草原演習4日目
誤字報告有り難うございます!
ちゃんと読んでくれている人がいて、励みになります!
誤字の多さは反省してます。
おはようございます。
今日の天気は曇りです。
シェルが言うには、季節の変わり目は天気が不安定になるんだって。
着替えて食堂へ。
食事を済ませて馬車に乗り草原へ。
昨日の疲れが多少残る顔のディーグリーとユーグラム。
アールスハインは王族だからか、普段からあまり表情が変わらない。
ユーグラムも無表情だが、目とか雰囲気とかに表れるので機嫌は分かりやすい。
昨日の事が有るので、いつもより警戒しながらも魔物を狩って行く。
昼休憩は昨日の焼け野原で取り、午後も問題なく、早々に拠点に到着。
拍子抜けしていると、爽やか君達の班も到着。
「あぁ早いですね」
「しょっちもな!」
「昨日の事があったもんで、ついな」
「皆考える事は同じだね~、雨も降ってないから余計足が早くなるし~」
「ですねー」
ダラッと話している内に、全ての班が揃い、何事も無いまま学園に帰って来た。
馬車に乗る前にチラッと見えたキャベンディッシュは、生徒会長に対抗するためか全身白い服を着ていたが、ボロボロのズタズタだった。
何度か転んだりもしたのか、良い感じに汚れて、迷彩柄になってた、尻が!
部屋でゆっくりして、食堂につくと、いつもの時間なのに、人が更に疎らで不思議に思っていると、近くの席の生徒の声が聞こえ、今日の街での演習で何か問題があったらしい。
他の席でも同じような話題で、街演習中に大量の魔物が出現し、一部の生徒が恐慌状態に陥って、学園に逃げ帰ったため、街の人間に被害が出たとかで、街演習班は足止めされてるらしい。
だから人が少ないのね、と納得してたら、爽やか君が近付いて来て、
「聞きましたか?街演習班の噂」
「今、ね」
「その噂の、一部逃げ帰った生徒っていうのが、何時もキャベンディッシュ王子と生徒会長が取り合っている令嬢らしいですよ」
「ええ!また?先週の草原演習の時も、他の令嬢盾にして逃げ帰ったって言って無かった?」
「私もそう聞きました。それで、被害に遭ったのが、お忍びで平民街にいた貴族の令嬢だったそうです」
「大問題じゃん!え?でも貴族の令嬢なら学園生じゃ?」
「幼年学園か?」
アールスハインの指摘に、爽やか君が苦い顔で頷く。
「そのようですね、しかも伯爵家の令嬢だったとか、怪我は大したことはないそうですが、ショックを受けて寝込まれているそうで、伯爵が怒りも露に、学園に乗り込んで来られたそうです」
「うわ~、問題なくって訳にはいかないね~、それで彼女は?」
「自分は悪く無いの一点張りで話にならないそうなんで、懲罰房に入れられてるそうです」
そんな話をして、爽やか君は、友人に呼ばれて去って行った。
ユーグラムが深刻な声で、
「そうでしょうね、前回の事もありますし、流石に今回は厳しい処罰が下るでしょう」
「退学とか?学園長が臨時集会開いて釘刺す位だからね~」
「いえ、そう言う事では無く、退学になった後の話です。彼女には魅了魔法の疑いも有りますし」
「……そうなると、教会の施設送り?」
「それを黙って無さそうな人物が複数名思い浮かぶのですが?」
「あー、面倒くさい事になりそ~!」
本当に面倒な事になりそうで、ウンザリする。
皆が深い溜め息をついたとき、食事が運ばれてきたが、一気に食欲が失せた。が、勿体無いので何とか詰め込んだけどね。
部屋に戻るなり、アールスハインが手紙を書き出した。
二股女のことだろう。
キャベンディッシュや生徒会長がどうでるかは分からないが、二股女は前回の事も有るので、退学は免れないだろうし、理由を聞けばキャベンディッシュ達も無茶は…………………言いそうだ。
