竹中春樹 過去編 1
僕は竹中春樹。いつも思う、なんで神様は僕なんかにこんな変な力を与えちゃったんだろうって。僕は別に人の心を読みたくもない。読めないからこそ楽しいのだ。世の中は読めないから不安で、でも楽しいのだ。
だが段々心の中を読んでいるといろいろ悪の部分だったりそう言うところしか見えてこなくなってくる。そして僕は段々ふさぎ込んでいったんだ。
まあはっきり言うともう慣れちゃったんだけどね。と、言いたいところだが最近になってやっぱりつらくなってきたがコミュニケーションの取り方とかそう言うのが良くできなくなってるし、やっぱり心は見たくないし。でも話したい。二つの葛藤が僕を追い詰めていったんだ。
と言うことで追い詰められた僕は不登校気味になった。そこで耳にしたのが相談部の噂。あの北条麗花を明るく変化させたらしい。しかも最近愛山優花が入ったとかカオスな話題がある。おそらく部長が相当奇抜な人なのだろう。そうに違いない、ならば僕の悩みも解決してくれるか。
という期待を込めて僕は相談部のドアを開ける。
「お邪魔します」
最初は緊張したが中に入ると全く肩の力が抜けてしまった。久しぶりに気が抜けた気がする。
でも一つ気になる点があった。胸で顔を挟みながら誘惑する愛山優花とそれを仏頂面で無視してる男らしい顔立ちをした男子だ。
「ん?ああ、お客さんね」
今気付いたのかこちらを向いてきた。
心を読んでみると、なんとさっきまで無だったらしい。ほぼ全く澄んでいた。こんな人間見たことがない。名前は富村祐二って言うらしい。何か聞いたことある気がする。
「ええーっと竹中春樹と言います。男です」
「分かってる。もうとっくに知っていた」
いや嘘でしょ、明らかに心が違った。
「嘘ですよね」
「嘘じゃない」
「いや、嘘ですよね」
「何を言ってるんだ。本当に決まってるじゃないか」
ここまで粘る人も珍しいな。
「まあいいや。ところでまずは相談するに当たって僕のことを知ってほしいんです」
まずは反応を見て判断しよう。相談するかしないか。
「どうぞどうぞ」
「僕はある力を持っている」
「ふむふむ」
「それは人の心を読める力なんだ」
大体の人はすぐに怒るか逃げるかバカにする。
「・・・本当に?」
「本当だよ」
僕はすぐさま富村の心を探る。するとそこには全く疑りの心もなく、憎しみもなかった。
「・・・本当なんだな!?」
「ほ・・本当だよ」
少し気圧された。
「良い能力じゃん!!オレの今考えてること当ててみてよ!!」
凄く興味を引いたらしい。なんだか喜ばれたの初めてだからうれしい気分。
「ええーっと。愛山優花早くどけよ・・?」
「ええーーーー!!そんな酷いよ祐二君~~」
「早くどけよ!!」
結局富村が自分の口で言った。女性にあそこまで強く言える人あんま居ないんじゃないの?愛山優花ほどの美人ならなおさらだ。
愛山はわざと可愛くしてるか心の中はとてもじゃないけど見せられない。ただ一つ言えるのは富村にぞっこんだと言うことか。
「ぶ~~~!」
と言いながら愛山は渋々離れる。何で富村は全く心が乱れないんだろうか。全く分からん。
「で、それが何で相談理由になるんだ?」
「人の心を読むのが怖いんです。もしかしたら、じゃなくて見えてしまうから人のプライバシーとかそう言うのを無理矢理覗いてる気がして、罪悪感があるんです」
「・・だったら相談部に来ないか?」
・・つまり僕にここには入れって事?初めてだな、勧誘とか。でもちょっとうれしい気もするし確かに相談部としては役に立つかも知れない。
「でもちょっと考えさせて」
少し時間がほしい。
「分かってる。それは予想済みの回答だ。まあすぐにとはいかん。入れてやるのはお前に心を読まなくても読める方法を教えてやってからだしな」
心を読まずに読む方法?僕には分からなかった。