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試験三日目

誤字報告ありがとうございます!

 おはようございます。

 昨日作ったドラゴン判子のお陰で、大分作業が楽になったので、悪夢は見ませんでした!

 今日の天気は雨です。


 午前中の筆記試験の間に、集音魔道具がやっと片付いて、後は丸投げすれば良いだけになりました!

 手配はシェルがしてくれるので、今度は何を作ろうかを考えている内に昼になりました。


 朝もだけど、元ダ女神が近くの席に陣取って、中央の席に誘うキャベンディッシュを放ったらかしています。

 ちゃっかり元会長が隣に座ってドヤ顔してますが、それ、あんたが選ばれた訳じゃ無いから~!とか言ってみたいです。

 なので俺達は、入口付近の席に座ってさっさと食って退散しました。


 午後は魔法の実技試験です。

 雨が上がったぬかるんだグラウンドです。

 何故か、SクラスとFクラスが合同で試験を受けます。

 見学の俺が、隣にいるテイルスミヤ長官に、


「にゃんで、エフくりゃしゅといっしよー?(何で、Fクラスと一緒?)」


 と聞いてみると、


「Fクラスの生徒は、魔法制御が甘く不安定なので、何か有っても対処できるSクラスと合同で試験を受けるんです」


 と答えられた。

 折角昼食は離れられたのに、試験で近寄られるとは思わなかった。

 直ぐ近くに寄られて、ガン見されてる皆の顔が、とてもウンザリしてる。

 時間になったので、クラスごとに整列。

 二つ並んだ的に得意属性の魔法玉を当てて、何発目の魔法玉で的を破壊出来るかで点数が決まる。

 的の距離はそれなりに離れているが、万が一が有っては不味いので、的と的の間にはバリアが張ってある。

 そのバリアギリギリの位置に立って、Fクラスの試験など見向きもせずに、アールスハイン等を見てる元ダ女神。

 その態度だけで減点されてる。


「ケータ様、本当に彼女が元女神なんですか?」


「しょーみたい。かみしゃまゆってたし(そーみたい。神様言ってたし)」


「普通の女生徒に見えますがね?」


「かみしゃまのちかりゃ、にゃいかだじゃない?(神様の力、無いからじゃない?)」


「特に変わった所の無いお嬢さんに見えるんですが?」


「んー、れもーがきゅえんこりぇたのがー、おかちいんらよー(んー、でも学園来れたのが、おかしいんだよ)」


「と言うと?」


「もちょめぎゃみは、まりょきゅないはじゅなんらよー?(元女神は、魔力無いはずなんだよ)」


「…………………それは本当ですか?」


「かみしゃまが、しゅべてのちかりゃをとりあげて、にんげーにおとちたって(神様が、全ての力を取り上げて、人間に落としたって)」


「全ての力、神が言われたのなら魔力も含めてなのでしょうね?」


「たびゅん、かみしゃま、もちょめぎゃみだーきりゃいらから(多分、神様、元女神大嫌いだから)」


「大嫌いだからと言って、魔力まで奪うでしょうか?それに魔力の無い者に、この学園の受験資格は与えられません」


「しぇーりぇーのちかりゃつかったりゃ?(精霊の力使ったから?)」


「意思の疎通が上手くいったとして、精霊がそれ程従順に力を貸してくれるでしょうか?」


「しぇーりぇーも、もちょかきゅーしんらし、きーてくりぇりゅともーよ?(精霊も、元下級神だし、聞いてくれると思うよ?)」


「かきゅーしん、下位の神が精霊に落とされたのですか?」


「しょー、もちょめぎゃみに、きょーりょきゅちてて(そー、元女神に、協力してて)」


「成る程、元女神の下位の神だったのならば、上下関係がそのまま継続しているのかもしれませんね。実際に精霊の力を使い、この学園に不正入学したのならば、学園長にも相談しなければいけません。この実技試験は、じっくりと観察しなければいけませんね!」


