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泣いてもω(オメガ)笑ってもΣ(シグマ)  作者: 武者走走九郎or大橋むつお
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97『メイド服のマッジさん!』

泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)


97『メイド服のマッジさん!』オメガ 





 某国のミサイルが落ちてくるのは宝くじに当たる確率ぐらいだと思い始めている。


 まあ、危機感というものは長続きしない。


 今日もミサイルは落ちてこないが、そのミサイル的確率の事故が学校で起こっちまった!



 なんと、学食でガスと電気のトラブルが重なったのだ。



 うちは都立高校の中でも指折りの古い学校なので、耐震補強とかバリアフリーとかは進んでいるんだけども、ライフライン設備はすごく老朽化している。


 校内放送で教頭先生がグダグダ説明したけど、要は、本日食堂は使えないということだ。


 おまけに、学食にパンを運んでいた車が事故で大破という事態が重なった。


 つまり、自販機のジュース以外、校内では手に入らなくなったのだ(;'∀')。


―― 四時間目を十分短縮します。その十分間で、弁当を持たない生徒は校外で調達してください ――


 学校の対策は無茶だ。


 十分で行って帰ってこられるのは、学校の半径二百メートル以内だ。


 昼休みの半分を買い出しに当てるとしても、半径四百メートル。


 利用できるコンビニは二軒、パン屋が一軒。この三軒で五百人はいるであろう学食生徒の昼飯をまかなうことは不可能だ。



「いっそ、午後の授業をカットすれば、問題解決になるんじゃないっすか?」



 真面目に提案したんだけど、教壇のヨッチャンは完全に無視だ。


 どうも俺のω顔では、真面目な発言とは受け止めてもらえない。


「……脱走だな」


 ノリスケが呟く。


 買い出しに出たまま帰らないという意味なのは、付き合いが古いので以心伝心。


 無言のうちにチョイ悪男子を決意したところで、校内放送がかかった。


―― 一年三組の妻鹿小菊さん、三年三組の妻鹿雄一君、至急玄関まで来なさい ――


 さっきの教頭先生が俺と小菊をまとめて呼び出しているのだ。


 何事かと駆けつけてブッタマゲタ!




 なんと、マッジさんが濃紺のワンピースに胸当てエプロンという真正メイド服姿で立っていた!


 それも玄関車寄せの真ん前、大蘇鉄のところにだ!




 いかにも、メイドさんが御主人の使いでやってきて、うやうやしく控えています……って感じ!


 ここは、本館のどこの教室からでも見える! 見えてしまう!


 俺が彼女のところに駆け寄った時には、校舎中の窓からの視線が突き刺さってきやがった。


 もし、視線を可視化したとしたら、俺は体中に矢が突き刺さった弁慶の立ち往生! マッジさんは、体中から奇跡の後光を発しているマリア様!


 そりゃそうだろう、アキバのメイドじゃなくて金髪で青い目の真正メイドさんなんだ、注目を集めないはずはねえ!


「お呼びたてして申し訳ありません、学校食堂の事故を知りましたので、お弁当をお持ちしました」


 マッジさんは二つのランチボックスを持っていた。


「え、あ、いや、どうもすみません(#'∀'#)」


 大きい方を受け取ると、マッジさんは俺の肩越しに玄関の方に頭を下げる。


 ランチボックス持ったまま首を捻じ曲げると、怖い顔をして玄関から出ようとしない小菊が目に入った。


 ちょっとマズイよな……。





☆彡 主な登場人物


妻鹿雄一 (オメガ)     高校三年  

百地美子 (シグマ)     高校二年

妻鹿小菊           高校一年 オメガの妹 

妻鹿幸一           祖父

妻鹿由紀夫          父

鈴木典亮 (ノリスケ)    高校三年 雄一の数少ない友だち

風信子            高校三年 幼なじみの神社(神楽坂鈿女神社)の娘

柊木小松ひいらぎこまつ  大学生 オメガの一歳上の従姉 松ねえ

ミリー・ニノミヤ       シグマの祖母

マッジ・ヘプバーン      ミリーさんの知り合いの娘 天性のメイド資質

ヨッチャン(田島芳子)    雄一の担任

木田さん           二年の時のクラスメート(副委員長)

増田汐しほ        小菊のクラスメート

ビバさん(和田友子)     高校二年生 ペンネーム瑠璃波美美波璃瑠 菊乃の文学上のカタキ

           




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