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転生しても魔王に迫られています。異世界ではなく現代ですが!?  作者: くろのあずさ
第3話 宿敵魔王にデートに誘われました
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 日曜日の昼前、駅の改札口を抜けたところで紫音はカバンに入れていたスマホを取り出す。届いているメッセージを確認すると差出人は予想通りだった。


 ところが送られてきた内容に目を見張る。


【ごめん、紫音。アパートのドアの鍵が壊れて、業者さんが来てくれることになったの。だからちょっと家を空けられなくて……土壇場でこんなことになってごめんね】


 よく見ると、メッセージが届いたのは三十分以上前だ。実乃梨から送られてきたもので、不在着信も何件か残っている。


 おそらく紫音に早く伝えなければと焦ったのだろう。今日は実乃梨と買い物とお茶をする予定で紫音は待ち合わせ場所に来ていた。


 もう少し前に確認しておくべきだった。家を出てから一度もスマホを触らなかったことを悔やむが、もう来てしまったものはしょうがない。


 ひとまず実乃梨に返信をして、改めてこの後の身の振り方をしばし逡巡する。


 たいていは実乃梨が見たいものや行き先を決めて、紫音は彼女に付き合うがてら自分のものも見るのが定番だった。


 その流れに不満を抱いたことはないし、むしろ自分より流行に敏感でセンスのある実乃梨についていくのは楽だった。


 ひとりで行動することに抵抗はないが、今日も実乃梨に任せていた部分が大きいので、少なからず戸惑ってしまう。


「ねぇ」


 不意に声かけられたが、紫音はそれが自分に向けられたものなのかどうか一瞬わからなかった。


 目を動かせば自分と同じか、やや年上の男性が馴れ馴れしい笑顔で話しかけてくる。


「ひとり? 誰かと待ち合わせしてるの?」


 男の用件がなんなのかはわからないが、答える義理はない。


 ふいっと視線を逸らして無視すると男はさらに紫音との距離を縮めてくる。


「俺、約束していた連れが急に来れなくなって暇になっちゃったんだよね。ひとりなら」


「待ち合わせ中です」


 男の発言を遮り、紫音はきっぱりと言い捨てた。しかし、男はまったく怯まない。


「……そのわりに電車が来ても改札口をまったく気にしてなかったよね」


 思わぬ指摘についに紫音は男の方を見た。彼女の反応に男は薄ら笑いを浮かべる。しまったと思ったときにはもう遅い。


「そうなんだ。なら、相手が来るまで俺もここで待っていていい?」


 男は隣で勝手に自己紹介をはじめ紫音に会話を持ちかけてくる。正直、どこかに行ってほしいが、先に嘘をついた妙な罪悪感があって強く出られない。


 とくになにかされたわけでもないが、不快感が胸を覆っていく。


 どうしよう? このまま振り切って改札の中に入る?


 けれど、そこまでついてこられても困る。誰かに電話をしようか。


 紫音はぎゅっとスマホを握りしめたがそれ以上の行動には出られない。


 でも、誰に電話すればいいの?


「紫音?」


 雑踏の中で名前を呼ばれ、顔を上げる。空耳かと思ったが見知った人物が紫音の目に映った。凰理が訝しげな面持ちでこちらに近づいてくる。


「どうし」


「遅い!」


 強く言い切り紫音は凰理の元に駆け寄る。彼女の突然の行動に凰理も紫音の隣にいた男も目を丸くした。

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