「しぇーりぇーが、まほーちゅかうとわかりゅ?(精霊が魔法使うと分かる?)」


「ええ、よく観察すれば、本人が魔法を使ったのか、精霊が使ったのかは分かります。精霊は魔法を使う一瞬だけ姿を現し、その体が淡く光りますからね!」


 とても分かりやすい。


「へんにゅーちけんのとちは、わかんにゃかったの?(編入試験の時は、分かんなかったの?)」


「私はその試験に立ち会って無いので何とも言えませんが、分からなかったんでしょうね?」


 兎に角、元ダ女神の魔法を見極めようと、列に目を移すと、試験は滞り無く進んでいて、試験の終わったFクラスの生徒の中には、何故か泥んこになってる生徒も数名いた。

 Sクラスの生徒は、泥跳ね一つ付いて無いのに。こんな所でも実力の差って出るのね。

 数人を流し見ると、次に的の前に立ったのは、イライザ嬢と元ダ女神。

 二人は真剣な目で的を睨み、ほぼ同時に魔法を撃った。

 成る程、テイルスミヤ長官の言った通り、魔法を撃った瞬間に、元ダ女神の回りにうっすらと小さな影が現れ、その影から魔法が撃たれた。

 元ダ女神からは魔力の欠片さえ出ていない。

 隣のイライザ嬢は、一発目で的を半壊してる。

 元ダ女神も、半壊まではいかないけど、結構な壊れ具合。


「ケータ様見えましたか?」


「しぇーりぇーの、ちかりゃらったねー(精霊の、力だったねー)」


「ええ、間違い無いかと」


 その後の二発目でイライザ嬢の的は破壊され、元ダ女神は、更に三発撃って的を破壊。

 Fクラスに取っては快挙なのか、クラスメイトに囲まれて褒められている。

 Sクラスの残りは三人。

 ディーグリー、ユーグラム、アールスハイン。

 三人は、一発で的を破壊してサクッと終了。

 Fクラスの生徒が、恐ろしいものを見たかのように、後退りする中、元ダ女神がうっとりと三人を凝視してる。

 Sクラスは早々に試験を終えたので解散。

 自分の順番は終わったからと、帰ろうとしたFクラスの生徒もいたが、そこはテイルスミヤ長官に止められてた。

 Fクラスは、的を破壊するまでに一人一人時間が掛かるので、Sクラスとそれ程人数が変わらないのに、まだ半分も終わって無い。

 俺は、テイルスミヤ長官に頼まれたので、監視魔道具を二、三個その辺に設置して、アールスハイン等と帰った。


 今日も真面目な彼等は訓練所を借りて、肉体強化の訓練をしています。


「「アハハハハハハハハ」」

「フフフフ、フフフフフフフフ」


 今日も絶好調に笑っております。

 普段ならウットリと遠目に眺めている令嬢達がドン引きしております。

 何だがヤバイ薬を決めてハイになってる人みたいです。

 試験が終了したら、騎士団に報告しに行くそうだけど、恐ろしい未来しか想像出来ません。


「何ですかあれは?毒でも盛られましたか?」


 気配もなくシェルが背後に居ました!

 怖いから止めて!


「にくたーきょーかしゅりゅとあーなりゅ(肉体強化するとあーなる)」


「………………今週末には、騎士団へ報告しに行くそうですね。あれを…………」


「こわいにぇー」


「はい、適当な理由を付けて、騎士団訓練場には近付かない事にしましょう!」


 シェルが酷い予定を立てた!

 俺は、魔道具でも作って見ない振りをしよう!

 でもまだ、何の魔道具を作るか考え付いてない。


「しぇりゅー、にゃにのまどーぐほちい?(シェルー、何の魔道具欲しい?)」


「新しい魔道具ですか?そうですねー、特に困っていることも無いので、咄嗟には思い付きませんねー」


「んー、にゃにかにゃいかねー(んー、何かないかねー)」


「あえて言うなら、移動の魔道具でしょうか?毎回馬車での移動は、時々面倒なので」


「いどー、こりぇみたーの?(移動、これみたいの?)」


「その卵形は、ケータ様にとても似合っていますが、大人が乗るには少々抵抗のあるデザインですね」


 インテリヤクザなカイル先生は真っ先に乗ってたけどね!

