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泣いてもω(オメガ)笑ってもΣ(シグマ)  作者: 武者走走九郎or大橋むつお
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25『先輩にキャンセルのメールをしたワケ』

泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)


25『先輩にキャンセルのメールをしたワケ』シグマ 




 調子に乗ってしまったよ。


 学年末テストが終わって気が弛んだと言うのか膨らんだと言うのかねえ……。


 サブカルチャー研究会というのは我ながらいいアイデアだったと思ってる。そのことに間違いはないよ。


 いまや世界に冠たるアニメもマンガ映画と呼ばれていたころは三級以下の文化だったらしい。


 マンガそのものも長い間差別されていたんだよ、信じらんないけど。


 マンガみたいだ。という言い方は「低級だ」「お笑い草だ」「品が無い」「子どもっぽい」「子供だまし」「いつか卒業するもの」などというマイナスのイメージしかなかった。


 だけど、いつの時代からかアニメと言われるようになると評価が変わってきた。


 わざわざ大人が時間を潰して映画館に行ったり本屋さんに並んだりするものなんだ。真面目な顔して評論もするしね。お金的に言っても文学やら普通の映画を抜いてガンガン稼いでいるしね。



『君の名は』とか空前の大ヒットで、SFとしても青春物語としても伝奇物としても大成功の記念碑的アニメ。デリケートでファンタジーな世界は世界中で支持を得ている。調べまくったわけじゃないけど、村上春樹さんの『騎士団長殺し』よりもファンは多いし理解もされてるんじゃないかなあ。あ、『騎士団長殺し』はお父さんが買ってた。「どんな話なの?」って聞いてみて、いちおう説明してくれるんだけど、イミフ。たぶん、お父さんも分かってないと思う。


『騎士団長殺し』はざっと150万部 『君の名は』観客動員は1000万人超えなんだそうだよ。


 もう勝負あったって感じだと思うんですけどね。


『騎士団長半殺し』てな本は出てこないけど、『君の名を』てなエロゲはちゃんと出てるもんね。


 まだアズサルートしかやってないけど、すっごく感動したもんね!


 あけすけに言えばパロディーってか便乗なんだろうけど、それでも、すっごく人を感動させる作品に仕上がってる。


 エロゲってのは万人にお勧めできるもんじゃないけど、エロゲが秘めているパッションとかエモーションとかは注目していいんじゃないかなあ。『冬のソナタ』の監督は日本のエロゲが好きだとかネットで出てたよ。冬ソナ自身、某エロゲと似てるらしい。同じアイデア、似たプロットで、一部のファンは冬ソナはパクリなんじゃないかって言う人もいるけど、優れたものは自然に似てくるて言うしね。そういうとこ掘り下げるってか、好きな者同士で話ができたらなあって思う。

 

 もちろん、学校で「エロゲ研究会」なんてできるわけがない。



 だから考えたってか閃いたんだ(^_^;)。



『サブカルチャー研究会』 


 別にごまかしてるんじゃないわよ。



 エロゲってのは二次元カルチャーの核になると思うんだよね。じっさいエロゲから良質なノベルとかゲームを派生せている。


『あいてつ』とか『この青空に翼を広げて』とか『インハート』とかのゲームやアニメは元々エロゲだったんだもんね。


 それでサブカルチャー研究会を立ち上げることにした。


 ペンタブとパソコンでチラシをこさえて後期選抜の合格発表で撒くことにしたんだ。



 合格発表には、オメガ先輩がきれいな女の人……と思ったら従姉の小松さんと来ていた。離れたところに小菊ちゃんがいたので、小菊ちゃんがうちの学校を受けたんだと分かる。小菊ちゃんの合格発表には一悶着あったんだけど、主題はそこじゃない。


 落ちた子にチラシを渡すわけにはいかないので、午後の合格者説明会で撒くことになっている。


 で、これがちっとも受け取ってもらえない。



「サブカルチャー研究会でーす!」



 精一杯の笑顔でなけなしの情熱籠めて差し出すんだけど、受け取ってもらえたのは二三人。


 いっしょに勧誘していた軽音やダンス部なんかは早々と入部希望者が名乗り出ている。


 サブカルチャーってマイナーすぎたのかなあ……と思ったけど、どうやら違う。


 チラシを渡そうとして合格の子たちの顔を見ると目をそらされる。中には露骨にビックリしているような子も居て、正直メゲた。


 ここのとこオメガ先輩といっしょのことが多くて、で、オメガ先輩は普通に接してくれるので思い違いをしてしまったんだ。


 あたしのΣ顔は、やっぱ人に避けられる。そのことを思い知った合格発表だった。


 担任の堂本先生が合格発表の担当で、とうぜんビラまきの最中に目が合った。



――世の中甘くないんだぜ――



 口にはしないけど、そんな目であたしを見る。


 凹みまくって先輩にメールした。会って話を聞いてもらいたかった。



――よし、わかった――



 たった七文字だけど気持ちの籠った返事が返って来た。


 でも、土壇場でキャンセルのメールを打たざるを得なかった。


 だってね……


 なんの前触れもなくハワイのお祖母ちゃんがやってきたんだもん(;'∀')!





☆彡 主な登場人物


妻鹿雄一 (オメガ)     高校二年  

百地美子 (シグマ)     高校一年

妻鹿小菊           中三 オメガの妹 

妻鹿由紀夫          父

鈴木典亮 (ノリスケ)    高校二年 雄一の数少ない友だち

柊木小松ひいらぎこまつ  大学生 オメガの一歳上の従姉

ヨッチャン(田島芳子)    雄一の担任

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