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森演習 5日目終了

いつも誤字報告、感想をありがとうございます!

とても励みになります!

今後も頑張りますので、よろしくお願いします!

 おはようございます。

 今日の天気は曇りです。

 森での演習最終日です。

 いつもの服を着て、食堂でご飯を食べ、馬車に乗って森へ。

 特に集合することも無く、スタート地点に移動して、開始の合図を待っている。

 相変わらず俺達の担当はニスタさんで、相変わらず孫自慢をしている。

 鐘の音が森に響いて、本日の演習スタート!

 曇りのため、薄暗い森を進む。

 昨日の雨で足元がぬかるんでいるので、速度は遅め。

 一昨日の魔物の大量発生の影響か、小物ではあるが、魔物の数が多い。

 昼前なのに、虫魔物の数が100を超えそうだ。

 熊魔物も10匹を越えた。

 湿気が多いので、虫魔物避けの香が効きにくく、ユーグラムの眉間に、常に深い皺が寄っている。

 八つ当たりのように魔物を狩っていて、アールスハインとディーグリーの出番が少ない。

 お昼を取る草原に到着。

 したのだが、そこは一面虫魔物の巣窟だった。

 ショックを受けたユーグラムが、火魔法を連発。

 慌てて周りを消火したが、加減をしていなかったのか、残ったのは焼け野原。

 虫魔物は、残骸も残さずに消え去った。

 ここではご飯を食べる気にならず、適当な場所を探して移動する事に。

 中々見付からないうちに、俺の腹が盛大に鳴き出したので、仕方なく森の中で昼食を取る事に。

 ホカホカにした携帯食料は、少しばかり香りが強くなるのか、魔物がジリジリと近付いてくる。

 交代で食事を取り、休む間もなく再出発。

 力の強い猪や熊よりも、集団で襲ってくる狼魔物の方が厄介で、皆のバリアの練度がどんどん上がっている。

 魔法なんてからっきし!と言うニスタさんには、俺がバリアを張ってるけどね。

 遠目に見掛けた他の班は、バリアを上手く使えていないのか、ボロボロのヨレヨレだった。

 演習中の行動は、基本、冒険者の行動に倣っていて、冒険者同士は、パーティーと依頼人以外は、助けを求められない限り、助けることは無い。

 助けを求めた側は、狙っていた獲物がどんな高価な物でも、助けてくれた相手に全て譲らなければいけない。

 これを破ると、冒険者ギルドに報告されて、最悪冒険者を続けられなくなるらしい。

 これは、演習中の学生も同じ措置を取られ、他人が闘っている時は、近付かない、他人の獲物は奪わない、助けを求められたら出来る限り応える。

 そんな決まりが有るので、他の班を見かけても、あまり近付かないようにしていた。

 狼魔物の群れを蹴散らして、熊魔物をユーグラムが瞬殺し、出番の少ないディーグリーが、横から突っ込んできた猪魔物を、八つ当たり気味に蹴飛ばしたら、木に正面衝突して絶命したのは驚いた。

 休憩も無く、真っ直ぐ拠点に到着したので、いつもより大分早い時間についた拠点には、まだ他の班は到着しておらず、インテリヤクザな担任が暇そうに見回りをしていた。


「何だお前ら、今日は早いな!」


「聞いてよセンセー!ユーグラムったら、野原に虫が大量発生してるからって、一面焼け野原にしちゃったんだよー!お陰で、大量の素材が灰になったー」


「ハハッ!そりゃ災難だったな、ユーグラムよ、ちゃんと消火はしてきたんだろうな?」


「しました…………ケータ様が」


「おいおい、苦手だからって殲滅するのは勝手だが後始末はちゃんとしろよ!」


「はい、すみません」


 会話中ずっと憮然とした顔のユーグラムだったが、ちゃんと反省はしているらしく、心なしか肩が下がっている。

 消火したことで、誉められているのか、インテリヤクザな担任が、頭をグリグリ撫でてくる。

 飛んでる時に撫でられると、体ごと上下するので止めてほしい。

 拠点にも、たまに魔物が出るが、危なげ無く待機している教師だけで倒して行くので、俺達は魔物の査定を済ませると、やることも無くぼんやりしている。


「ね~ね~ケータ様!暇だから昨日のフワフワのヤツの作り方教えてよ!」


「ほっちょけーち?」


「ほっちょけーちって言うの?」


「あっちゃかいけーちってゆーいみよ(温かいケーキって意味よ)」


「へー、俺あんなフワフワで柔らかいお菓子初めて食べたよ!美味しかった~」


 材料はシェルが大量に用意してくれた物をマジックバッグに入れているので、作ることは出来る。

 アールスハインとユーグラムまで期待に目を輝かせているので、他にやることも無いし、作りますか。

 昨日は一人三枚分焼いたのに、あっと言う間に食べ尽くされたので、大量に作ってやりましょう。

 ディーグリーが手伝いを申し出てくれたので、卵を割って卵黄と卵白に分けて貰う。

 意外に器用な手付きで卵を割るディーグリー、指示を出しながら魔法を使って生地を仕上げていく。鉄板バリアを温めて、木のお玉で鉄板型バリアに生地を落としていく。ゆっくりと膨らんでいく生地を、俺以外が凝視している。

 じっくり焼かないと膨らみが足りなくなるので、急かされてもダメなものはダメです!