 移動移動移動と、唱えながら真っ先に思い付いたのはスノボ。

 東北出身の身としては、スキーとスノボは日常品だった。

 昔見た映画にも、車で過去や未来に行く話の未来編に出てたし。車輪の無いスケボーとか、良いんじゃない?

 では作ってみましょう!

 魔法のある世界は、理屈が分かって無くても作れちゃうから便利ね!モニターの魔道具だって音声出力とか付けて無いのに、俺が想像してたテレビの機能が勝手に再現されて、音声と画像がちゃんと再生されてたし!


 本体に使うのは、巨大な魔物の骨を削った板。軽くてサイズも良い感じで丈夫なのに撓りもある。色は濃いシルバー、燻銀、格好いい!

 円の中に四角を幾つか書いて、重力軽減、魔力調整、自動修復、安全確保そんな感じ。

 魔力の調節でスピードも高さも調節可能。

 安全確保は、落ちた時に自動で拾ってくれるように。

 スノボ程ガッチリ足を固定しちゃうと、普段使いしづらくなるので、軽く固定する感じで、板をちょっと削って足の形に窪みを作った。

スノボってより、スケボーになったけど。

 馴れてくれば大丈夫だろう。多分。

 魔石を置いて焼付。完成。


「しぇりゅー、でちたー!」


「……………ええと、ケータ様?この板は何ですか?」


「おお!けーたスノボ作ったのか!でも雪の季節は終わったぞ?」


 助登場。


「こりぇは、ゆきがにゃくても、くーちゅーとぶやちゅ!(これは、雪が無くても、空中飛ぶやつ!)」


「マジか!そんな未来の乗り物作っちゃったのか?スゲーなケータ!そんで、俺の分も有る?」


「たしゅきゅーで、てしゅとしゅりゅから、いちばんにちゅくったよ!(助で、テストするから、一番に作ったよ!)」


「ああ、実験な訳ね。了解、俺が一番馴れてるだろうしな!」


「まーりょくにゃがせば、あとはちょしぇちゅきくかりゃ(魔力流せば、あとは調節利くから)」


「了解了解!んじゃいっちょやってみますか!」


 俺からボードを受け取った助は、早速ボードを地面に置いて、その上に乗りボードに魔力を流した。

 フヨフヨと浮き上がるボード。

 足の角度の調節で前にも後ろにも進む。

 初めは弱く流した魔力で、周囲をフヨフヨしてたけど、その内高度と速度を上げて飛び始めた。

 数分で戻った助は、


「ナハハハ!これスゲー良い!魔力もそんなに持っていかれないし、足捌きで自由に方向変えられるし!正にスノボ!」


 満面の笑顔で褒められました。

 異常も無いので他の人の分も作ってしまおう!

 ディーグリーとか、好物を目の前に置かれた双子王子みたいに、ソワッソワしてるからね。

 何時ものメンバープラス、テイルスミヤ長官と、一応インテリヤクザなカイル先生の分も作って配った。

 カイル先生は前に、今使ってる移動魔道具貰っちゃったしね!

 特に難しい操作もなく、運動神経の良い彼等は、十分程度で乗りこなし、


「ナハハハハハハハ」

「「アハハハハハハハハ」」

「フフフフ、フフフフフフフフ」


 笑っておられる。

 シェルだけは無言で飛んでるけど、ニヤニヤ通り越して、ヘラヘラした顔になっている。

 令嬢達が、どんどん距離を離していく。

 後日ボードを渡したカイル先生は、ギャハハハハと笑いながら、魔力の調節を誤って、ボードから落ちて地面スレスレでボードに助けられて、テイルスミヤ長官に説教されてた。


 まぁ、全員に凄い感謝されて褒められたから良いだろう。




年末年始の予定ですが、一月から三月末までの間は、仕事の関係で更新が不定期になります。

通勤時間も長くなってしまうので、更新時間もまちまちになります。

ストックも大分減ってきたので、毎日の更新は難しいかもしれません。


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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
スノボの安全確保が仕事してるww
『精霊も、元下級神』なるほど。
[一言] 今日も楽しんで読ませて頂きました! 更新が不定期は残念ですが、 無理はなさらないで、ゆっくり続けて頂けると嬉しいです。 お仕事、頑張って下さい。
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