学園生活4日目、まだ4日?
おはようございます。
今日は快晴です!
昨日の晩御飯時の、重苦しい空気を吹き飛ばすような雲ひとつ無い快晴です!
書記先輩の心配していた魅了の魔法の事は、部屋に戻ったアールスハインが早速王様に手紙を書いてたよ。
テイルスミヤ長官には今日にでも相談するそうな。
考えながら準備体操を済ませ、シェルに着替えさせてもらう。
今日の服は、昨日の着ぐるみが好評だったからか、半袖の大きめのパーカーっぽい服で、色は緑。
フードに熊さんの耳がついて、裾に丸い尻尾がついてる。
下は、スキニーみたいなピタピタの短めのパンツ。
わざとフードを被せられる。
食事はいつものメンバーで取って、教室に。
助も演習の準備が始まったので、暫くは別行動になる。
逆にシェルは演習までは暇なので、アールスハインに付き合うらしい。
ユーグラムもディーグリーも昨日の事には触れず、アールスハインの机の上でコロコロしてる俺をたまに撫でたりする。
教師二人が入って来て、インテリヤクザな担任が今日の予定を発表する。
「あー、このクラスは昨日の内に全員が演習のスタート地点の選定まで終わったが、他のクラスはまだタラタラやってやがるんで、今日の予定が進めらんなくなった。で、このクラスは今日1日自習になる。まぁ適当にやれ、以上、解散」
予定は無いそうです。
昨日は別にそんなに時間の掛かる事は、してないように思ったんだけど、他所のクラスは違うらしい。
幾人かの生徒に質問を受けてたテイルスミヤ長官に近付くと、手短に生徒の質問に答えてこっちを見た。
アールスハインが代表して、昨日の書記先輩の話を簡単にすると、部屋を変えましょうと、先にたって歩き出した。
後ろからインテリヤクザな担任もついてくる。
案内されたのは、テイルスミヤ長官が学園にいる間与えられている部屋で、それほど広くはないが、落ち着いた色合いの家具を置かれた部屋だった。
皆がゆったりと座れる大きめのソファーセットについて、昨日の書記先輩の話を詳しく話していく。
段々険しくなっていくテイルスミヤ長官の顔。
「そんな事が本当にあったのか?」
「8年程前に、辺境への急な出兵があったのは事実ですが、当時ただの魔法庁職員でしかなかった私には、詳しい情報までは知らされませんでした。ですが確かにその頃に、魅了の魔法使いと言われる女性の死体が魔法庁に検死依頼として出されてましたね」
「死体を見たら分かるのか?」
「本来、魅了の魔法と言うのは、弱い魔物が身を守るために身につけた魔法なのです。皆さんご存じの通り毒の有る魔物は、独特の模様や色をしている事がほとんどですが、それは他から見て一目で毒持ちで有ることを明確にし、襲われる事自体を回避するためだからです。同じく魅了の魔法を使う魔物にも種族を問わず共通の模様が表れます。それは魅了の魔法を1度でも使ったことの有る人間にも同様に表れます」
「それが死んだ後にも模様が残るって事だな?」
「はい、体のどこに表れるかは個人で変わりますが、一目で判別出来るほど明確な模様が表れます」
「…………確認の仕方は分かったが、それを相手にどう納得させるか、だな。あれで仮にも姫様なんだろう?その姫様に裸になれってのはなあ?」
この世界の令嬢は、仮令親戚だったとしても、異性であれば同じ部屋で二人きりになる事さえ好ましく無いとされる。
そんな世界で、女子に裸になれとは言いにくい。
「………それが一番の問題ですね。それこそ彼女の身に、命に係わるような重大な問題でも起きて、治療の名目で裸にでもしない限り、調べようがありません」
この世界の常識の中で生きている彼等には、女子を裸にする方法は中々思い付かないらしい。
二股女の性質を考えれば、イケメンで釣れば一発だと思うが、我ながらゲスい考えなので、口にはしなかった。
大人組が頭を悩ませている時に、
「今度の演習の時にでも、毒を食らったとでも言って確認しちゃえば~?他国のお姫様ならこの国の常識とか知らないし、誤魔化せるんじゃない?」
「「それだ!(です!)」」
大人組が食い付いた!えー?ちょっと安直過ぎないー?と、思ったが、俺以外の面子が納得して、作戦までたて始めてしまった。
テイルスミヤ長官は、一応王宮にも連絡を入れると言っているが、作戦を立てる顔が、ノリノリなのは気のせいだろうか?
