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ボクシング部、無謀な挑戦:1

安藤は机を思いっきりパンチングする。その衝撃で机は真っ二つ。机がオシャカになっちまった!


「畜生!!」


「安藤さんリベンジっス!!」


周りの部下が安藤をもり立てる。


「イエアア!!」


よく分からないけど便乗してる奴らも居る。


「相談部に乗り込みだおめえら!!行くぞ!!」


「おい春樹。今日は何かが起きそうな気がするんだ~~~~~」


休憩室の畳に寝っ転がりながら死んだようにうつぶせになっている富村祐二が、自分のジャージを裁縫で直している(まじでかわいい)春樹に愚痴る。


「祐二君が言うなら何か起きるんじゃない?」


「私もそう思うぞ、こういうのには勘が働くの」


春樹の後に続いて肌が白く貞子ヘアーな美少女な、金子瑠璃が笑顔で言う。


「だよ~~~~な~~~~」


ものすごくやる気のない返事で対応する祐二。少し寝返りを打つと顔に畳のあとがくっきり。


「あ、祐二君顔が畳のあとで・・・」


春樹が裁縫をしながら呟く。昔から春樹は祐二に対してはかなり心配性だったりする。だが大丈夫と分かっていたり、彼の生き方を否定しないのは男の友情だからであろう。とは言っても友情と恋愛感情の間くらいをさまよってる感じで、下手をすればアーッな事態も想定される。しかしそれはそれで絵柄的に不自然ではない、と言うのがつらいところである。


「ここに良いものがあるわ」


そう言って瑠璃がポケットからハンカチを取り出しポットのお湯を少量かける。そしてもみほぐし、丁度良い温度になったところで祐二に近づく。


「こっちを向いてくれ」


祐二に指示する瑠璃。祐二は素直に瑠璃の方向を向く。春樹は興味深げに見ている。


「なにをするのじゃ?」


祐二は頭にはてなマークを出したまま呟く。


「拭くのさ、ほれほれ」


祐二の顔を優しく拭いていく瑠璃。祐二はとても気持ちよさそうだ。


「ああ、ああああ・・・・・あ」


変な声を出しながら悶える祐二、拭き終わった頃には顔が完全に脱力しきっていた。そして瑠璃はそのハンカチをそのままポケットにしまった。


「・・・はぁ。祐二、人とのつきあい・・特に女性関係は考えた方が良いよ」


後ろで頭を抱えながら春樹は呟く。祐二は寝っ転がったまま眠そうに春樹の方を向く。


「ああ?考える暇もない。こっちは相談相手にならなくちゃならないんだ、しかも最近やたらと女性が多い。だったらお前が何とかしろよ・・・ほら、また来た。行け、戦友」


春樹に手で、行けよ、とジェスチャーをする祐二。春樹もふぅとため息をつくだけで大人しく対応しに行った。


「なあ」


瑠璃が富村の腹を叩いて質問をする。


「祐二と春樹ってどういう関係なの?」


祐二は小一時間考えて答える。


「友達以上恋人未満・・・かなぁ?」


その答えは身を滅ぼすことになる。


「・・・うーむ。だがお前らなら行けそうな感じがするんだよ」


富村はいきなりがばっと起き上がる。そして瑠璃を指先で小突く。


「もうそれはこりごりだ」


そういって富村も部室の方へ行ってしまった。残された瑠璃はさらに悩む。


「・・まさか付き合ったことがあるのか?男同士で?だとすればfantasticだな」


瑠璃の疑問はふくれあがるばかりである。



富村が相談室へ行った途端、そこでは春樹が罵詈雑言を受けまくっていた。相手はボクシング部である。


「てめえらみたいな偽善がよぉ!!むかつくんだよおらぁ!!」


そう言って長机を蹴り飛ばす安藤の部下A。その長机は微動だにせず、逆に部下

が足を痛める結果となってしまった。


「ああ、その机特注だから蹴ったりすると痛いお」


そこに颯爽と現れる祐二。


「祐二君来てくれたのかい?」


春樹がうれしそうに聞く。初々しいことこの上ない。


「都合が悪くなった」


苦虫をすりつぶしたような顔で答える祐二。


「都合?まあいいや。それよりもどう対応するの?こいつら」


春樹もボクシング部面子に向き直りやる気を見せている。


「イチャイチャしてんじゃねーぞコラ!!!」


安藤がついに動き出す。富村は一歩で長机を飛び越え、狭い部室なので反対側の壁に体を一度打ち付けてから立ち上がった。


「アイツは男だぞコラ!!」


鼻先一センチで言い返す富村。対して安藤も負けてはいない。


「どう見ても女の子だぞコラ!!!みちかよりも可愛いぞコラ!!」


みちかとは安藤の元カノである。まあまあの美人だが春樹のかわいさはそれをも凌ぐらしい。


「みちかって誰だコラ!!ホントに男だぞコラ!!家族ぐるみの旅行で一緒に風呂入ったことあるぞコラ!!毛が生えてなかったぞコラ!!どういう事だコラ!!」


春樹が急いで祐二を止めようとする。


「ゆ、祐二、それ以上の暴露は・・・」


春樹の様子に気付いた祐二がヒートダウン。しかし安藤は全くダウンしない。


「知るかコラ!!うらやましいぞコラ!!あんな可愛い子と風呂だとコラ!!ざけんなコラ!!!と言うか誰だお前!!」


やっと祐二の名前を聞こうとする安藤。脳みそあんのかコラ。


「俺か?俺はお前を倒すものだ、名前としては富村祐二だ」


安藤の部下にざわめきが広がる。祐二の武勇伝は凄いものがあるからそれはしょうがない事態と言えよう。


「お、お前ら落ち着けぇ!相手はたったの一人だぞ!負けるはずがない!!」


死亡フラグどうもありがとうございましたと言わざるを得ないようなセリフを叫ぶ安藤だったとさ。


「まあ表へでな」


富村が先に相談部室からでて安藤達を校庭に出るように指示し、安藤達は大人しくついて行った。


残された春樹がぽんぽんと瑠璃に肩を叩かれる。


「春樹と祐二の関係についてkwsk」


「へ?ぎゃああああああああ!!」


春樹は瑠璃に引きづられながら休憩室に入り、ドアが閉まったところで声も聞こえなくなった。


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