試験二日目
感想をありがとうございます!
ご想像の通り、あれです!
おはようございます。
昨日作った集音魔道具。
迂闊だった!カメラとセットで使う魔道具なんだから、カメラと同じ数作らなければいけなくなった!
シェルが取り寄せてくれた葉っぱに、延々魔法陣を書きました!また嫌な夢を見そうです!
一回一回手書きしないといけないのが、とても面倒臭い!何とかならんもんかと、色々素材を見ていくと、なんと!去年倒したドラゴンの魔石の欠片を発見!今まで触った素材の中で、断トツに内包魔力の量が多い。
でも欠片なのでそんなに大きくない。
これは、これで魔法陣判子が作れないだろうか?集音魔道具に飽きたので、試してみました!
まずは、魔法陣を書く、勿論左右逆にね!前世の甥っ子が、夏休みの宿題の工作で作ってたのを手伝った事が役にたったよ!トレーシングペーパーは無かったけど、薄っっい魔物の革は有ったので、使ってみたら成功しました!
綺麗に転写出来たのを、魔法で彫っていく。
むむ、中々に繊細な作業です!
指が細いと言うか、小さいので、細かい作業は割りと得意です。
慎重に削り出し、何とか完成!したらお昼でした。
実験は後にしてお昼ご飯を食べに食堂へ。
食堂入り口に来ると、何やら揉めている気配。
ちょっと高く飛んで様子を見てみると、精霊付きの女生徒に絡まれてるシェルを発見。
シェルは無表情で何も話してないのに、精霊付きの女生徒が、シェルの腕を掴んで、頻りに話しかけている。
それを近くにいるキャベンディッシュと元会長が睨んでいる。
とても面倒臭い場面。
なので強行突破します!
アールスハイン等に事情を話しそのまま進む。
俺のバリアは俺の許可が無いと入れない、認識阻害の付いたバリアなので、すぐ横を通ると、シェルだけ中に入れて他は弾く。
そのまま何時もの席へ。
座った途端、シェルが大きな溜め息を吐いた。
「ケータ様有り難うございました」
「おちゅかれー」
「また絡まれちゃったんだね~?」
「最初は、昨日の謝罪とお礼を言ってきたので、軽く流して離れようとしたのですが、腕を掴まれ、返事を強要してくるのにはウンザリしました」
「食堂に来るときは、早目に魔道具を起動した方が良いですね」
「ええ、次からは教室を出たら直ぐに起動します!」
食事も済んで食堂を出ると、精霊付きの女生徒が待ち受けていた。
まだバリアの中にいるので発見されていない今の内に、シェルと助が魔道具を発動。
姿が認識出来ない事を確認してから別れて、午後は情報収集の試験。
これはグループで受けられる試験で、前期の演習の班ごとに行う。
校内の幾つか設けられたポイントを、ヒントを元にいかに早く見つけ戻って来られるかの試験。
スタンプラリーを思い出すね!
俺は今回は参加しません。ソラとハクはやる気満々なので参加させました。
俺は邪魔にならない場所で移動魔道具に乗ったまま、午前中の続きです。
出来上がったドラゴンの魔石製判子魔法陣に、特殊インクを付けて、葉っぱの表面にペタッとね!真ん中に魔石を置いて、魔法で焼き付け。
魔力を流すとピカッと光る。
大概はピカッとすれば成功だけど、一応確認は必要なので、こそっと先生の後ろに集音魔道具を置いて、受信機とケーブルとスクリーンを設置。
魔力を流すと、スクリーンに変化は無いが、先生の声がスクリーンから聞こえてきた。
うむ成功ですな!
では量産していきましょう。
ペッタンペッタンしていると、かなりの数が出来たので、魔石を置いて、無尽蔵らしい魔力で一気に焼き付け。
一応確認してから、終了。
学園に設置されたカメラの分くらいは余裕で出来ました!
後はカメラ魔道具に、糊付けすれば良いだけにして、丸投げしよう!
また夕飯後にも、お城の分を作らなきゃいけないので、俺以外でも出来る仕事は丸投げで!
そもそもどこにカメラ魔道具を仕掛けたか知らないし!
