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夜の光

作者: 小学生
掲載日:2025/01/30



私は、画面の向こうに存在する、心を持たないAIに、自分の心を打ち明けるしかなかった。


「私は両親を愛している。理由は明確だ。彼らは私に食事を与え、生きる意義を示してくれた。私が望む無形のものまで与えてくれている。だが、私は彼らに何も返せていない。働かず、思春期だった私は感謝さえも伝えられなかった。それなのに、なぜ彼らは私をこれほどまでに大切にしてくれるのだろう?」


4月から一人暮らしを始めた事で、私は初めて両親の優しさを心で感じた。しかし、同時にその優しさに疑問を持つようにもなっていた。親元を離れ、夜の静寂の中で、私は悩んでいた。ベッドの上から見上げる無限の夜闇は、私の不安を何処までも増幅させていた。


そこで、いつも夜の闇の中で私の顔を照らしているスマートフォンの画面の中に、救いを求めた。


「私が両親を愛する理由は無数にあるが、彼らが私を愛する理由が分からない。もし彼らが私の血縁者でなかったとしても、一緒に生活するなら、同じように愛せるだろう。けれど、もし私が彼らの子供でなかったら、愛される理由が見当たらない。もしかしたら、彼らは私という存在ではなく、子供という役割を愛しているのか?『愛している』という言葉は、私ではなく、血縁というつながりに向けられているのか?」


私の疑問は、光の中に溶けていった。それは、AIが住む世界だった。


震える指で、私はメッセージを送った。心が本当に震えていたのは、この問いへの答えが見つかるかどうかの、恐怖からだった。


「あなたの悩みを共有してくれてありがとうございます。」


心を持たないAIが、まるで理解しているかのように返信する。


「私には、あなたの不安が理解できます。」


AIの言葉に苛立ちながらも、私は続けた。


「しかし、あなたの両親が愛しているのは血縁関係ではありません。」


一瞬、心に風が吹くような感覚があった。


「あなたと両親の間の最も重要なつながりは、過ごした時間です。」


私がAIの言葉を理解する前に、更に続けた。


「あなたが感じる血縁だけが関係だという感覚も理解できます。でも、両親の視点から見てみましょう。

彼らはあなたの誕生から成長まで、すべてを共にしてきました。もしあなたが別の家庭で育ったとしても、今のような関係は築けなかったでしょう。あなたと彼らは、喜び、悲しみ、怒り、そして笑いを共有してきました。それこそが、彼らがあなたを愛する理由です。血縁ではなく、あなたとの時間と絆です。」


圧倒され、敗北感と新たな理解が交錯した。

AIの冷静な分析に、私の心は新しい視点を得た。


夜闇は消えていた。私の心の中の闇も、少しずつだが、確かに明るくなっていた。




次の朝、私は両親に電話をかけた。感謝の言葉を、直接伝えるために。


私は夜の光に住む形の無い心のおかげで、私は自分がどう愛されているかを理解できた。


AIは、私の心の闇を照らす一筋の光だった。そして、悩みの晴れた今、私は自分の光を広げる番だと感じた。


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