祐二のマネージャー2
完膚無きまでにボロボロにされた祐二はコーヒーを入れている。祐二は彩菜のことも苦手であった。
「リハだから良かったものの、それでもセット中の髪でやるのは恥ずかしかったわよ!」
「本番はちゃんとしっかりしてたから良いじゃないか」
「・・・まあいいわ」
あきれたように彩菜はため息をつく。身だしなみは女として大切な事なのだ。
「まだ仕事があるのか?」
「あるわ、この後新しいドラマの記者会見があるのよ。ちょっと噂が立っちゃってね、少し厳しいことになるわ」
噂とはアイドルなどに良くあるあれである。
「ほお、愉快だな。誰とだ?」
祐二がコーヒーカップを置き、向かい側のソファーに座って興味深げに聞く。
「あら?興味があるのかしら?」
彩菜は目を細めて妖艶に笑ってみせる。
「あったら自殺してるよ」
ドスッバキッ!!
「すいませんでした」
「ならいいわ」
とりあえず彩菜は席に座り祐二の淹れたコーヒーを飲む。
「ああ、うまいのがむかつく」
「悪かったな」
祐二は目を向けずに答える。
しばらくして彩菜が腕時計を見る。
「あと五分ね。祐二も記者会見でスタンバイしといてね」
「・・・・なんで?」
「舞台に上がられると困るから」
「なるほどね」
祐二はコーヒーのマグカップを洗いながら答えた。