食堂騒動再び
感想を頂いたのが嬉しくて、もう一ページ投稿。
ありがとうございます!
本日は3ページ更新してます。
食堂に到着。
あ、寮の食堂ね。
助とシェルも合流。
学園の食堂は、昼食と軽食以外はやってない。
食堂は程々に混んでいて、俺達は隅の方の席に座る。
メニューを決めて待っていると、中央の席で又々騒ぎが。
まだ学園に来て2日しか経ってないのに、恒例になりつつある食堂での騒ぎ。
その騒ぎの中心は、いつもの、になりつつある二股女とキャベンディッシュ。
奴らは、何故騒ぎを起こさずに飯を食えないのか、心底理解できない。
中央の一番注目を浴びる場所を、自分達に譲れと叫ぶように騒いでいる。
さっさと席を譲ろうと立ち上がった生徒に、何故最初から自分達の為に席を空けておかないのかと、因縁をつけている。
本当に理解出来ない。
この世界に来て、令嬢と言うのは無闇矢鱈と異性と触れ合わず(幼児は除く。俺は触られ過ぎ!)二人きりになる事も極力避けているのは、見てればすぐに気付くのに、二股女は、自分から進んでキャベンディッシュに絡みに行くし、他の令息にも気軽に触る。
その行動に、令嬢だけでなく、令息達も嫌悪の視線を向けている。
触れられて喜んでいる令息の顔には、あからさまな下心が見えているのに、それを自分が魅力的でモテるからだと喜んでいる。
制服だって、自分でやったのか、縫い目がガタガタになっているが、膝上までスカートを短くして、胸元も元々無かったスリットが入っている。
ボソッと見知らぬ令息が娼婦めって言ってた。
俺達のテーブルのメンバーは、全員が呆れて関わりになるのを避ける方向に向いているが、中には物好きにも、自ら近寄っていく奴もいる。
そんな微妙な空気の中、
「「「キャーッ会長様ー!書記様ー!お二人が揃ってお出ましよ!何て素敵なのかしら!」」」
突然空気を引き裂くように令嬢達の黄色い悲鳴が響く。
グワンと頭に響いてクラクラする。
俺が一人目を回していると、当然悲鳴を聞いて、その存在に気付いた二股女が、悲鳴の向けられた主に目を輝かせる。
咄嗟に張ってしまった防音のバリアの中で、会長様に近寄って行く二股女を目で追う。
どんな会話をしているかは聞こえないが、その視線にふんだんに含まれる媚びにウゲーと舌を出していると、会長様と一緒にいた書記様と呼ばれた生徒が、何を思ったかこちらに近付いて来た。
俺の張ったバリアを興味深そうにつついていたディーグリーとユーグラムも、近付いて来る書記様に気付いて、微妙な顔をしている。
バリアに阻まれて近付けない書記様、どうする?ってユーグラムに聞いてみると、バリアを解いて下さいって言うのに、まだ外が騒がしい事が分かるので、書記様だけをバリアに入れてあげたら、ディーグリーが興奮してどうやったの?と聞いてきた。
取り敢えず今は書記様の相手をして下さい!って目で訴えたよ。
無事通じたらしく、
「どーしましたー?何か用ですかー?」
書記様は、アールスハインに一礼すると、
「いや、珍しい組み合わせを見掛けたから挨拶くらいしようかと思ってな」
「成る程!今日の組み合わせで班になったんですよ~話してみたら、アールスハイン王子って思ってたより気さくで、さっきまで皆で魔法の訓練してたんですよ~」
「アールスハイン王子、呪いが解けて魔法を使えるようになったと言う噂は本当だったんですね、おめでとうございます」
「あぁ、オコネル殿、ありがとう。まだまだ修練が必要だがな」
「いやいやいや!これ以上差をつけないで下さいよ!」
「?差をつける?失礼だがアールスハイン王子は、魔法を使えるようになって間も無いのだろう?」
「そーなんですよ!2週間ですよ!2週間!その2週間で俺達は追い抜かされたんですよ!もー信じらんないですよねー」
「そんな事があり得るのか?」
「ねー、俺だって自分の目で見てなければ信じなかったんですけどねー本当なんだよねー」
ディーグリーが微妙な敬語で、更に棒読みになってしまった。
その態度を見て、本当らしいと興味を持った書記様は、アールスハインをキラキラした目で見出した。
俺は、書記様の後ろに到着した給仕さんをバリアの中に入れて、配膳されたお子様ランチに夢中ですが何か?
幼児が目の前に出された食事を我慢できる訳がありません!
見つめられてるアールスハインは、食べづらそうだけど、手を止める事は無く、他の皆も、知らん顔で食べ続けてる。
食堂で、一緒の席に座らないのに話してる人は、基本放置しても失礼にならない。
じゃないと、食堂がいつまでも満杯で、食いっぱぐれる人が出ちゃうからね。
書記様は俺達に苦笑して、アールスハインに一礼すると、バリアから出て、会長様の所に戻って行った。
書記様がバリアから出たので、ディーグリーに聞いてみた。
「しょきしゃましりあいー?」
「あぁ、俺は生徒会の会計で、ユーグラムは副会長だからね!」
驚きの事実。
聞いてみると、この学園の生徒会はあまり仕事が無いらしく、王族以外の高位貴族から選ばれる。平民のディーグリーは、ユーグラムに引っ張られたそうです。
王族が選ばれちゃうと、無茶な命令をされても逆らえる人が居なくなっちゃうかららしい。
キャベンディッシュを思い出して納得した。
仕事が無いのは、万が一生徒に任せ過ぎて不測の事態に陥ったとき、学園が責任を取りきれないからだって、貴族の通う学園って面倒くさいね!
なのでお飾りの生徒会に権力は無いけど、今の会長様は、目立ちたがりで無駄にプライドの高い人だから、やたらと人前に出て演説とかしたがるんだって。
成績は良いらしいけど迷惑でバカなんだって、ユーグラムが辛辣です。
書記様は、真っ赤っ赤の髪に目も赤くて、ゴリちょっと手前の筋肉男、イングリードの3歩手前って感じ、身長もアールスハインより高く、男臭いイケメン。
会長様は、前世懐かしい黒髪黒目、顔はやはりイケメン。
ユーグラムが繊細な美貌なら、会長様は神経質そう、俺様気取ってるけど、いまいち似合って無い感じ。
二人ともイケメンなので、二股女にロックオンされとる。
張ったままのバリアのせいで外の声は聞こえないけど、二股女が会長様と書記様に近寄って、グネグネしてるから、何かしらアピールしてるんだろうけど、側にいるキャベンディッシュの機嫌がドンドン悪くなっているのが遠目に見て分かる。ほったらかしで良いのだろうか?
周りの令嬢は、嫉妬と軽蔑と嫌悪の視線を二股女にグッサグッサぶっ刺してんだけど、その視線に優越感たっぷりに返す二股女。火にガソリンかけてますな!
子息達は、ドン引きしてるのと面白がってるのと、逃げ出そうとしてるので分かれてる。
俺達は、とばっちりを食らう前に、さっさと退散します!
ご馳走様でした。
部屋に戻って暫く寛いだら、お風呂に入ってお休みなさい。




