祐一の仕事
祐二と一卵性双生児である祐一は祐二とうり二つの容姿をしている。そして性格までもが祐二に近い。そして同程度に強い。二人は一度兄弟げんかをしたことがあるが、ビル一つが倒壊する寸前まで陥ったことがある。二人はそこでヤバイと思い自粛をした。
祐二は、実際には彩子の子ではない。今は世界をまたぐ大企業、富村グループの社長。富村祐介の息子なのだ。彩子はあくまで親族であって実際の親ではない。そんなこと祐二はとうに知っているが。
祐一と祐二は生まれたときから離ればなれにされていた。祐介は育児をしたがったが愛人がそれを拒み、かってに親族に二人を引き渡して内密に育てさせたためである。よって二人の住民票は捏造部分が大半を占めている現実がある。これも祐二は知っている。
これは祐二祐一と一部の人間しか知らない事実である。そして彼らは今日ものんきに生きていく。
あ、祐一はのんきじゃなかった。
祐一が薄暗いどこかの倉庫で七人の男と対峙している。
「一キロ3000万だ。それ以下では売れない」
祐一が木箱に座ったままそう言うと七人の男の一番厳つい男が前に出る。
「おい、一対七で交渉が有利だとも思ってんのか?」
そう言いながら男は笑う。
「良いのか?これ以上安い交渉はないと思うんだが」
祐一はそう言ってゆっくりと立ち上がる。
「は?お前一人に対して俺ら七人。これは0円じゃないと安い交渉とは言えねえな~~」
七人の男がゲラゲラ笑う。
「交渉決裂で良いのか?」
祐一がうっすら微笑を浮かべたまま言う。
「は?俺らがお前を殺して奪い取るのが交渉の終了だろ?」
そう言って七人の男は拳銃を取り出す。祐一はそれよりも先に木箱を持ち上げていた。
「はあ!!」
そして七人の男が引き金を引くと同時に木箱を男達に対して投げ込み、自分は恐るべきスピードで倉庫のコンテナの陰に隠れる。男達は投げ込まれた木箱をどかし、追おうとする。
「くそ!!追うんだ!!」
厳つい男が指示をする。そして七人の男が散開しようとしたその時、祐一の声が倉庫内に響く。
「そういえばだが、薬なんて最初から売るつもりもなかったよ。」
「姿を現せ!!」
祐一の声を遮り、男達が叫ぶ。そんなことを言って姿を現す人間がいるか。
「現したら撃つじゃん。そしてもうひとつ。その木箱の中身は薬じゃない」
「じゃあ何なんだ!?」
厳つい男がそう言うと祐一はすうっと後ろのコンテナの陰から現れた。手にはボタンの付いたリモコンのような物を持っている。そして顔をにやけさせる。
「爆薬だ」
祐二はためらいなくリモコンのスイッチを押した。木箱は一瞬で吹き飛び、倉庫内に爆音が響く。祐一はすぐさまコンテナにパンチで穴を開け、無理矢理入り込んだ。はっきり言うと人間じゃない。
倉庫は半分以上が吹き飛んだ。祐一の入ったコンテナももろとも吹き飛ぶ。
そして、コンテナの山ができる。普通の人間なら山に押しつぶされ、死んでしまうだろう。丁度ゴミ山のような状況だ。
だが、あるところのコンテナが微妙に揺れる。
「どるぁ!!」
というかけ声と共に、コンテナが三、四個一気に吹き飛んだ。
そこには祐一が立っていた。
「今月どうやって暮らすんだよ。みんな意地悪すぎんだろ」
そういいながら服に付いた汚れをはたき落とす。無傷ってどういうことよ。
「まあいいか、祐二に借りようかな。いや、親父に・・・・借りるのはやめよ」
そう言って鼻歌を歌いながら祐一は行ってしまった。ボロボロの服のまま。
祐一主役のストーリーは大体シリアスです。