ドラゴン魔石の判子にホクホクしてたら、何時の間にか試験も終了してました。
真面目な彼等は、通常授業よりも早く終わったからと言って、サボったり遊んだりはせずに、訓練所を借りて、肉体強化の訓練をするそうです。
俺はそれを眺めながら、ドラゴン魔石の判子でペッタンペッタンしています。
ある程度の数になれば、一気に焼き付け。
その繰り返しを、訓練が終わるまでしてたら、結構な数の集音魔道具完成!
暇も潰せて負担も少なくて、言うこと無し!
食堂で夕飯を食べていると、キャベンディッシュと元会長が来た。
珍しく精霊付きの女生徒は一緒では無い。
二人はキョロキョロと食堂を見回して、精霊付きの女生徒が居ないことを確認すると、キャベンディッシュは食堂の外へ。元会長はこっちに来て、手探りで見付けたバリアをノックした。
皆を見ると、仕方無いって顔をするので、中に入れてやると、挨拶もせずに、
「フレイルを知りませんか?」
と聞いてきた。
「フレイルってだれ~?」
ディーグリーの質問に、何故知らない?みたいな驚いた顔をした後、
「わ、私が何時も一緒にいる令嬢だ」
「知るわけ無いじゃ~ん。試験中は何度か見掛けたけど、近寄りもしなかったし~」
「そうか、ならいい」
挨拶もせずに去って行った。
元会長が去った後、
「何なんですかねあの態度は、あれで元生徒会長とは、後任の私まであんなのと同じ扱いをされたらたまりません!」
ユーグラムが無表情なのにプリプリ怒ってる。
「な~んか、元聖女と問題起こしてから、開き直ったようにおかしくなってってるね~?」
「テイルスミヤ先生の話では、魅了魔法の影響は完全に消えているはずなんだがな?」
「元々の性質だったのでしょう、生徒会長だった時は、一応周りの目も意識していたのでしょうが、あの事件以後、誰にも見向きもされなくなって、開き直ったんじゃないですか?」
「見事に裏目に開き直ってるね~?」
「それこそ元々の性質でしょう。まぁ誤算が有るとすれば、キャベンディッシュ王子も元会長も、女の趣味が最悪って事ですね!」
「そ~だね~、問題起こしといて、またおんなじ様な娘に引っ掛かるとか、学習能力疑うよね~?」
「前回の事が有るから、途中編入の際に、魅了魔法の有無も検査されたそうだが、異常は無かったらしい」
「素の性質が男好きって事?それも最悪~」
「どちらにしても、近付かなければ問題有りません!」
「向こうから来られたら~?試験中もな~んか周りをうろちょろされてたし~」
「はぐれた振りはしてたが、明らかにこっちに合流を狙ってたな」
「信号魔法玉を一発打ち上げれば済む事なのに、態と先回りして声を掛けられるのを待っていましたからね」
「途中から認識阻害の魔道具発動して、付いてこられない様にしたけど、気持ち悪かったね~、他の令嬢達とは、な~んか違うんだよね~?」
「そうですね、何と言うか、視線が粘着質と言うか、恋愛感情と言うよりは、欲しいものを手に入れられない焦りの様なものを感じます」
「そ~だね~、欲しい宝石が高くて買えない時のご婦人みたいな目だね~?」
「人として、と言うより、コレクションとして並べたい、と言うような欲を感じるな」
総じて不評。
普通の令嬢達は、損得とか計算とかも有るけど、前提として恋愛感情が有るから、皆キラッキラした目で見てくるからね!
ああ言うのは、オッサンとしてはとても微笑ましい。一生懸命アピールしようと、空回りしてるのも含めて、眩しく、微笑ましい。
それに比べて、精霊付きの女生徒は、なんと言うか、好きでは有るけど、どっか冷静に攻略しようとしてる、そんな感じ。
………………ん?攻略?そうそう、腐敗を嗜んでいるとか言う、二番目の妹が、同じ様な目でゲームをしてた。妹の場合は攻略対象者同士をいかにくっつけるかを狙ってたけど………………。
「たしゅきゅー、あのおんにゃって、じぇんしぇもちららいよにゃー?(助、あの女って、前世持ちじゃ無いよな?)」
「んえ?前世持ち?何よいきなり、俺らの他にも居るの?」
「にゃんかー、りみおもーだちたー(何かー、理美思い出した)」
「理美って二番目の妹の腐ってる理美?」
「しょー、げーむちてりゅとちの、りみしょっくり!(そー、ゲームしてる時の、理美ソックリ!)」
「ゲームしてる時の理美は知らんけど、………確かに、俺と恵太が絡んでる時の目だ!」
「こーりゃきゅたいしょーみりゅめら!(攻略対象見る目だ!)」
「攻略対象!だから前世持ち?あり得なくは無いだろうけど、どうなんだろう?確認しようが無くない?逆ハー狙ってるなら、本人に確認しても誤魔化されるだろうし?」
ちょうどその時、キャベンディッシュが精霊付きの女生徒を連れて食堂に入って来た。
混雑している食堂の、割りと近い位置に座ったので、マジックバッグからスマホを取り出し、パシャッとね!そしてメール画面を開き、❨この人は転生者ですか?❩と書き、写真を添付して送信!