 インテリヤクザな担任まで交ざって、ソワソワしている姿は、ちょっと面白い。

 蓋を外してひっくり返す。

 ディーグリーがやりたい!と言い出したのでやらせて見ると一個目は見事失敗。

 二個目からは上手いことひっくり返したので、任せてまた蓋をして焼いて、皿に盛って、バターと蜂蜜を掛けて、ふっくらフワフワホットケーキの出来上がり。

 先を争う様に食べる面々。

 ねえ、救護担当教師二人、いつの間に来たのさ?そんで皆食べるの早いよ!

 俺が半分食べる間に、他の皆は三枚食べ終わってるって、どんだけ早いんだよ!

 かなりの数を焼いたのに、もう残り数枚しか無いって、呆れるしかないね。

 食べ終わって満足そうに腹を摩る面々。

 ゆるゆるの顔をしているが、この後魔物が現れたら、ちゃんと闘えるんだろうか?

 俺達がまったりしているうちに、ポツポツと他の班が到着してきて、査定の列に並ぶ。

 他の班は、マジックバッグを持っていないので、大きな風呂敷みたいな布に、魔物の討伐部位と呼ばれる、一番高く買って貰える部分だけを持ってきている。

 あれでは素材としての買取り額が、大分少ないだろうが、持ちきれなくなるよりはマシって事なんだろう。

 猪魔物の牙とか、熊魔物の手とか、一個だけでも重そうだしね。

 令嬢達の班は、虫魔物の素材中心なのは、重さが原因だろうか?

 中には猪魔物の牙を担いでいる令嬢もいる。

見るからにワイルドな令嬢。

 武闘派な令嬢って迫力あるね。

 そして皆ボロボロのヨレヨレ。無傷で大して汚れてもいない俺達が、怠けていたみたいで、何だか肩身が狭い。

 しかも俺達の班は、お腹一杯でゆるゆるの顔してるし。

 キャベンディッシュなんか、全身泥まみれで、同じ班の人に半ば担がれる様に拠点に現れ、救護テントに運ばれて行った。

 拠点周りに現れる魔物は、インテリヤクザな担任や、他の教師、冒険者に倒されているし、俺達の担当だったニスタさんも、拠点についた途端、見回りに加わったので、ここは安全。

 他の班の人達は安心仕切って、令嬢達まで地面に座り込んでいる。


「あれ、今日は早いんですね?」


「あー、おちゅかれー」


 昨日お礼してきた爽やか君達の班が来た。


「お疲れ様です、今日は早いですね?」


「そーなの、ユーグラムが虫嫌いなんで、休憩もせずに一直線に帰って来たからね~」


 ディーグリーがからかう様に言えば、ユーグラムは知らん顔でそっぽを向く。


「あー、でも確かに今日は特別多かったですから、苦手じゃなくてもウンザリはしましたね」


「そうですよね!あのウゴウゴと蠢く様が!思い出しても鳥肌が立ちます!」


「まーねー、あの草原には俺も鳥肌たったけどね~」


 今日は、どの場所でも虫魔物が大量発生していたらしく、爽やか君もウンザリした顔をしている。


「あの、ところで皆さん、この辺が凄く良い匂いするんですが…………」


「ほっちょけーちちゅくった!」


「ほっちょけーち?」


「これがね!フワフワでシュワシュワ!口の中で蕩けるように柔らかで、甘さが控えめで優しい味わいで、夢のようなお菓子だったよ~」


 ムフフ、と笑うディーグリーに、訳が分からない顔をする爽やか君。

 この世界の菓子は、だら甘くて、かっっっったいもんね!柔らかい菓子が想像出来ないのだろう。

 疑問一杯の顔だが、お腹一杯だから、新たに作ったりはしません!

 俺達が会話している間に、終了時間になり、全ての班が揃ったので、帰りの馬車に乗って学園に帰ります。

 いつもより多くの魔物が出たが、酷い怪我人等はおらず、森の演習は終了した。


 学園に帰って来て、着替えのために一旦解散して部屋に戻る。

 シェルが用意していてくれたお風呂に入り、着替えて少しゆっくりしたら食堂へ。

 二股女がいるのに、落ち着いた雰囲気の食堂。

 不思議に思ったが、そう言えばキャベンディッシュとその取り巻きは泥まみれだった。

 落ち着いてご飯が食べられるのって素晴らしい。

 アールスハイン達は、明日も城で魔法剣の練習をするか話していて、俺は食事の途中から眠気に勝てず、コックリコックリしていた。

 幼児な体は、時に全く思い通りにならないので困る。

 俺は本物の幼児ではなく、聖獣のはずなのに、思い通りにならないのはなぜ?

 食事の終わる頃には、ほぼ意識を手放していた俺でした。

 おやすみなさい。

 ZZZZZZ…………





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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[一言] 『ホットケーキ』が『ほっちょけーち』として覚えられてしまうのでは?そうなったらおもしろいww
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