祐二を救え 3
「じゃあまずはじめに話すわ」
祐一含めた5人で囲む卓は、まるで祐二含めた富村家の風景を見ているような錯覚に陥る。
「この子は、祐一よ」
その瞬間、彩菜がテーブルを叩く。
「どういうことよ!祐二からもお母さんからも聞いてないわよ!」
「そうだそうだ」
彩音が続く。
「仕方ないのよ。祐二と祐一は双子で、祐二は離婚するときに私が引き取ったのよ。祐一は無効が引き取ったのだけれども」
そう言いながら彩子が祐一に目配せする。祐一は頷く。
「いかにも」
「それで私はこっちで再婚して生まれた子供が彩音と彩花。彩菜は当時の隠し子ね、あなたは全く知らなかったと思うけど」
「ええ!?私隠し子!?」
「姉貴!そうだったのか!」
何故か彩音が眼をきらきらさせながら聞く。
「なんでそんなに好奇心旺盛なのよ!もっと重くないのこの話!?」
彩菜は勝手に叫んでいる。
「・・・まあそう言うことだ。あんた全てを話してなかったのか」
祐一が彩子に聞く。彩子は少しうつむく。
「子供達には何も知らず幸せに育ってほしかったから・・・」
「世の中知らない方が良いこともある。でも知った方が良いこともある。どうだ?お前さん達は祐二が別の父親の子供と知ったらあからさまに態度を変えるか?」
「絶対変えません」
最初にそうきっぱりと告げたのは意外にも彩花だった。
「変えない!」
「変えないわ」
彩音、彩菜もそれに続く。
「分かったわ。あなたたちはホントに良い娘ねぇ」
「そうだな。祐二がうらやましい限りだ。さて、そろそろ祐二に会わせてもらえるかな?」
祐一は居ても立っても居られずそう告げた。
「・・・・こいつか。変わり果てて・・無いな。肉体は原形をとどめている、なにものか・・・相当な術師が居たようだ」
そう言いながら祐一はジャミングの方に露骨に顔を向けながら笑う。
「・・・ふ」
ジャミングは軽く笑っただけであった。
「兄貴をどうするんだ?」
彩音が聞く。
「まずこの状態を解くには薬と術が必要だ。まずソウルリカバリー効果を持つ薬。術の方は俺が用意してある」
「なんだよソウルリカバリーって」
「魂の自由化だ。強すぎると肉体からも離れてしまうのが難しい所だが」
「・・・で、どうやって作るのかしら?」
彩菜が聞く。
「神月草に、秋の七草を調合する。秋の七草が多ければ効果はソフトに、神月草が多ければハードになる」
「今回は?」
「少し神月草を多めに調合する」
そして彩花が聞く。
「神月草って何ですか?」
「俺のオヤジの故郷の世界の超入手が難しい草だ」