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マリーとよばれて  作者: 輪形月


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20/39

レーヌで行きます!(その5 1779)

本日も拙作をお読みいただきまして、ありがとうございます。

なお、本投稿を行った11月2日は、マリー・アントワネットの誕生日です。

 現世のお母さま(マリア・テレジア)から贈られてきた蒔絵の箱は当初、不思議なほどあたしを動揺させた。

 いや、お母さまがダイヤモンドより好きとおっしゃって、漆器を収集してたのは知ってたよ。現世の実家の夏のおう(シェーンブルン)(宮殿)に、漆の間なるコレクションルームを作ってたのも。その購入資金は現世のお父さまからも出てたってことも。

 詳しいことを直接あたしが見聞きしてたわけじゃない。だけど、政治的手腕も軍事的能力もないという理由で、お父さまが皇帝と思えぬほど相当軽んじられてたのは知ってた。

 けれども、お父さまは無能じゃなかった。そのすぐれた財務能力のおかげで、娯楽にもたっぷりお金は使うけれど、貯蓄もばっちりしてたとは聞いてる。

 おそらくだが、お父さまは愛するお母さまが欲しがってると聞けば、その貯蓄さえすっからかんにする勢いでコレクションを貢いだんじゃないかしらん。


 そう、漆の間は二人の愛情の形でもある。いくら現世では実の子とはいっても、精神的には赤の他人ですよ。あたし。無神経においそれと踏み込めるわけもない。

 だから、あたしは自分から漆の間に近づくことはなかった。いくら前世を思い起こさせるものでもだ。

 それが、蒔絵の箱という形で、その一欠片が、今、あたしの手元にある。


 あたしはそっと箱に触れてみた。自分でも手がかすかに震えているのがわかった。

 この箱は、この世界でも日本が存在していること、前世のあたしの住んでいた日本とは違うけれど、この世界の日本はこの世界の日本で存在しているのだと主張するものだった。


 その一方で、この箱はあたしに覚悟を決めさせるものだった。

 お母さまが自分の宝物を送ってきたのは、出産祝いという理由でだ。

 つまり、次代の王、そしてそれに連なる者たちを産むという、王妃としての最大の存在理由を果たしたから。

 お母さまとお父さまの愛を分け与えてきた、と考えるならば、これが手箱のように小さなものだったは、生まれたのがマリー=テレーズ――女の子だったからか。

 だったら、王太子となるべき男の子を産めば、これよりも大きなものが贈られてくるのだろうか。

 そこに入っているものが何かはわからないけれど。


 日本昔話のつづらじゃないんだからとは思う。

 しかし外見は鈍い金色の模様に見える箱も、内側はとろりと闇一色。見方を変えれば、オリエンタル趣味なパンドラの箱にすらなぞらえることもできてしまう。

 だって、これを贈ってきたのはお母さまのメッセージだ。だからこそ、はっきりとわかってしまう。為政者としてのお母さまの狙いが。


 政略結婚としての第一の目的、フランスと神聖ローマ帝国との関係を安定させ、友好的なものにするというのは、あたしとルイくんが結婚した段階で達成できている。

 そしてこの蒔絵の箱が示す目的は、単なる王妃、王太子を産む子宮を持つ者としては、ハプスブルグ皇帝家の血筋を持つ者を玉座に座らせること。

 そしてそれまではあたしがルイくんを傀儡とし、お母さまの手足、いやコピーとしてこの国の政治を握り、神聖ローマ帝国に都合良く動かすことを示している。

そのために、いっそういかなる瑕瑾も許すなと。為政者として宮廷に君臨せよというのだ。

 そうすればようやく、お母さまはあたしを認める。下賜に近い形であっても、美しいものを、価値あるものを分け与えてやってもよい相手として。


 ……理解はした。好きなものには耽溺するが、一度嫌ったものはとことん排斥する苛烈なお母さまだ。従わねば、あのお手紙攻撃なんてもんじゃない何かがやってくるだろう。けれどもあたしはお母さまの思い通りに動く気はない。

