今日もやってきた完璧少女
僕の名前は三崎利久
どこにでもいる普通の男子高校生……でもないか。
僕には秘密がある。それを知っているのは一部の親しい人のみ。別に厨二病患者じゃないぞ。
僕の秘密はIQが313…いや314だったかな?まぁそれくらいあること。簡単に言えば超絶頭がいい。それ以外は中の上くらいだけど……
世間には隠すことにしたけど学校では手を抜いていない。つまり今まで満点以外取ってない。
あとなんか言うことあったかな?…………
あっ、そうそう言語なら何語でも話せる。
それくらいの男子高校生だ。
「三崎!やるわよ!」
1人の女子生徒が1枚のプリントを裏面のまま机に叩きつけてきた。結構強かったけど机大丈夫かな?
僕は無言で自分の机からもう1枚プリントを裏面にして出す。
「せーのっ!」
彼女の掛け声に合わせて同時にプリントをを裏返す。
バンっっ!!
数学A 小テスト
三崎利久 100点
数学A 小テスト
島崎凛 98点
「くっ…… 」
明らかになった結果に彼女が顔を歪める。
この風景も、もはや日常になった。
彼女の名前は島崎凛。
常に学年2位のクラスメイトだ。
彼女とはほぼ毎日ある何かしらの小テストで争っている。ちなみに僕は満点以外取ってないので良くて引き分けと言うのが現状だ。
ちなみに彼女は毎回96~98点。100点を取れないのは我が校には必ずめちゃくちゃ難しい問題が1問あるためである。
どれくらい難しいかと言うと、僕が本気を出して3分かかるくらい。伝わらないな、これ。
きっかけは彼女が僕が入試を満点で通過したのを知って対抗心を燃やしたかららしい。僕が言うのもなんだけど、普通燃えないよね。対抗心。
1度断ったはずだけど勢いに押されるまま一年ちょっとたった今でもこうして競っている。
完全な余談だけど彼女は見た目がよく綺麗と言うより可愛い人だ。見た目に反して性格が強気なのが玉に瑕だが……しかし彼女は僕とは違い勉強以外もとても優秀なため、トータルで言えば完璧だと言えるだろう。
そんな彼女との対戦は数少ない僕の楽しみでもあるのだが………今日はなんだか様子が変だ。
いつもなら自分が間違えた所をキレ気味に後悔して、
僕に理不尽に怒り、次は負けないと吐き捨てて、勉強しに戻るのだが……今日はさっきからずっと黙っている。
「ねぇ、今日はどうしたの?」
「……何よ。」
彼女がキッっとこちらを睨みつけてきた。
残念ながら顔が可愛いため、全く怖くない。
「いや、だっていつもと違うじゃん。」
「何が」
「負けた時の反応が、いつもなら『なんでこんなとこ間違えたのよっ!』って叫んで、『なんであんたは間違えてないのよ!』って僕に怒って、『もういい!次は負けないからっ!』って言って勉強しに戻るじゃん。」
「わっ私そんな事してないわよ!」
「え?いや割とそんな感じだけど?」
「ちっ違う!違うったら違うの!」
「えぇ〜」
「いいからっ!」
彼女の顔は羞恥からか、それとも怒りからか真っ赤に染まっていた。
「つっ次は負けないからっ!」
彼女はもうフラグと化したセリフを吐いて、自分の席へと帰って行った。
また明日も楽しみだ。
(ここからは凛視点です)
(はぁ、また負けた。やっぱ私じゃ勝てないのかな………)
私は窓側の席の三崎の方を見る。
アイツは席に座ったままぽわぽわしていた。
(三崎のやつ完全になめてるじゃない!)
実際には、凛と話せた充実感に浸っているのだが、凛はそのことを知るよしもない。
(よし!アイツが余裕ぶっている間に勉強して、目にもの見せてやる!)
私は悪い方に行き始めた思考を強引に切り替えた。
(次は次こそは!)
「おい……見ろよ。島崎さんが意気込んでるぜ。」
「ほんとだ……漫画だったらフンスッってなってそう。」
「確かに……可愛いなぁ…」
「「それな。」」
あっ、あそこの男子達チラチラこっちみてるし!きっとまた負けたことをバカにしてるんだ!
見てろよ!次こそは絶対勝ってやるから!!
そして私はさらに意気込んで、勉強するのだった。