表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/61

引きこもりを何とかしろ3

「あの、なんでそこまで装備する必要が?」


富村さん、竹中さん、綾瀬先輩、私は夕日を背に浴びながら私の家に向かっていた。だが富村さんの格好が本当に気になる。だいたいロケラン(LAW)なんて持って行く必要ないでしょうが。迷彩服だし。


「臨戦態勢。対テロリスト装備その2」


「はぁ」


なんだかセットがいくつかあるらしい。さっきからすれ違う人が奇異の目で見てるし、大体どっから手に入れたんだか。


「この爆弾はドア破壊用だ。そしてこれはそのあと投げ込むフラッシュグレネード」


「そんなもんでドアを開けないでください!!そんな危ないもの投げ込まないでください!!」


しゅんとうなだれて爆弾類をしまう富村さん。何も身につけてなかったらギャップで可愛かったかも知れない。


「おい春樹、突入作戦を変える必要がありそうだ。プランBで行くぞ」


突如話を振られた竹中さんは苦笑いで答える。良く付き合えるねこんな人と。


「い、いやあプランBって何・・?」


ほらそう言うところちゃんとしとかないと。前準備って結構人生において重要なんですよ?


「ドアノブ周辺をガスバーナーで焼き切り、対象を拘束するやつ。前教えたろ」


前教えたろって竹中さんに何教えとんじゃ!・・・コホン、でもよく考えたらこの人に任せるとうちの姉の命が危ない。


「竹中さん綾瀬先輩、この人の暴走を止められるにはあなた方です。うちの姉を守ってやってください」


手を合わせながら深く頭を下げる私。こうしたい気分にならざるをえないからだ。竹中さんは苦笑いで答えてくれた。


「祐二はああ言いながらも助け出すのは普通だよ。そしてそのあときつい説教だったり同調だったりでいままで更正させてきたからね。心配の必要はきっと多分無いはずだよ?」


かなりの不確定詞が入ってますよ竹中さん。それは危ないんじゃないでしょうか?あと綾瀬さんはすでに私のことを肉食獣の目で見ている。


「祐二に手を出したら許さないわよ?」


怖いです。しません。少しどきっとしたけどあの人はいろいろレベルが高すぎる。


「い、いえそんなことは決して」


「ならいいわ、あ!祐二!!!」


後ろを向きながら歩いていたので急いで振り返ると富村さんが前方遠くまで走っていた。


「来るなよ!!絶対来るなよ!?」


それは来いの前振りです。


「なんでー!!!?」


綾瀬さんが遠くの富村先輩に叫ぶ。


「手榴弾のピンが抜けた~~~~!!!!」


普通に返事するけど危なすぎます。その振りをしていると多分誰か巻き添え食らう人が出てきますよ!?


「あ!うわらば!!!!」


爆音と熱風が降り注ぐ。汚い花火だね。祐二先輩は爆発した。そしてこの大きな空の星(まだ見えない)となりました。


「祐二~~~」


泣きながら叫ぶ綾瀬先輩。竹中先輩は普通に歩みを進め始めた。え?いいの?人が死んだんだよ?竹中さんは振り返ってこういった。


「大丈夫。祐二はギャグ補正付いてるから」


そんなんで良いのですかね。私には分かりませんが、あ、家だ。ん?見たことのない置物が・・・まさか。


私は一歩先に家の前に行く。すると富村さんが頭からうちの玄関前の土のエリアに突き刺さって居るではないか。しかも地上に突き出ているのは下半身だけ。これが竹中さんが言ったギャグ補正ね。


「ほらね?」


竹中さん。そう言われても私にはそんな人間見たこと無いわけですよ。人間って言うのも疑問を持ちますが。


「ああ、はい」


うなずくしかない。


「祐二~~~~~!!」


そう言って富村さんの下半身に抱きつく綾瀬先輩。表現次第ではR18だがそう言うわけではないのでご安心ください。


「~~~~~~ん~~~!!」


突如もがき出す富村さん。確かにあの格好は息が苦しいね、でも綾瀬先輩がそれを押さえ込む形になっているから動けないらしいね。


「綾瀬先輩!!」


「なによ」


ギロっと睨まれた。


「早く富村さんを引きづり出してあげた方が・・」


そう言うと綾瀬先輩はあっ!と言ってすぐさま富村さんを引きづり出した。


「へへ、グッドモ~ニ~~ング・・・」


なんて生気のない笑みなんだ。どう返せばいいか表情を見ると分からなくなる。


「な、なんで刺さったりしてるのよ!!私に苦労をかけないでちょうだい!!」


出ました綾瀬先輩の得意技、TU☆N☆DE☆RE


「刺さりたくて刺さったわけだ!!!」


それはつまり刺さりたかったんですね。


「駄目じゃないの!!」


「祐二君、みゆき、そろそろ家に入ろうよ」


そういって勝手にヒートアップしている綾瀬先輩をなだめ、富村さんを中に入るように促す。そうか、この中で仲介役になっているのは竹中さんだけど私より先に中に入らないでほしい。


「突入制圧お宅の晩ご飯!!」


晩ご飯制圧しないで!!ああ、入っていっちゃった!!追いかけないと!!


「待ってください!!!」


「待ったら阿藤不快に負けてしまう!!」


酷い名前に改変されたものだ。だが他にも阿藤貝でもギリギリセーフだと・・・


「って落ち着いてる場合じゃない!!まって!お母さん居るの~~!!」


そういったときにはもう遅かった。



「あら、お客さん?こんにちは~」


お母さんがすでに富村さんの毒牙(?)に!!


「早速ですが冷蔵庫の中身を・・・ゴフッ!?」


ギリギリのところで富村さんの襟を掴んで思いっきり投げ飛ばすことができた。


「・・・・?」


お母さんはぽかんとしている。まず重武装している人をお客さんと認識するところから何とかしてほしい。


「おかあさん・・今の人は・・あとでいいや」


あとでいいや。竹中さんが早く行こうよとジェスチャーしてくる。そうだね、早くあの姉を何とかしないと・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