 だって、そもそもあたしがなんで、ここまでフランス宮廷に嫌われてるのかっていうと、お母さまのせいもあったらしいんだもん。


 お母さまってば、あたしが嫁いできた直後だかその前あたりだったか、けっこう大きな宮廷舞踏会で、舞踏会の冒頭で踊るメヌエット――その舞踏会の顔となる親王や内親王といった高位の王侯が、それも直系傍系と順に踊った直後なので、同輩公の中でも上席権を持つ家が踊る――を、ロレーヌ家のご令嬢が踊るよう、仕向けさせたんだそうな。

 フランスでいうロレーヌ――ロートリンゲンはたしかにお父さまの国だったところだ。けれど神聖ローマ帝国の皇帝位を継承する際のすったもんだのせいで、お父さまは自国を、領地を失った。

 ロレーヌ家はフランス国内でもそこそこの名家で、フランス王家の流れも汲んでいる。とはいえ、彼らが主張するようなハプスブルグ皇帝家(あたしの現世の実家)とも共通の家柄だというのはどうかと思うのよ。縁戚関係なんてほとんど意識したこともないというね。


 つまり、王太子妃であるあたしと、縁が切れているにひとしいのよ。そのご令嬢とは。

 少なくとも、父親の遠縁らしいが面識の欠片もない格下の、さらにいとこのはとこ、ぐらいには遠いと思うの。

 なのに、そのご令嬢のお母さんだかおばさんだかのお願いを、いとも慈悲深くお聞き入れになったお母さまってば、メルシー伯に命じて、そのご令嬢たちにメヌエットを踊らせるべく、横車を盛大に押した。らしい。


 らしいらしいが多いが、フランス宮廷であたしの知恵袋的な存在であるメルシー伯から聞いた話じゃないからねー、これ。

 てか、メルシー伯だって、自分の昔のやらかしなんて訊ねても喋んないだろうし。

 しかも、やらかしたご令嬢だか、そのおねーさんだかは、メルシー伯の結婚相手に擬せられたこともあったとかなんとか。

 そりゃ話しづらいでしょうよ。

 おまけに、あの人はお母さまに忠誠を誓っているから、あたしの近くにいてはくれる。だけどあたしに忠誠を誓っているわけじゃないから、あたしに従う気なんてさらっさらないんだもん。

 

 自国の宮廷なら女帝(お母さま)のお望みのままに、ってなもんでしょうけど、お母さまとメルシー伯がやらかしてくれたのは、フランス宮廷でのことだ。このメヌエットを口実に、ロレーヌ家が家格をさらに引き上げとそれに伴う特権獲得を狙ったせいで、スペインの公爵たちまで憤慨し、あわやフランスと神聖ローマ帝国の間で戦争勃発か、という状況に陥りかけたらしい。


 こんな大事件をあたしが知らなかったのは、その後怒りのあまり式典をボイコットすんぞコラ(意訳)と示威行動をしていた貴婦人たちをなだめるため、しゃしゃりでてきた令嬢なんていなかった、てな感じで、義祖父陛下が事をおさめていたからなのだよ。

 国王が黙殺しちまえば、いちいちこういうことがあったよと教えてくれそうな人ってのは、……まあ、よほどあたしに波風立てさせたいって思惑モロ出しでもない限り、いませんわな。

 結果、あたしは彼らにとって、自分たちの既得権益を轢殺すべく横車を押してきたおかあさまの娘。しかも代わりに謝罪かなにかするかと思えば、知らんふりか?ってなわけで、フランス宮廷における心象は超絶マイナススタートもいいとこだったわけだ。


