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祐二を救え 1

何かとぶっ飛んでますがとにかく祐二を救います。

「富村と全く同じ気配が一つ・・・・これかしら」


陽子は単身アメリカまで乗り込んできた。幽霊体といいつつも移動速度はさほど速くはないので飛行機にちょいとくっつかせてもらった形で移動してきたようである。何で飛行機には触れるんだという突っ込みは無しである。


「ここがロサンゼルス空港で・・・カリフォルニアの南部ね」


犯罪件数年間五万件以上、高度成長により急激に発達したアメリカ有数の大都市である。


「う~ん、気配が北に高速移動しているわ・・・車かしら」


陽子はとりあえず気配の方向に移動することにした。




「・・・兄貴」


「祐二」


彩子「祐くん」


「お兄さん」


やっと出てきました富村の家族です。

 富村一家は祐二を取り囲むように座っていて、彩音と彩菜は祐二の手を握っている。


「兄貴・・・生き返ってくれるのかな」


「・・・・それは人間としてどうか分からないけど・・春樹君の言っていることが事実ならば多分生き返ってくれるわ」


「・・・それなら良いんだけどさ・・あ、やべ」


彩音は心配で握っている祐二の手をバキボキ言わせてしまった。やべ。






陽子が行ったその先は長く・・・ついに砂漠へと突入した


「なによ!あの男こんなところに住んでるの!?」


幽霊の叫びは決して誰にも伝わらなかった。




「さあて、米軍撤退を提言したあの大統領を軍需企業としては快く思っていないようだな。なあ?」


祐一はある男を尋問していた。米国大統領の暗殺をもくろむ組織の一人の男だった。男の両手は鎖、両足も鎖で縛られていた。

 場所は祐一のアジトの一つ、砂漠の地下のアジトである。尋問部屋は周囲がコンクリートで、少し家具が置いてある程度だった。


「何のことだかな・・・」


その男はふんと鼻を鳴らす。


「ネタは上がってるんだよ。お前の企業は海兵隊に主に輸出しているようだが・・・今回の撤退でどれだけの損が出るかねえ。撤退して、買い契約の満期が来ればどうなるかね?今まで通り買ってもらえるかね?」


祐一が椅子に座りながらゆっくりと語りかける。まるで狐を追い詰める狼のように。


「・・・私はそんな卑怯なことはしない」


「お前達の動きを監視させてもらった。部屋にも監視カメラは付いているんでな。全て大統領に報告させてもらったよ。この尋問自体無意味だ」


「じゃあ何故こんな事をする」


男が聞いたその瞬間、祐一が拳銃を取り出して後ろを振り向く。そして、何もない所に向かって反射的に発砲した。男は突然祐一が発砲したことに驚き、言った。


「頭でも狂ったか?」


その瞬間、祐一の拳銃の銃口が男の頭にあてがわれる。


「ああ、お前はもう要らないよ」


男の命はそこで尽きた。




陽子はやっと祐一を見つけたと思ったらいきなり祐一がこっちを向いて発砲してきた。驚いた陽子は条件反射で物陰に隠れた。さらにそこから鎖で縛られた男が無表情の祐一に殺されたのを見てしまった。さすがに幽霊でもあの光景はきつかったらしく、壁からさっさと外に出て祐一に見つからないように部屋の中にある物陰に隠れていた。


「・・・はぁっ!・・はぁっ!」


陽子はもう死んでいるのだが恐怖心によってつい呼吸が大きくなってしまう。


「・・・なによ・・あいつ」


陽子が館で感じた生ぬるい感覚など比にならない。どす黒い・・出会ったらそこで人生終了という感覚を味わった。


「どうしよう・・・会うのが怖いわ」


だが会わなくてはいけない。曲がりながらも陽子の恩人である祐二を助けるために。


「よし!」


陽子は立ち上がろうとした。しかし立ち上がれなかった。


「なにが「よし」だ?」


上から祐一が手で陽子を押さえつけていた。


「あ・・・ええ!?」


陽子は一生懸命もがくが効果は一向に現れない。陽子は思った。この人も化け物だ。


「お前・・・何者だ?」


祐一が不意に陽子に聞く。


「私ですか!?ええっと・・・陽子って言います幽霊です」


「幽霊だとぉ!?」


祐一はその瞬間、部屋の中にあるタンスの中に籠もってしまった。陽子は突然のことに驚いたがすぐに理解した。そして、調子に乗った。


「あの~私は何もしませんよ~。出てきてくださ~い」


「やだ!」


陽子は思った。こいつは子供なのか大人なのかはっきりしろ、と。ちなみに男の死体は落とし穴のようなもので処理済みであった。


「あれ?もしかして幽霊怖いんですか~?」


「ちがう!」


「ほ~れほれほれ~」


陽子はさらにタンスを揺らし始めた。


「ぬお~~~!助けて誰か!!あ!俺一人じゃん!」


祐一は勝手に叫びまくっていた。でも絶対に出てこなかった。陽子はそろそろ本題に入るか、とやっと思い始め、タンスを揺さぶるのをやめた。


「・・・私が来たのには理由があるのです」


「なんの!」


「あなたの弟さんが・・・危ない」


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