お城での色々と色
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
天気はくもり。
今日も今日とて令嬢達から逃げ回り、お城の隅っこにある小さな庭園にいます。
たまにアールスハインや助に抱っこされて移動してたからか、俺を攻略すればアールスハインに近付けるなどと言う噂が出回っているらしく、令嬢達に追いかけ回されてる今日この頃。
メイド達もやたらと親切にしてこようとして、逆にとても鬱陶しい事になってるし。
下手に捕まるともみくちゃにされるし。アピール凄いし。
なので最近はこの小さな庭園で暇を潰すのが日課になりつつある。
お城の隅っこなので誰も近付かないし、特に見て楽しい花も植わってないので誰も来なくて良い感じ。
お城の隅っこと言っても、それなりの広さがあり、それなりに手入れはされているので、草がぼうぼうって事もない。
誰も来ない事を良いことに、ブランコや滑り台、ジャングルジムやシーソー等を設置して、ペット達と遊んでる。
全部木製だけど、それなりに強度はありますよ!魔法チートでその辺はね!巨大ハムスタースタイルのプラムでもびくともしない強度です!
プラムは滑り台がお気に入り。
ラニアンとソラはジャングルジムの天辺がお気に入り。
ルクスとハクは遊具ではなく、庭園の端にある泉がお気に入り。
俺は今日はブランコの気分。
木に吊るしたブランコはちょっと心弾むね!
ブランコ用の金具はお城の職人さんに特注しました。
こぐ度にキコキコいうけど気にならない程度なのでまあ良し。
ご機嫌にブランコをこいでたら、見知らぬ令嬢が現れた。
ここも見付かってしまったのかとウンザリしてたら、俺達が居た事に驚いた令嬢は、
「申し訳ありません。お邪魔をしてしまったようで、すぐに去りますね」
そう言ってさっさと帰ろうとする。
引き留めてもらうのが目的なのかと見送ってたら、本当に去っていってびっくりした。
彼女名乗りもしなかったね?
珍しい事もあるもんだとは思ったけど、特に追いかける理由もなく放置した。
数日後、また逃げ回って令嬢達を振り切って着いた庭園には、先日名乗りもせずに去った令嬢が居た。
俺お気に入りのブランコをゆっくりと揺らしながらぼんやりしてる。
令嬢にはお構い無しでバッシャーーンと泉に飛び込んだハクのたてた水音にビクッとした令嬢が、俺達に気付いて慌てて立ち上がり、カーテシーをして無言のまま去っていった。
新しいアピールの作戦だろうか?
その数日後にも庭園に居た令嬢。
この人何時もぼんやりしてるね?
俺達に気付いた令嬢は、何時ものようにカーテシーをして無言のまま去ろうとした。
そしたら何を思ったのか、泉で水浴びをしていたハクが、何時もよりもさらに激しくバッシャーーンと派手に水を跳ね上げた為、近くを通っていた令嬢が水浸しになってしまった。
「こら!ハク!」
慌てて令嬢に近寄り、ハクを叱るとハクはズブズブと半身を水に沈ませてそっぽを向いてしまい、仕方無く、
「ごめんなしゃい!今、かわかすから!」
と、令嬢の服に乾燥の魔法をかける。
フワッと温い風が吹けば乾燥終了。
濡れていた服も髪も肌もサラッと乾いた。
「まあ!凄く便利な魔法ですね?乾かして下さってありがとうございます」
「うちのペットがごめんなしゃい」
「いえ、ぼんやりとしていたわたくしも悪いので、お気になさらず」
「うん、でもこれはお詫びね」
とパウンドケーキを一本丸ごと渡してみる。
ドライフルーツと木の実が沢山入ったパウンドケーキ。
ちゃんと布巾をかけて小さなバスケットに入れてあります。
「まあ!気にしなくてよろしいのに。貴方のおやつではないの?」
「らいじょ~ぶ、まだいっぱいある」
「そう?じゃあ喜んで受け取らせていただくわね」
「うん、ごめんね」
「あの、またここに来ても良いかしら?」