楽しそうで何より?
その後の話し合いで、作戦としては二通りの案が出て、テイルスミヤ長官が遠隔で痕跡の残らない軽い毒の魔法を掛ける案、もうひとつは、二股女の持ち物の中に軽い毒の成分を含ませたハンカチ等の小物を忍ばせ、それを検査で発見すると言う案。
結論としては、どちらもやるそうだ。
Fクラスの担任は、テイルスミヤ長官を崇拝する勢いで尊敬しているので、ちょっとお願いするだけで、詳しく説明しなくても引き受けてくれるだろうとの事。
教師がそれで良いのか?と思うが、こちらの都合の良いことは、黙っていても特に良心は痛まない。
二股女の今までの態度の事もあるし、もし万が一魅了の魔法を使っていたとしたら、自業自得だし。
ユーグラムが教えてくれたんだけど、魅了の魔法使いと判明した者は、この国では、教会の預かりになって、完璧に魔法をコントロール出来るようになったと認められるまでは、一歩も教会から出ることを許されないらしい。
コントロールを身につけても、夫以外に魅了の魔法を使ったと判明すると、教会に戻されて、その後は一生教会から出ることを許されないらしい。
厳しい対応に思えるが、基本魅了の魔法を身につける人間は、女性のみで性に奔放な人物が多く、何かしらトラブルを抱えているので、仕方の無い措置らしい。
取り敢えずの魅了の魔法対策は決まったので、後はこのままのメンバーで魔法の訓練をするために移動です。
教師二人がいるので、特に許可はいらない。
いつもの訓練所には、珍しく数名のクラスメイトがいた。
「ケータ様、いいですか、今日の様にいつものメンバー以外の人がいる時は、呉々も、呉々も、魔法を加減してくださいね!いつもの様に遊び心で、とんでもない魔法を連発するような事をしてはいけませんよ!」
「あーい」
「呉々もお願いしますね!」
テイルスミヤ長官に、凄い注意された。
大きい魔法とか、人形で遊んではいけないらしい。
ならどうする?
大きくなければ良いんじゃない?
小さい魔法って?
あれじゃない、生活魔法ってやつ。
それなーに?
水の魔法で体洗ったり、風の魔法で洗濯物乾かしたり、火の魔法で料理したり。
そんな便利な魔法聞いたこと無いけど?
秀太が言ってたじゃん。
四男秀太?
そうそう、常に生活魔法があればってブツブツ言いながら家事をしてた秀太の。
あー、言ってたかも?
思い出した?今まさに俺自身が、秀太の夢見てた異世界に居るわけだから、秀太の言ってた知識を実践出来るんじゃないかなって。
ああ、成る程!
やる気になった?
なったなった!
それじゃぁやってみよー!
おー!
脳内会議の結果、四男秀太の野望を、兄である俺が叶えてみようと思います。
まずは、危険の少ない水の魔法から。
体を綺麗にする魔法だから?シャワー?じゃ濡れるだけだし、ミスト?も濡れるだけ、除菌水?何か違う。
要は、体の表面の汚れを少量の水で洗い流して綺麗にすれば良いんだから………一旦薄い水の膜で包んで、マイクロバブルで洗浄、その後乾燥?これで行ける?
まずはやってみましょう!
まず、水の玉を造ります、そこにマイクロバブルを発生させます、んん?これは風の魔法が必要か?プツプツしてます。でもこのままだと冷たいので、40度位に温めます。
良い感じですねー。
ではこれを頭からかぶり、下へと下ろして行きます。
ブクブクブクとね、中々適温ですよ。
体が小さいのであっと言う間です。
洗浄が済んだので、乾燥です。
これは簡単にドライヤーです。ただし、全身にぬるい温風が当たるように、しかし幼児の肌は敏感なので、乾燥し過ぎは良くありません。
なので水分だけを温風で飛ばす感じで。
ふぁーと風が通りすぎました。
体のどこにも不調は見られません。
肌もツルツルモチモチのままです。
ちゃんとすっきりシャワー後みたいな爽快さも有ります。
と言うことは?成功ですな!イエーイ!
洗浄の魔法が完成いたしました。
では次に行きましょう。