 あたしは、前世のマリー・アントワネットの悪評って、わがままで無知、自由奔放だったから、あるいは浪費家だったからってのが大きな原因だったと思ってた。

 だから謙虚に真面目にお母さまのお説教も聞いてたのにさ。

 なんとか嫌われないように、腹心というべきお取り巻きを手に入れて、情報操作にも力を入れてきたのにさ。

 お母さまのせいで、スタート地点からしてマイナスにめりこんでたってのはなんだよと言いたくもなるでしょが。

 ……まあ、わかったところで今さらというか、今からじゃあどうともできないことではあるのだろう。

 ならば、今からできることをするしかないでしょうが。


 産後の肥立ちが元に戻るにつれ、あたしも民衆の状況にあらためて注意することにした。いくらなんでもパリの冷たさは尋常じゃない。

 ならば今は国民全体に目を向けるべきと思ったのだ。

 ……だけど、昨今の怪文書を見る限り、どうにもそれは民衆を相手にするだけではすまないようだった。

 

 娘を産んでからこっち、あたしはパリに行くことはほとんどない。

 オペラ座通いはいろんなしがらみがあったから、即座に止めることはできなかったけど、賭場には行ってませんとも。ある程度隠し資金へそくりができたってこともあるけど、なによりあたしは今や母親ですから、そうそう遊び狂っていられませんとも。育児が最優先です。

 

 なのに、相も変わらず飛び交う小冊子ときたら、まるであたしが淫魔かなにかのような扱いなのよ。

 その中身が正しければ、あたしはパリとヴェルサイユで同時進行的に何人もの愛人たちと関係を持ち、それとは別に女官たちを毒牙にかけまくっているってことになっている。

 フェルセン侯子?いや知らんて。


 一人減っ(軍隊に入った)た愛人(フェルセン侯子)の代わりに、オペラ座で仮装舞踏会の時にあたしが逢い引きしてたのは、ドゥ・コワニー公爵である!とか、すっぱ抜く論調で展開されても。誰やねんそれ。

たまたま仮面舞踏会に行くのに宮廷馬車の車輪が壊れたことがあって、しょうがないからってほんのちょっと――それこそ十歩か二十歩ってとこよ?――歩いて辻馬車に乗ったってだけで、馬車が壊れるほど激しくやったんだろう(何をだ)、とか。馬車を変えて行方をくらまし、たっぷり情事を楽しんでご帰還遊ばされた、ってぐあいの針小棒大レベルですとも。


 どれもこれも、濡れ場を描くためだけに作られた小説かなにかの設定かよ。女官相手にゆりゆりしてるってのは、それがほんとなら、もうそれだけで火刑レベルな宗教的犯罪なんですが。

 どう考えても、王妃としての価値のない者として、あたしを貶めるためだけに、スキャンダルをでっちあげにかかってるとしか思えない。こういうのって政治ポルノって言うんだっけ。


 冷静に分析しながらへらへらしているように見えるかもしれない。だけど、あたしだって、この誹謗中傷の弾雨をノーダメージで(かわ)せてるわけじゃない。どんな方向性であたしの足を引っ張りに来ているのかを探らなきゃなんないから、怪文書の中身チェックはきちんとしてますよ?エゴサーチは欠かせません。

 だけど、目を通せば通すほど気が滅入ってくるのだよ。どうしようもなく。


 なんとかギロチンを回避したいから国民に嫌われないように。王妃として振る舞い、やれることはやってきているけど、効果は未だに薄い。それは、中身のあたしという人物に魅力がないせいなのかもしれない。とか。

 ずっと白い結婚状態で、やっとこ産んだと思えば女児ってことでがっかりされているのかもしれない――女児でどこが悪いと個人的にはすごく思うけれど!つくづく封建制ってやつぁ……――とか。