「いいよ」
「うふふ、ありがとう!ではまた」
「うん、またね」
思ったよりも普通のお嬢さんだったので、普通に対応してしまった。
これが作戦だったなら女性不信になりそうだけど。
お嬢さんはレニーとだけ名乗り、身分や素性は一切話さずに我がペット達を眺めてはにこやかに笑うばかり。
我がペット達はツンデレを発動しているのか、一向に触らせようとはしないけど。
俺にも必要以上に構う事もなく適切な距離感で接してくれている。
朱金色の髪に紺色の目は鮮やかだけど、顔立ちは控えめな美人。
お城に集まってる装飾過多で露出過多な令嬢とは違って、控えめなドレスに露出も最低限。
溌剌としたタイプではなく、穏やかで慎ましやかなお嬢さん。
お互いに気が向いた時だけ庭園に来ているのに、会う頻度はわりと高い。
一ヶ月も付き合えばそれなりに話もする仲になり、人となりも見えてくる。
やはり婚活に来ている令嬢だったけど、本人はあまり乗り気ではない様子。
学園を飛び級で卒業したそうで十七歳。お父さんに言われてこの国に滞在中とのこと。
レニー嬢は庭園にお邪魔するお礼に、と菓子を持ってきてくれるんだけど、まだまだこの国の菓子は固い。お城で出される菓子はだいぶ柔らかくなってきて、俺でも食える菓子はあるんだけど、お客様として滞在してるレニー嬢が俺にって持ってきてくれる菓子は、店売りの菓子なので食えない物がほとんど。
俺が食えないことを知って凄く慌てて申し訳ない顔をしてる。
なので逆に大量の菓子を出してお茶会をしてみた。
冒険者なので自分で作れるから、菓子はいらない事も言っといた。
食えない菓子の代わりに、お礼として我がペット達の姿を刺繍したハンカチを何枚も貰った。
ペット達の首に巻いてやったら凄く喜んでた。
俺にも漏れ無く巻かれたけど!
そんなレニー嬢と何時ものように穏やかなお茶会をしていると、付近の草むらがガサガサなってズボッと出てきたのは助。
「やっと見付けた!っと、失礼、他にも人が居るとは知らずに」
助がレニー嬢に軽く謝って、レニー嬢もそれに立ち上がって礼をしてる。
「どした~?」
「ああ、チチャール先生が魔道具が完成したから確認して欲しいとよ」
「おお、出来たんだ~?」
「物凄い顔色悪くて今にもぶっ倒れそうだから早めに行ってやれ」
「あー」
「では、わたくしもこれで失礼しますわ」
「うん、またね~」
「ええ、また」
レニー嬢が去って、菓子や茶器テーブルや椅子を片付けて、助に向き直ると、
「あの令嬢は?」
「レニーちゃん。お友だち」
「お前が普通に友達とか言うの珍しいな?」
「うん。ふつ~のれいじょうだったから」
「どこの家柄だ?」
「知りゃない」
「聞いてね~の?」
「うん。けっこんにものりきじゃないみたい」
「あー、たまに居るよな?家からの命令で渋々来てる令嬢。それにしては珍しく穏やかな雰囲気だけど」
「んー」
渋々来てる令嬢は、明らかに態度が投げやりだったり、嫌われようとして傍若無人だったり、部屋に籠ってたりするからね。
そんな人達は早々に家に帰らせてるようだけど、他国からのお姫様とかはさっさと帰す訳にもいかず、扱いに困ってる人もいるとか。
「まあ、俺らが気を揉んでも、ハインが選ばなきゃ意味ないけどな?」
「しょ~ね~。けっこんしなきゃって思ってそ~だけど、仕事しゅしゅぎよね~?」
「まあ真面目だからな~。結婚も仕事の内とか考えてそうだよな?」
「ちゃんと好きな人、みちゅかるといいね~」
「だな~」
「たしゅきゅは?」
「あー、まあ、結果が出たら知らせる」
「おお?!」
「いや、まだ!色々あるからよ」
「ほぉ~ん?」
「にやにやすんな!」
助の春は近そうです?
5巻の準備中なんですが、書き下ろしとか、SSとか、ずいぶん前の話なので、中々思い付きませぬ!
頑張って書いておりますので、読んで頂けると嬉しいです。




