表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/61

竹中春樹 過去編 4

 富村がばい菌みたいな三人組とにらみ合ってる。しかしあいつら何なんだ?


「お前らはどこの手下だ?」


富村が聞く。三対一だというのに妙に強気だ。


「我々は魔王ゼブラ様の側近だ。この世界に閉じ込められたあの方を外に出してやるのが我々の望みだ。そなたらは何者だ?」


魔王なんて閉じ込めた記憶はないぞ。


「ああ、俺は富村っていうんだよろしく。あっちで足首抱えている女面が竹中。この世界の持ち主だ。ところでだ、魔王ゼブラって何だ?」


富村が聞く。


「かつてこの世界じゃないところで猛威をふるっておられた災厄の魔王と呼ばれた人物だ」


ばい菌みたいな人、異世界とか話がややこしくなるからやめて。


「で、なんでここに閉じ込められたんだ?」


「この世界の持ち主の人間の母が元は魔界の勇者だったのだ」


・・・・?


「おいおい、それは驚きの事実じゃないか?」


富村が全く動揺など見せずに聞く。と言うかあんた本当に図太いな。僕の時といい全くうろたえを見せなかったじゃないか。あと僕の母さん何者?


「ああ、それから魔王ゼブラ様はずっと閉じ込められている」


「大変なんだな」


おなか気持ち悪くなってきた。


「そうだ、それから我々は魔王ゼブラ様を出す方法を考え続けている。何か良い方法はないのか?」


「・・・まあそれは置いといて、この世界の持ち主の人間が心を読む能力というのを持っているんだが、それは魔王による影響か?」


富村が核心を突く質問をした。あと魔王さんの救出方法を置いちゃまずいでしょ。


「魔王ゼブラ様の能力はそれが全てだ。心を読み、敵を倒す。だがその能力が破られてゼブラ様は自分を倒したこの人間の母の体内に封じられた。そして子供に転移したのだろう」


迷惑すぎる。しかも物理的に解決できる問題じゃなさそうだ。


「まて、魔王ゼブラは今どこにいる?ちょっと話したいんだが」


富村はずいぶん強気に出ている。何か計画でもあるのだろうか。


「まさか、ここから助けてくれるのか?」


「まあ、な」


「なんと!!それはありがたい!!さっきの無礼、申し訳ない」


「ああ、謝ってなかったらお前ら死んでたなハハハ」


富村君。顔が笑ってませんよ?


「あ、ああすみません」


ばい菌さん達も相当びびってるみたいだ。


「で?早く案内して?」


富村がせかす。さっきから当事者の僕が無視されてる気がする。


「あ、まって」


僕も仕方なくついて行くことにした。





「余は大魔王ゼブラであ~る!!」


この人、いやフォルムは人間じゃなくてしましまの変な虎が大きくなった象さんみたいな馬だ。この説明でフォルムが分かったら変態。


「で、こいつが外に出られない、と。さっきからなにやってんのこれ?歌舞伎?」


富村がばい菌みたいな人にゼブラさんをこれ呼ばわりして聞く。そう、ゼブラさんはさっきから意味わかんない行為にふけっていてどうにも手が付けられないらしい。


「いや、長年の閉じ込められ生活で気が触れてしまったのでしょう。おそらくそれで力が暴走してこのように・・・」


迷惑な話だ。それのせいで僕は今まで大変な思いをしてきたのか。


「早く出して下さい」


僕が言うがばい菌の人たちも困っているようだ。


「待て春樹、俺に良い案がある」


「え?」


「俺は精神世界を出入りできるんだ。つまり出口を作ることもできる。つまり解決と言うことだ」


それでもう解決かよ。いやまて、この流れで行くとまだ解決できない気がする。


「お待ち下さい。ゼブラ様は外の世界では生きられないのです。元の世界でないとまともに息をする事もできなのです」


ほら来た。


「じゃあどうすりゃいいんだよ」


富村が不満そうに聞く。


「とりあえずこの世界の持ち主の精神状態が安定しない限りには・・」


僕そんなに安定してないの?イヤ確かに今まで白い目で見られ、そしてのけ者にされてきた。確かにつらかったが人間の心とはそこまで安定しないものなのか、知らなかった。


「だとさ、春樹」


そう言われても分からないんですよ。


「じゃあどうするの?」


「まあ、この件は明日に持ち越しだな。今日はもう疲れた」


富村も思いの外つらいらしい。顔が青白くなってきている。だがしかし、どうしたものか。


「お前は思い詰めなくて良い。全部俺に任せろ。分かった?」


・・・なんだかとても頼もしい。だが少し寂しくもある。


「うん、分かった」


僕がそう言うと同時に世界は暗転した。そして目が覚めるとそこは相談部部室だった。時刻はすでに七時だ。あの世界にいると時の流れが速くなるのかな?


「さて、お前は先に帰って良いぞ。あくまで客だからな」


そう委って富村は奥の部屋へと行ってしまった。距離の取り方が微妙だ。友人関係にまで行きそうだと思うと、やはり距離を取る。これが女子だったら間違いなく誤解を生むだろう。僕は帰り道、彼に対する無意味な危機感しか抱けなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