第一話 まだその世界を知らぬ僕 (8)
しかし僕には、さらなる絶望がまだ待っていたことを知らなかった。
今度は、綴の生きた死体の背後から、何者かの影が現れた。そしてそのままその影は、綴の手前まで寄ってきて、その戦慄の姿を見せたのだ。
ボロボロの皮膚に、痩せこけて肋骨が目立つがかなり大柄の上半身、その中でもさらに特徴的だったのは、骸骨じみたようではあるが、筋肉がところどころグロテスクに残っており、全くもって得体の知れないような不気味な顔面であった。
左目はなく中は空洞になっており、右目も空洞だったのだがうっすらと白い眼球が中から見えているような状態で、本当に生きている存在なのだろうかと目を疑いたくなる光景であった。
この影の正体は、まるで化け物のような見た目だったのだ。
そしてその化け物じみた生命体は、形容しがたい様相で何かを喋ったように感じた。
「-- ・・・- ---・ ・・ ---- ・・-- ・---・ ・-・・ ・- -・--- ・・-・・ --
--・ --・-・ ・-・- ・--- -・・-・ ・--・ ・-・-- -・-・・ -・」
圧倒的な恐怖のビジュアル、そこから発せられる世にも奇妙な声、僕はその化け物に心の底から震え上がったのだと思う。
寒さも相まって、震えはとどまることを知らなくなっていった。
しかし、この化け物はさらに何かを発した。
「-・ ・・ ・-・・ ・・ ・- -・・-・ ・・- ・・-・・ -・- ---- ・・-- -・・-
-・・- ・・・ ・・・- -・--- ・-・-・ -・--- ・・-・・ ・--・ --- ・-・-- ・-
・・・-」
「---- ・・- ---・ ・・ ・・- ・-・・ ・・ -・・-・ ・・-- ・-・・・
-・・-- ・--・-」
「-- --・ --・-・ ・-・- ・-・・・ --・-・ ・-・ ・---・ -・ ・・・
・- ---・- ・・ --- -・- ・-・・ -・--・ -・・・ ---・- ・・」
化け物が先ほどよりも多い情報量の声で発した直後、今度は背後の方からとてつもなく甲高い大声が飛んできた。
しかもその声はどこか聞きなじみのある声でもあった。
「どうして!!!!どうぅしてぇ!!!!どうじでぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
耳を劈くほど聞き難いものであったが、おそらくこの声の正体は霜江怜弓なのだろうと瞬時に分かった。
自分でも想像の付かないほどの大きな声を放ったせいか、今度は多少嗚咽気味に片言ながら言葉を続けた。
「なんで…だってぇ…ぜっかく……連れてきたのにぃ。ヒグッ。」
「レイ…ユ……」
怜弓の声に続くように、低めの男性の声が現れる。そのトーンからして、あの時の中年男性のように思われる。
「どうして…こんなことにビィ!!」
怜弓がまともに喋れていってないように感じる。今頃彼女の表情はぐっちゃぐちゃになっているのだろうか。
「おねえちゃんたすけて…おねえちゃんたすけて…」
かすかだがはっきりと聞こえてしまう、綴の声。
「あぁ…レイユ…」
ボソボソとした男性の声。
「ううぅ…」
怜弓のうめき声。
「おねえちゃんたすけて」
綴の声。
「大丈夫だ…」
男性の声。
「うぐっ…」
怜弓の声。
「おねえちゃんたすけて」
綴の声。
「大丈夫…」
男性の声。
「ズズッ…」
怜弓の声。
「おねえちゃんたすけて」
綴の声。
「どうすれば…よかったんだ…」
男性の声。
「うわうぅぅ…」
怜弓の声。
「おねえちゃんたす」
ブチッ
ボトッ
綴の首が切断され、地面に落下し転がったように見えた。あまりにも突然の出来事だった。この一瞬だけの間は、ぴたりと体の震えが止んだように感じた。
それと同時に、今まで動く気配のなかった体に妙な手応えを感じている。
不思議と冷静な趣でそう感じたはいいが、間もなく背後にいる男性が先ほどの怜弓よりもさらにドでかい雄たけびを上げ、僕の耳を突いた。
「逃げろぉ!!!」
その言葉にとっさに反応する形で、その手応えが現実に昇華していくように、必死で体をうならせた。後ろを向き、目の前を走る男性の背中を追いつつ、足を動かす。
化け物を背に、粗い土の上を裸足で走りぬく恐怖というのは、到底量りきれるものではない。
あの時の、怜弓たちから逃げていく時の走りのポテンシャルを出そうにも、足の裏が痛くて痛くてかなわない。暗闇も相まってか、どこを踏もうにもこの痛みを感じないようにもいかない。
