ先の康宏にそう語る。


「待てお前!ドジッ子を侮辱するのは許さん!」


割り箸を振りかざして反論する康宏。隣のおっさんの禿にコツンっと当たってもお構いなしだ。


「康宏、うしろ」


春樹が康宏の後ろを指さす。


「なんだと!」


そういって後ろを振り返る康宏。仏頂面のおっさん。


「・・・・あ~~すいません」


途端にテンションが下がったのかすこし頭を下げながら椅子に座る康宏。マスターがギロっと睨んでいた。


何でこうなったかというとそれは遡る。



「このラーメンがさあ・・独特の甘みとまずさを持ってるんだよな~」


ラーメンを煮ていた店主がギロっと祐二を睨む。


「祐二、睨まれてる」


春樹がそうとがめると祐二は、


「・・・・・あ~~」


といって口だけは静かになった。


「祐二よ~。もう少しデリカシーってもんを身につけろ」


康宏がそういうと、


「話をしよう」


といきなり祐二が言った。


「話?」


春樹と康宏が同時に疑問を投げかける。


「たとえばだ、お前がみちかの手料理を食ったとしよう」


康宏は麺を噴いてそれが微妙にとなりの禿げたおっさんの器に入っていった。


「たしかに彼女だけど不意打ちはやめい!」


「で、お前はそれがまずかったとしてなんという?」


「あいつ料理うまいぞ」


「仮にの話だ」


「・・・うまいって言う」


「何故?」


「悲しませるし、気を遣ってやらないと女の子ってデリケートだからな・・・」


「俺の方がデリケートだろ」


自分を親指で指さす祐二。


「それはない。何をされても絶対泣かないだろお前」


「まあいい。で、そこでうまいって言うと彼女は上達するかな?」


「・・・・しない」


「しないでしょ。それといっしょ」


「それとこれとは違うだろ」


「それとこれとは一緒だ」


「いや違う」


「まあ、おいといて。この理論は全ての事柄に通用するんだ。たとえばドジっ子。なにがドジっ子萌えだ。とくにメイドだが、役に立たないと役に立たないじゃねえか」


「それ・・・私怨入ってない?」


と言うことで最初の文に戻る。





「畜生!祐二のせいであんな・・・うおおおおお!」


店から出た途端そう叫ぶ康宏。


「まあ人生いろいろあるさ」


「こんないろいろはあってほしくねえよ!なんだよあの雰囲気!店内の客全員が俺を追い出すような空気を醸していたぞ!気まずすぎてチャーシュー残しちまったじゃねえか!最後に食べようと思ってたのに!」


「・・・・まあ人生いろいろあるさ」


祐二はそう言って自らの家の方向に向かっていった。春樹と康宏とは別である。


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