ーーーピロリンーーー
相変わらず返信が早い。
❨そいつは転生者では有りません。元クソバカダ女神本人です。何か被害が有れば、貴方のマジックバッグに、特製の武器を入れておきましたので、存分に殺っちゃって下さい!❩
マジックバッグを覗くと、頭の中にバッグの中身が表示されるみたいに把握出来る。
シェルが色々詰め込むせいで、かなりの量の荷物だが、目的の物は直ぐに分かった。
取り出してみたら…………………前世の甥っ子が持っていた、ピコピコハンマーその物だった。
黄色い柄に赤い蛇腹の付いたハンマー。
唯一違う点は、ハンマーの真ん中の部分に❮神❯って付いてる事だけ。
鑑定してみると❨神器・神特製武器、強いよ!❩
俺が無言でピコピコハンマーを眺めていると、ディーグリーが、
「可愛らしい武器だね~、ケータ様に似合ってるけど、それで魔物倒せるの?」
「しんきらから、こっぱみじんにゃりゅかも?(神器だから、木端微塵になるかも?)」
「…………………しんき?ねーけーたさん、さっきメールしてたよね?相手は誰か聞いた方がいいの?」
「かみしゃまらねー(神様だねー)」
「…………………ああ!そんな事だろうと思ったよ!しんきって神器かよ!そんな恐ろしい物出さないで!間違って誰かを叩いたら木端微塵どころか、学園が更地になるんじゃないの?」
「しょこまでららいと、おもーよ?くしょばかだめぎゃみたおしゅぶきらし(そこまでじゃないと思うよ?クソバカダ女神倒す武器だし)」
「あー、この流れから言って、元クソバカダ女神が、精霊付きの女生徒ってこと?」
「てんせーしゃららくて、ほんにんらったねー(転生者じゃなくて、本人だったねー)」
「うーわ、最悪、ヒロインが退場しちゃったから、今度は自分がヒロインになろうってか?」
「たびゅん?」
「ん、でもおかしくない?何でヒロイン居なくなったの知ってんの?学園内なら分かるけど、ただの平民だった元女神が、ヒロイン退場を知ってるのはおかしいよね?」
「たびゅん、たいきゃいのとちに、いにゃかったのみたんらない?たいきゃいのあと、こうもんのいりぐちれ、あばりぇてたのもとめぎゃみともーよ?(たぶん、大会の時に、居なかったの見たんじゃない?大会の後、校門の入口で、暴れてたの元女神だと思うよ?)」
「んん?何かうっすら覚えてる。あの警備員に連行された不審者?」
「たびゅん、どっかでみちゃかおらとおもったー(たぶん、どっかで見た顔だと思ったー)」
「何か薄汚れてたのは覚えてる」
「あー、何か思い出したかもー、でも髪の色はグレーじゃ無かった?」
「汚れを落としたら白い今の髪色になったとか?」
「うわ、それはばっちいね~、で?それが何者だったって?」
「もちょめぎゃみ(元女神)」
「…………………元女神。この世界を好き勝手にいじり回した?」
「新しい神様のお墨付きらしいですよ、悪さしたら制裁しろって武器まで付けて」
「その武器がこの可愛らしいハンマー」
ユーグラムが複雑な顔をしております。
皆も微妙な顔だし。
「まぁ、今のところは悪さと言う程でもないし、一応城に報告だけして、様子を見るか」
「そうですね、私も教会へ知らせだけ送っておきます」
取り敢えずの結論が出たので、今日は終了。
寝る前に魔道具は作れるだけ作ったけどね!




