試験四日目
誤字報告、感想をありがとうございます!
頑張ります!
おはようございます。
今日の天気は土砂降りです。
今日は、午後の実技試験が無いので関係無いけど。
朝食を食べに食堂へ行くと、何時も俺達が座ってた席に元会長と元ダ女神が座ってて、キャベンディッシュが何か話しかけてた。
近付く気もないので、入口側の席で朝食を食べさっさと退散。
午前中は、材料がある分だけボードの量産。
絶対欲しがる人が出てくるからね!
そうそう、テイルスミヤ長官に、ドラゴン判子の事を報告したら、物凄く驚かれた。
ドラゴン判子を渡して、テイルスミヤ長官にも使えるか試してみたら、問題無く魔法陣が転写されて、でも焼付けは普段よりも多くの魔力を持っていかれたそうです。
魔力を流して焼付けるだけなので、魔力は多いけど碌に魔法を使えない使用人の人達にも試して貰うそうです。
ドラゴン判子の魔力が切れないうちは、使えそうなので安心。
集音魔道具だけじゃなく、カメラとモニターとケーブル魔道具のドラゴン判子も作らされたけどね!
俺が量産させられなければ全然良いです!
どの判子にも、悪用防止は付けといたし。
判子はドラゴンの魔石以外でも作れるのかも、検証するそうです。
その辺は俺は知らんけど。
俺の書いた文字の事も聞かれたけど、前世の文字で、幼年学園で習うだけで千文字越えるって言ったら諦めてた。
漢字って難しいよね!俺だって全部読めて書けるか自信ないし!
昼ご飯を食べに食堂に行くと、入口に仁王立ちする元ダ女神。
隣には元会長とキャベンディッシュ。
見付からないように通りすぎ、端の席に座ると、元ダ女神が来そうだったので、中央壁際の席で食べた。
なので助とシェルとは合流出来なかった。
二人も状況を見れば分かるだろうしね。
午後は訓練所を借りようかと思ったけど、土砂降りなので室内訓練所、と思ったら先約が有って借りられなかった。
試験四日目ともなると、ストレスが溜まってくるのか、騎士科の生徒が体を動かしたくなったらしい。
さてどうしましょう?普段から勤勉な彼等は試験に焦る事もなく、やっと成功した肉体強化の訓練が楽しすぎて、他の事をやる気が起きないらしい。
それじゃぁ暇潰しに、古魔道具屋さんにでも行きますか、ってなって出発。
土砂降りでもバリアで濡れなく出来るしね!
既に常連な魔道具屋さんに到着、入口を入ろうとしたら、先頭のディーグリーに止められた。
何事?と思ったら、中から怒鳴り声。
「何で呪われた魔道具が無いのよ?!ここに来れば有るはずでしょ!中古屋のクセに客を選ぶ気?お金なら有るって言ってるじゃない、さっさと出しなさいよ!」
後ろ姿しか見えないが、元ダ女神が店主に怒鳴っている。
何故ヤツが呪われた魔道具を欲しがっているのかは謎だが、関わりたく無いので、店には入らず退散。
この分だと他の古魔道具屋さんにも行くかも知れないので、ちょっと様子を見ようと近くのカフェへ。
窓から様子をうかがいながらお茶を飲む。
相変わらずかっっっったいデザートの果物部分だけを食べて、後はアールスハインが食べた。
暫くすると、いかにも怒ってます!と言った様子で店から出てきた元ダ女神。
そのまま濡れながらどこかに消えて行って、姿が見えなくなったのを確認してから、古魔道具屋さんに向かう。
「いらっしゃーい。お、あんた達、丁度良い時に来たね!丁度二日前に呪われた魔道具が入ったばかりなんだよ、匂いでもしたかい?」
笑顔で迎え入れた店主。
「あれ~?さっき覗いた時は、呪われた魔道具は無いって言ってなかった~?」
「聞いてたのかい?人が悪いな。さっきの客は、以前にも来た客なんだけど、やたら注文が多いクセに金払いが悪くてね、こっちだって滅多に売れない商品だから、かなり安く出してるのに、更に値切ろうとされたら売る気が失せるってもんでね~」
「あ~分かる!鮮度を気にする商品以外は値切られるのはムカつくよね~、しかも呪われた魔道具なんて、お遊び品は、金が払えないなら諦めれば良いのに~、何でそのお客は値切ってまで呪われた魔道具を欲しがったんだろうね~?」
「あー、何でも、自分なら上手く呪いを解く事が出来るから、有効な使い方が出来るとかなんとか?言ってたな」
「ふ~ん、教会の枢機卿様でも苦戦する呪いを解けるなんて、随分自信有るんだね~?」
「まぁ、うちは払うもん払ってくれるなら、その後どうしようと構わないんだけど、やたらと偉そうにそれを寄越せ!とか言われちゃーねー」
「アハハ、そりゃ売る気になんないね~」
「そうなんだよ。んで、おたくらは買ってってくれるのかい?」
「買わせて貰うよ~、ちゃんと提示額でね!」
「毎度ありー」
ディーグリーが悪い顔でニヤリとすれば店主もニヤリと返して、棚の奥の魔道具を出してきた。
「それにしてもあんた達も物好きだね、こんなに呪われた魔道具を揃えて、何に使うんだい?っと、これはただの興味だから障りがあるなら答えなくてもいいよ?」
「ん~何に使う訳でもないんだよね~、最初は気に入らない奴にちょっと悪戯を仕掛けたり、一応解呪の練習用に買ったんだけど、その後は本当に趣味みたいに集めてるだけだから~」
「あー、まぁ、コレクターってのはどんな物にもいるわなー」
「そーそー、何か癖になっちゃってるだけなんだよね~」
「まぁ、それだけの財力があれば、何でも好きに集めたら良いさー」
「うん、飽きるまでは続けようと思ってるんで、またよろしく~」
ディーグリーのゆるい雰囲気とトークに、金持ちの道楽息子だと店主に信じさせる事に成功。
そのまま呪われた魔道具を買って店を出た。
店に入る前に、この店で以前買って解呪した魔道具を全て外してた所も流石!