それでも退学になった場合、二股女は養子先である男爵家に行くんだろうけど、何かと黒い噂の有る男爵家らしいので、いつ魅了の魔法がバレて、悪用されないとは限らない。
手紙を書き終わったアールスハインに、
「ハインー、まどーぎゅって、どーやってちゅくりゅの?(ハイン、魔道具って、どうやって作るの?)」
「魔道具?どうした急に」
「もちょしぇーじょーのまーりょくふーいんでちないかともってー(元聖女の魔力封印出来ないかと思って)」
「魔力自体を封印、か、有るには有るが………」
「テイルスミヤ長官にご相談してみてはいかがでしょう?」
「そうだな、だが急にどうした?」
「もちょせーじょーはたいぎゃくなるれしょー、しょのまえにー、ちょーばちゅぼーで、けんしゃちて、みりょーもちらったらふーいんちちゃえば、だんしゃきゅけーにあくよーしゃりぇないかってーおみょったの(元聖女は退学になるでしょ、その前に懲罰房で検査して、魅了持ちだったら封印しちゃえば、男爵家に悪用されないかなって思ったの)」
「バレれば確実に悪用されるでしょうね」
「まーりょくちゅかえなけりぇば、ちんぱいにゃくにゃるよ?(魔力使えなければ、心配無くなるよ?)」
「………………………魔力を封印する魔道具は、有る。だがそれは、犯罪を犯し奴隷に落とされた者につける物なんだ。流石に彼女に着けるには、少々重すぎる罰かと思うが………………」
「んー、ふーいんしゅりゅまーりょくは、えりゃべないの?(んー、封印する魔力は選べないの?)」
「……………確かに。シェル、テイルスミヤ長官に連絡を取ってくれるか?」
「はい」
シェルは部屋を出ていった。
「彼女が退学を言い渡されるとしたら、数日以内だろう、その間に魔道具の改良が可能ならいいが」
「しょーね」
テイルスミヤ長官を連れてシェルが戻って来た。
シェルから俺の考えを聞いたのか、テイルスミヤ長官は、真剣な顔をしている。
「ケータ様のお考えの魔道具の改良は、可能だと思います」
話が早くて助かる。
「しかし彼女は、犯罪を犯したわけでは無いので、身に付けさせるにはどうすれば…………」
テイルスミヤ長官の言葉に、アールスハインとシェルも悩み出した。
「しょきしぇんぱーにたのみぇば?(書記先輩に頼めば?)」
「書記先輩?」
テイルスミヤ長官が心底不思議そうに聞いてくる。
「ライダー・オコネル殿だ、近衛騎士団長の御子息の、確かに彼なら魅了魔法の事も知っているが、何と言って奴隷の首輪を嵌めさせるんだ?」
「ミヤちょーかん、まーどーぎゅは、くびわちかダメれしゅか?(ミヤ長官、魔道具は、首輪しかダメですか?)」
「と、言いますと?」
「うでわーとかうびわーとかに出来にゃい?(腕輪とか指輪とかに出来ない?)」
「指輪は流石に小さすぎて無理ですが、腕輪や足輪なら可能です」
「かじゃりは?(飾りは?)」
「ああ!宝飾品としてプレゼントすればいいんですね!」
シェルが俺の意図を理解してくれて、それにテイルスミヤ長官とアールスハインも、ああ!と納得してくれた。
「ああ、そうですよね!奴隷の首輪としてではなく、宝飾品としてなら、彼女も疑わずに身に付けてくれますね!魅了の魔法のみ封印すれば良いのですから、彼女自身の魔力を使って封印を持続させる事も出来そうですし、分かりました、そのように作ってみます!」
テイルスミヤ長官に、懲罰房にいる内に、魅了魔法の検査も出来ないか相談したら、早速取り掛かります!と言って、足早に部屋を出て行った。
これで実際に二股女に魅了魔法を使った痕跡が出て、それを封印出来る魔道具が完成し、身に付けさせる事が出来れば、後は何の心配も無く、あの厄介な二股女を男爵家に押し付けられる。
上手く行くように、ギャル男神に祈りながら寝た。
夢の中で、ギャル男神が満面の笑顔で親指を立ててた。