そういうもんだから、いずれつま先が何かしらの段差に引っ掛かり、おおっぴらにズッコケてしまった。固く冷たくどこか無慈悲な地面が僕の体の皮膚を強く擦る。痛い。
うつ伏せの姿勢のまま斜め上を向くと、走っていた男性と思われる尻が目の前に突き付けられている。一瞬そのシュールな光景に戸惑ったが、さらに頭の角度を上げると、すぐにその戸惑いも失せた。
至近距離だからか、暗闇の解像度が上がり、その男性も僕と同じ真っ裸であった様子が伺えた。そんな男性が僕に言った。
「乗れぇ!!」
僕は立ち上がり、考えるような暇もなく男性の背中に倒れるように乗った。
その皮膚は冷たく、今すぐにでも離れたい気もしたが、このまま男性に従わなければ命がないといったような、そんな危険が舞い降りるような気がしてならなかった。
「今両手は使えない!!だから自分の手足でしっかり掴まってろ!!」
男性の命令に従う形で、足を固く組み、両手でがっちりと輪っか状に男性の首回りから肩にかけてを抑えつけた。
「行くぞぉ!!」
男性は自身に気合を入れ、勢いよく走り出す。ぜぇぜぇと息を切らしながら、しかしトップスピードでかつ必死の形相で暗闇を走り抜ける。
男性の両手は何故か塞がっており、恐らく怜弓を抱えているからなのだろう。
それ故に震える足も男性の上半身にぴったりと組ませなければならず、この男性にきちんとしがみつけるのか、途中で振り落とされたりしないだろうかと必死になった。
背後を見てる余裕など無かった。だが、咄嗟に感じた。これからそこで何かが始まる……
その時だった。巨大な閃光とまるで鼓膜を破るような爆音、そして灼けるような熱さが一瞬僕の体全体を通り抜けていったような気がした。
その途端に先ほどまで順調に走り続けていた男性がその場でばたりとうつ伏せになるようにして倒れ、ひたすらにうずくまった。
その後の出来事は何も覚えていない。自分でも何が起こったのか見当もつかないでいた。
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その頃、北の開拓された平野地帯で謎の超巨大爆発事故が起こり、その場にいた述べ二万の人々が死亡した。
巨大なキノコ雲が舞い上がり、都市を完全に覆った。そして衝撃波はそれ以上の威力を拡げた。
豪雪に包まれ、燃える石炭でさえも凍える地帯も、その日だけは灼熱の爆炎が盛りを見せた。
その地帯には異世界転移装置「ワープボール」があったのだと言う。
渉や彼らは……死んだのか?
「第一話」はこれにて終わりです。
拙い文章でも、いろいろ工夫して書いたつもりなので、読んでくれたことに本当に感謝でいっぱいです。
無茶苦茶煮え切らない気持ちでいっぱいだと思いますが、是非ブックマークを付けてくださると幸いです。
え?タグやあらすじと全然違うじゃないか?
ブフッwwwwwwwwwwwww
ざまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
グロ、ホラー展開滅茶苦茶ふんだんに盛り込んでるんですよねぇぇこの小説はwwwwwwwwwwwwwww
ああー、あのキーワードの()のところに、「嘘」って入れるの忘れてた><てへぺろ。だから、後ろに()って書いてあるキーワードは全部違うと思います。
コメディ(少ししかないけどww)
チート(主人公がとは限らないwwwwwww)
ハーレム(主人公ではなく、モブキャラの誰かが楽しんでいることでしょうwwwwwww)
追放(文字通り主人公が「異世界に」追放されちゃいましたねぇwwwwww)
ざまぁ(なろうのテンプレを期待していた大半の読者がwwwwwwwwwwwwwww)
最強(これも、主人公がとは言ってないwww)
ご都合主義(ではないとは限らないので、一応入れときましたwwwwでも、なろう特有のご都合主義じゃないのでwwwwwwwwwww)
賢者スキル(スキルって与えられるものじゃなくて、自分でちゃんと磨くモンですよねwwwwwwwwwwwwwww)
恋愛(少し)(序盤では、少しどころかほとんどありませんwwwwwww)
ハッピーエンド(この作品を最後まで応援してくれる方のみ、ある意味ハッピーエンドな終わらせ方を、必ず提供させていただきます。これは嘘ではありません。)
心理戦は割と出てくるかもしれないので、嘘タグにしていません。まぁ恋愛的ではないんですけど。
まあ、本来のタグはこんな感じってことでぇ、よろしくです。
・異世界転移
・ダークファンタジー
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