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綺麗な祐二3

祐二とその仲間達は現在相談部室にいる。祐二が変わったと聞いて全員が駆けつけたのだ。


「で、綾瀬が押しちゃってそしたらこうなったって訳ね」


優花がゆがんだ笑いを浮かべながら祐二に近づく。そして突然祐二の手を取って自分の胸に押し当てた。


「ちょっと優花何やってんの!」


綾瀬が反応するが優花はすでにそちらを見てはいなかった。


「祐二~。どうかしら?」


優花が挑発するようにさらに押し当てる。祐二はと言うと顔が真っ赤で何も言っていない。


「うう・・・うわ~~~ん」


祐二は泣き出してしまった。


「あら、行っちゃった」


「優花、お前はやり過ぎだ」


麗花が優花をとがめる。優花はと言うと体をくねくねさせていた。


「初々しいわ~~~」


などとおばさん臭いことを言っていた。麗花は何も言えなかった。




祐二会議


「と言うことで祐二がああなってしまうと相談部としては大きな危機なのです」


まず最初に言ったのは春樹。他のみんなもそれを分かっているのか反論はしない。はっきり言うと祐二がいなければ相談部はバラバラになるだろう。


「何か祐二を元に戻す案がある人」


綾瀬はものすごく申し訳なさそうにしている。彼女が祐二をこうしてしまったキーマンなのだからそれは仕方がないことと言える。


「はい」


「康宏君」


「綾瀬は祐二がああなってしまったときの直前の行動は覚えているか?」


「え、ああうん」


綾瀬はどういう意図で康宏がそんなことを考えているのかは分からなかった。


「そう、それをやってみよう。再び同じ状況にすれば出てくるに違いない!!」


ガッツポーヅを決める康宏。しかしメンバーの反応は冷たい。


「え?だめ?」


「康宏、今の祐二があのときと同じ事をしてくれると思うかい?」


「・・・・・・・・・・・・・・思わない」


「そういうこと」


そして長い沈黙が訪れる。そこで綾瀬が口を開いた。


「私のせいなんだから私自身で考えるわ。みんなには迷惑を」

「みゆき」


春樹が綾瀬の言葉を遮る。続いて北条が口を開いた。


「綾瀬はたまたまそういう選択をしてしまったのだろう?大体あの状況になったら私でも・・・・・そうしてる」


北条が顔をぽっと赤らめながらいった。そのおかげで場の空気が少しは和んだようだ。

 瑠璃が口を開く。


「あんな祐二、魅力というものが全くない」


瑠璃が少し怒気をはらんだ声で言った。瑠璃はいつもの祐二が気に入っているのだ。


「確かにそう思います~~~」


優花も間延びした声で賛同した。全員が祐二を元に戻すと言ったところで春樹が再び口を開く。


「何か手がかりはある?」


綾瀬が思い出したように口を開く。


「そういえば・・・祐二には双子のお兄さんがいるらしくて・・・近いうちにここにやってくるらしいわ。日本に」


メンバーにどよめきが走る。そう、祐二は実は春樹にだけしか双子の存在を明かしていない。春樹を全面的に信用しているからだ。祐二は春樹を兄に会わせたこともある。


「やはりあの人かな」


春樹は全て分かったような口ぶりで言った。



ある場所のある廃ビル前。



「ここか・・・・久しぶりだな。祐二の兄は」


そう言って春樹は廃ビルの中へと足を進めた。話が入り組みすぎているが大丈夫か。


「さて、このドアか」


全く中にいる気配のないドアを叩く。するとドアが微妙に開き、


「誰だ」


重く、暗い声が中から聞こえる。


「竹中春樹」


春樹がそう言うと祐二そっくりの人が中から出てきた。だが服は真っ黒である。


「お前か、ええーと祐二の友達だっけ」


この男こそ祐二の兄祐一である。この男の存在は家族ですら知らない。


「久しぶりに来日するという情報を聞いてね。今祐二が大変なんだよ」


春樹は事のいきさつを話した。すると祐一はこういった。


「ああ~~そりゃ泉の女神の仕業だな。大丈夫、いつもの祐二はあと一週間ぐらいで返してもらえるよ」


春樹は唖然とした。と言うか半分理解できなかった。


「え?じゃあ何でそんなことが起きるの?」


「祐二は普段からストレスをためる体質でな、お前らは気付かないかも知れない・・・お前を除いた奴は気付かないと思う。あいつは普段から優しい顔をしているが心の奥は相当押さえつけられているんだ。裏祐二がな。だからこそ時に自分の代わりを立てて祐二の作った世界に入る。その中で祐二はストレスを発散するんだ」


「ちなみに祐二の発散方法は?」


「破壊、殺戮、一人ボケ突っ込み」


「三つ目がとっても平和なんだけど・・・まあいいか、とりあえず祐二は一週間もあれば直るんだね?」


「ああ、また泉の女神が出てくるからな。無理矢理本物の祐二を押しつけてくるぞ」


「へ、へえ。押しつけてくるんだ」


「そんな感じだ。ちょっとこれから仕事をやるからここら辺でな」


そう言って祐一はドアを閉めた。


「うん、まあそれなら大丈夫だね」


そう言って春樹は廃ビルを後にした。


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