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転生しても魔王に迫られています。異世界ではなく現代ですが!?  作者: くろのあずさ
第1話 宿敵魔王と再会しました……現代で!
7/63

6

「……私、退学する」


「大袈裟だなぁ。迷惑なんて気にしなくていいんだよ。なにもなくて本当によかった」


 紫音が顔面蒼白で告げたのを、利都は冗談としか捉えず声をあげて笑った。


「体調を崩すことは誰にでもあるって」


 的外れな慰めに紫音はますます屈辱で肩を震わせる。


「ところで、ふたりは知り合いだったのかい?」


 しかし利都の問いかけに紫音は目を瞬かせた。


「知り合いもなにも、利都こそ……」


「ああ、俺は彼と大学が一緒だったんだ。就職組の俺とは違って凰理は研究者の道を選んだけれど、まさか同じ職場になるなんて思ってもみなかったよ」


 明るく説明され紫音は悟る。利都は前世のことをまったく覚えていないのだ。


 私だって今の今まで忘れていたんだから……。


 寂しさを感じてしまうのは勝手だ。しかし、そうなると凰理との関係を説明するのは難しい。


「父方の親戚なんだ」


 返答に悩んでいたら凰理がさらりと返した。「はぁ?」と言わなかった自分を褒めてやりたいくらいだ。突拍子もない話に、つい魔王を睨みつける。しかし相手は余裕たっぷりに微笑み返してきた。


「会うのは久しぶりだが、昔かなりからかったからご覧のとおり嫌われているんだ」


 もちろんそんな事実はなく、紫音自身も初耳だ。


 こんなためらいもなく息をするように嘘がつけるなんて……やっぱりこの男は魔王だ。


 だが、中らずとも遠からずなのがまた憎い。


「久しぶりだな、紫音」


 説明に説得性をもたせるためか凰理は紫音に声をかけてきた。


 馴れ馴れしく名前を呼ばないでよ!


 内心で訴えつつ、利都に納得してもらうためにはこの男に話を合わせるしかない。けれど冗談でも「久しぶり」とは返せず、紫音は返事をせずに顔を背けた。まるで子どもだ。


 らしくない行動だと自覚はあるが、前世の関係と記憶が蘇った今、早々に切り替えもできない。


 咄嗟の言い訳にしては無茶苦茶だと思ったが、凰理の言い分は利都を納得させるには十分だった。


「なら悪いが、紫音を任せてかまわないか? 俺、仕事を抜けてきたから戻らないと」


 その証拠に、すっかり凰理を信じた利都がとんでもない頼みを口にする。 

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