こう言う面を見ると、ディーグリーの頭の良さを感じる。
普段は割りとアホの要素も多いのに!
そのまま学園に帰り、どうせ暇なら久しぶりに米でも炊くか!ってなって、学園に着いた途端合流したシェルに手配して貰って、部屋を借りて、シェルが助を呼びに行ってくれてる間に、ディーグリーが米を洗って、浸水しといた。
米の事でも話したのか、助とシェルが間も無く到着。
おかずのリクエストは醤油味のから揚げ。
ユーグラムは初体験になるが、ディーグリーとシェルが凄い勢いで薦めるので、興味を持った様子。
から揚げは大量に下味を付けて暫く放置。
ほっとくと肉ばかり食う若者に、野菜も食わせるために味噌汁は野菜の具を多めに入れた。
出汁はキノコ。なんかこのキノコも魔物らしく、巨大で黄緑に紫の水玉模様なんだけど、良い出汁が出るって鑑定が!煮れば水玉は消えるしね。
後は軽くサラダと、大根のきんぴら。
大根の葉っぱを使った振りかけ。
米を炊いて、から揚げを揚げて完成!
ご飯初体験のユーグラムが最初、ご飯の見た目が虫っぽいって騒いだので、パンも有るよ?って言ったのに、隣の二人がガッツガッツ食べるのを見て、ちょっとだけ食べてみたら、嵌まりました!今は隣に負けないくらいガッツガッツいってます。
こんな調子では米がすぐに無くなってしまいそうな予感。
城では絶対に出しません!絶対に!
全員が腹を擦って暫く動けないくらいに食べて、部屋へ戻る。
途中で食堂から出てきた元ダ女神に遭遇。
久しぶりの米を腹一杯食べ過ぎて、全員が油断しまくっていた為、バリアを張る暇もなく遭遇してしまった!不覚!
「あああー、皆さんどちらに行ってたんですかー?食堂にもいらっしゃらなくて、皆さん探してらっしゃいましたよー?」
主に声を掛けているのはシェルにだが、目線はアールスハイン、ユーグラム、ディーグリーを順々に、舐めるように見ている。
俺と助の事は眼中に無いかのよう。
体をグネグネさせながら、上目使いで見てくる。
改めて見てみると、顔立ちはまぁ、整ってはいる。綺麗よりは可愛い寄り。
髪は白髪で腰までの長さ、身長は低く、体型は華奢。目が大きく鼻と口は小さめ。
どこか二股女に似た顔立ち。
ギャル男神の方が綺麗な顔立ちで、ついでに神々しさが有った。
シェルが物凄く不本意そうに、
「何のご用ですか?」
と聞けば、
「ええと、特に用事は無いんですが、皆さんの姿が見えないから、他の方達がザワザワしてましたー」
「私共は、常にバリアを張っているので、姿が見えないのは何時もの事だと思いますが?」
「えええと…………」
「用がないなら失礼します」
シェルがバッサリ切って捨てるように言えば、無言で後に続く面々。
背後では、あのとか、待って、とか言ってるが無視。
全員の足が無駄に長いのに比例して、歩く速度が速い速い!普通の令嬢なら追い付けない速さ!何とか根性で小走りしながら追ってきた元ダ女神も、途中で脱落した。
角を曲がった途端、認識阻害の魔道具発動!元ダ女神の様子を窺うと、壁を蹴っていた。
「もう、何なのよ!こんな美少女が話し掛けてるんだから、もう少し反応しても良いはずでしょう?!魔道具屋も外ればっかりだし!ここでレアアイテムゲットしなきゃ、後々逆ハー狙えないじゃないの!キャベンディッシュとエチェットはすぐ落ちたのに、何で他との接点ゼロなのよ!そりゃ出会いイベントはこなしてないけど、これだけ何回も顔を合わせれば、何かリアクションが有るべきでしょ!」
見てる方が痛くなる程壁を蹴っているが、丈夫だな?元ダ女神。
「そうよね、やっぱりあれが必要だわ!あの魔道具が有れば、後は思うまま!私の言うことを聞かない駒なんて、いること自体おかしいのよ!そんなの認めないから!」
最後にガン、と音がする程壁を蹴って去っていった。
「う~わ~、駒だって駒!流石元女神、人間の事なんて、思い通りに動いて当然と思ってるんだね~、こわ~!」
「失格になるのも頷ける性根の悪さですね!」
「ヤツの望んでいる魔道具も気になるな」
「そうですね~、なんかあの口振りじゃ、人の意思をねじ曲げて自分の思う通りに出来る、みたいな印象でしたし!そんな物をヤツに渡すのは怖いですね~!」
「今週末は予定を変更して、魔道具屋を回った方が良いだろうか?」
「確かに、そのような魔道具が有り、近々手に入るような口振りでしたからね、今まで手に入れた呪われた魔道具の中には、人を操るような魔道具は有りませんでしたし」
「明日も午前中の試験のみだし、近場の魔道具屋なら回れるでしょ、他は週末に回るってことで~」
「ああ、予定変更の手紙を出しておこう」
「では、先ずは明日の午前中の試験をサクッと済ませましょう!」
ユーグラムの纏めに皆が軽く笑って解散した。