 子どもを産まねば軽んじられ、子どもを産んでも批難されるってなにさ。とか。


 鬱憤と消沈をこね合わせると溜息にしかならない。それをごまかすように触れれば、蒔絵の箱は、不思議なほどしっとりと手に馴染み、心に馴染んだ。

 このつつましい金色は、ひたすらきらきらした宮廷内の装飾にうんざりしていたこともあってか、それだけでもあたしをひどく和ませた。

 そして理解した。

 現世のあたしも前世のあたしと同一人物なんだって。

 いくらマリー・アントワネットを何年もやってようが、それでもあたしには変えられないところがある。

 どんくさいところはなくせない。

 打たれ弱いところも、陰口で弱ってすぐに落ち込むところもだ。


 たいしたことがないって、怖いことですよ。

 無能というならそれはそれで目立つ。だけどあたしは何をやっても中途半端。だからこそお母さまはずっと手紙でお説教をかましてきたのだろうし、お兄様まで、あのお忍びからの帰還直後には手紙でお説教のツープラトン攻撃してきたんだと思う。

 どうせやるなら、後ろ指指されないところまで自分をまずは高めなさい、ってことだろう。

 だけどねー、またもお説教かと思えば、手紙見るだけでガチへこみするんですよ。心配してくれて嬉しいとか思えない。

 そんなわけで、お母さまの紙面公開お説教に対しては、お母さまが、私を貶める報告を信じておられるのはとても悲しいです。大体が偽りで誇張されていますと本当の事を書いていたりする。

 ……どこまで信じてくれるかわかんないけどね。


 嬉しかったのは、ルイくんが寵姫(メトレス)を置かないと言ってくれたことだった。

 それは、民衆の白眼視からあたしを守るためだったらしい。

 あたしが正統な王家の子を産めば産むほど、民衆は国母をたたえなければならなくなる。

 だって、あたしをけなすってことは、次の国王を国王になる前からケチをつけるのとおんなじ事になんのよ。

 ルイくんがしてくれる援護射撃としては、最上に近いんじゃないかと思う。

 とはいえ。

 前にメルシー伯が教えてくれたとおり、寵姫にはスケープゴートとしての役割も担わされている。淫蕩と浪費の象徴、バビロンの女というやつだ。

 寵姫がルイくんにいないからって、王妃のあたしにそのイメージが重ねられるってなにさ。

 風紀の乱れも乱倫のデマも、あたしのせいじゃねーっての!


 どうやら、この政治ポルノ蔓延の背景には、既得権益を死守するためには主君であるはずのルイくんやあたしにすら牙を剥く貴族たちの存在があるらしい。

 8月8日、ルイくんは王領地の農奴の身分を廃止した。王領地ってのは文字通り王の、ルイくん自身の領地のことだ。

 自領においては領主こそが絶対君主である。どんな大貴族だって横槍は入れられない。

 だったら、ほっときゃいーじゃないって思うでしょ?

 なのに、宮廷の貴族たちは過敏な反応をした。

 自領を皮切りに、ルイくんが、国全体の身分制度にまで手を着けるんじゃないかって。


 彼らの反応の理由を辿れば、あたしもルイくんも宮廷の簡素化に熱心すぎたってこともあるのだろう。

 だってしきたりの煩雑さったら、有害なんだもん。朝のお着替えタイムですら、あたしが下着姿で震えてんのに、服がなかなか渡されないとか。風邪引くぞ。

 ぶっちゃけ連れトイレ、いや散策とかだって、ぞろぞろついてこなくてもって思うじゃない?

 だけど、貴人――この国の第一人者であるルイくんと、その妻であるあたしなんざ、そのてっぺんですよ――の側に侍るってことは、宮廷貴族にとってステイタスであり実利を与えるものでもあるのだ。


 そう、彼ら貴族にとっては、あたしたちの行動って、寵臣の数を減らすのにひとしいのだ。椅子取りゲームの椅子をどんどん減らされるようなものだろうか。

 少ないパイの食い合いは、ライバルの蹴落としあいよりその状況に落とし込んだ相手を憎むことにつながる。

 確かに、彼らにとっては死活問題なのだろう。

 寵臣という体面を失えば社会的死、そして寵愛を失った相手に、権勢にすり寄る人間が杓子定規に忖度を加えるのも、あるいは政敵の死体蹴りを行うのもよくあること。


 で、そんな彼らは、寵臣という立場を欲しがるあまり、あたしやルイくんじゃない、別の人間の寵臣にすらなりたがる。

 誰を旗印に担ごうとするかってぇと、あたしたち以外の王族で、あたしたちにも対抗できる存在。

――たとえば、女性ではあるけれども、前王である義祖父陛下の子という、直系疑いなしの存在。あたしやルイくんでさえ敬意を示さねばならない王家の長者。

 三婆さまたちとか。


 ルイくんもそこは読んでたらしく、10月になると三婆さまたちにムードンのベルヴュ城への引退が命じられた。つまりとっととヴェルサイユから出てってね、ってことだ。

 これは、さんざん政争に首も足もどっぷりつかって引っかき回してくれてた三婆さまたちへの最後通牒でもあった。

 三婆さまたちは泣きつこうともしたらしいが、一度嘘をつかれてから、それまでのように盲目的な信用をしなくなっていたルイくんがそれを許すわけもなく。

 結果、三婆さまたちはヴェルサイユ宮殿から鵞鳥の群れのようにやかましくわめきたてながら出て行った。

 これからは三婆さまたちに、下着の儀式に乱入されることはない。そこだけはほっとした。

 三婆さまたちは、あたしたち――というより、あたしに集中して悪口雑言を極めてるらしいが、もともとヴェルサイユにいたころから陰口の発信者だったもんね。相手なんかしてやるもんかい。


 そう思ってたんだけどね。

 三婆さまたちの面倒くささ、騒がしさはヴェルサイユを出てから一層ひどいものになってたのだ。

 悪口はあっさり罵詈讒謗にランクアップ。

 例えば、あたしはそもそも不吉な花嫁だった、とか。

 結婚証明書にサインの時インクを垂らしたからだって。


 インクのシミで不吉かよ。

 あたしゃ鼻で笑ったね。

 不作為でぽっとりシミができたのは、ここヴェルサイユ宮殿の礼拝堂で書いたぶんだ。

 ウィーンで兄さまを代理花婿にたててやった時は、シミなんて作らなかったのよ。

 つまり、シミが不吉だ不吉だというなら、あのときずるっとずれたせいでシミを作ることになった、あの結婚指輪とか、シミをつけちゃった礼拝堂、ヴェルサイユ宮殿、そしてこの国が不吉だってことでしょうよ。あたしの実家は吉ってこと。


 てゆーかね、うっかりでつくっちゃったシミで国の機運が動かせるんなら、意図的にあたしが人の運命変えるぐらいの力を持ってるってことでしょうが。なんだその死神ノート。悪口言う人の名前から書いちゃうぞと。

 これをオブラート五枚ぐらい重ねて貴族的言い回しに包んだら真っ青になってくれたけどね。だったら最初から口に出さなきゃいいものを。考えてから喋れよな。

 

 そもそも力がある相手を軽んじるのはまだいい。人間全方位から尊敬しかできないような存在なんてないからね。

 だけど、せめて、相手を不快にさせないくらいの気遣いは必要でしょうよ。人間を重んじることができないのなら、その人間が就いている地位や持っている権力に注意を払うべきなのだ。


 三婆さまたちによるネガキャンになどかまっちゃいられない。

 あたしはもっともっとと手を伸ばすことにした。

 メルシー伯ばっかりに情報収集を頼ってはいられない。自分たちの、お母さまのやらかしの情報についてはしれっと目隠ししてきたりもするのだから。


 ――あたしは、あたしなりのマリー・アントワネットで生きてやる。

 人に優しく、自分に厳しく。でも折れないための自分のご褒美ぐらいは手元にあってもいいでしょう?

 あたしは、そっと蒔絵の箱を撫でた。

11月2日は、キリスト教では死者を祀る「万霊節」の日にあたる弔いの日です。また、マリー・アントワネットが誕生したその日は、リスボンで大地震があり、数千人の人がなくなったそうです。

……インクのシミ同様、こじつけにしか思えないんですけどねぇ?

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