お城での色々
誤字報告、感想をありがとうございます!
先週はすみませんでした!以後気をつけます。
おはようございます。
天気は晴れ。
お城に来て二ヶ月。
リュグナトフ国程ではないけど、賑やかな年末年始も落ち着いてきた今日この頃。
未だ魔物の解体が終わっていない。
なので暇をもて余した俺は、料理長に拉致られたり、ジャンディスに付け回されたり、騎士訓練場で治癒魔法を使ったり、チチャール先生に質問攻めにされたりして過ごしてる。
料理長は最近はご飯に合うおかずを作るのにはまっていて、煮物も色々とバリエーションを広げている。
キュウリやレモンの煮物とか、俺には無いアイデアもバンバン試してて、それが意外と美味しくて驚いたり。
ジャンディスは聖獣である俺を観察したいだけなので、害はないけどウザイ!まあ、清潔を心掛けるようにはなったのでほっとしてる。
騎士訓練場は、リュグナトフ国から移住してきた顔見知りの神官さんにお願いされたので、顔を出すだけのつもりが、俺の治癒魔法を初めて見たこの国の神官さんに質問攻めされて、仕方無く体の構造を説明したり、内臓の大まかな働きを説明したりしてたら、なんか尊敬の目で見られるようになった。
チチャール先生は、地下の巨大魔道具の改良に苦心してて、ぶつぶつ言いながら廊下を歩いてる時に、踏まれそうになって、そのまま拉致られた。
リュグナトフ国の学園にいた時は、嫉妬まみれの目で見られてたのに、いざ自分が職員になると、目をキラッキラさせて俺を質問攻めしてきて、ちょっとどうなんだ?とは思った。
地下の巨大魔道具は完全に浄化され、既に一年以上たっているので、空気が淀んだり臭かったりはなくなって、風通しの良い洞窟みたいなひんやりした空間だった。
精霊の埋め込まれてた場所には魔石が埋め込まれ、触手によって途切れてた線は新しく書き直され、俺が今まで作ってきた簡単な魔道具とはまた違った複雑な線が縦横無尽に書かれてて、意味が分からなかった。
チチャール先生の説明によれば、大まかな基本は同じで、複数の魔法陣が重ねて書かれてるから分かりづらいのだとか。
離れた入り口からよ~~~~く見れば、基本の三角や丸、四角の線があり、その角に文字が書かれてる事も分かる。
それが何十、何百?にも重ねて書かれてるので、ごちゃっとして分かりにくくなってるようだ。
書いた奴の執念とか妄執とかを感じるね?
奥の小部屋にはユーグラムと何人かの神官さんも居てお悩みのご様子。
部屋の奥の壁には国の地図が書かれ、その地図にも魔石が埋まってる。
各教会に設置された魔石は、一旦回収され浄化してからまた各教会に設置し直されたそう。
どう言う仕組みなのかは知らないけど、各教会に設置された魔石から、この小部屋の魔石に魔力が流れてきて集まる。
その国中から集まった魔力が部屋の手前にある玉座に凝縮されて、玉座に座る者に流れていく仕組み。
で、その集まった魔力をどう活用するかが目下の悩みだそうです。
今はまだ各教会に設置された魔石に魔力を流す人が少ないので、凝縮しようがない程うっすらとしか貯まってないけど。
そんでこれをどうするか?
手っ取り早いのは魔石に籠める事じゃない?
色々な人の魔力が混じっているので、属性毎に分けて、魔石に籠めれば良いんじゃない?
と思ったら、当然その方法は検討されたけど、属性毎に分ける事が中々難しいらしい。
人によって魔力の濃度や性質も違うので、それを均一にして属性毎に分けるのは、大変なんだって。
実現したらこの国を揺るがす程の魔道具になるらしいけど。
チチャール先生が目が三角に成る程悩んでるそうな。
頑張れ~!下手に俺が作っちゃうと、チチャール先生はじめ魔法局の人達の心を折っちゃいそうだから、手は出しません!
アールスハインに頼まれたらやるけど。
でもヒントくらいはあげようかな?
「ちちゃ~るしぇんしぇ~」
「ケータ様、僕はもう教師ではないので、先生ではないですよ?」
「ちちゃ~るしゃん」
「はい、なんでしょう?」
「じょ~かすれば良いよ」
「じょ~か?浄化、はっ?!そうか!浄化か!浄化してしまえば魔力は均一になる?いや、なるのか?」
「こじんのせ~しつは、きえりゅね?」
「ああ!そうですよね!個人の性質が無効化されるならば、あとは濃度の問題なので、それは選ぶ魔石で何とでもなります!そうか、浄化か!アハハハハ!これで一気に解決だ!アハハハハッ」
チチャール先生はスキップしながら何処かへ行っちゃった。
「ケータちゃん?チチャール先生はどうされたんですか?」
後ろからひょいっと抱っこされて、ユーグラムに聞かれる。
「もんだいかいけつしそうで、うかれてんね?」
「ケータちゃんがヒントを下さったんですか?」
「ちょっちょだけね?」
「フフ、ありがとうございます。行き詰まってたので助かりました」
「できるとい~ね?」
「ええ、少しでもこの国が豊かになれば良いですね」
この国は貧乏ではないけど、特別豊かでもない。
農業は各地で行われているが、リュグナトフ国程の収穫量は無いし、そもそも国土が五分の一もないし。
国民が飢えない程度の収穫はあるんだけど、それを元国王の老人が根こそぎ持ってっちゃって売っ払い、超高額な素材を集めるのに使っちゃったので、国庫まで空っぽにされた。
だから一年前に見たこの国の国庫には魔道具しか置いてなかったのね。
元国王が想定していたよりも早期に動きに感付かれ、リュグナトフ国が攻めて来ちゃったので、解決も早期で終結してしまった為、元国王の老人は処刑され、アールスハインが王様になった事で、リュグナトフ国の支援を受けて、去年は何とか生き延びられた国民も多いのだとか。
リュグナトフ国への感謝を口にする国民も多いそう。
で、そんなリュグナトフ国の王子が王様になって、アールスハインの評価も上がってるそうな。
リュグナトフ国はここ最近は豊作なので、あと三年くらいはこの国に支援しても余裕なくらい豊かなんだけど、王様になったアールスハインも、何時までも甘えてる訳にはいかないと頑張っている。真面目!
色々とこの国独自の政策とか産業とかを考えてるらしいよ。
偉くなるって大変ね?
もう一つ大変なのが、アールスハインのお嫁さん問題。
何処かアマテ国と似た雰囲気のあるお国柄、王族には絶対服従みたいな貴族達も、女性の幸せは結婚しかないと頑なに信じてる貴族は多く、お城には何くれとなく理由を付けて、連日沢山の令嬢達が押し掛けてきてる。
無給でも良いから!とメイドや侍女の応募も殺到してるとか。
男子でも子供を産める世界なので、令息でも良いはずなのに令嬢ばっかり。
三ヶ月に一度くらいの頻度で、能力やこれまでの素行、評判等を考慮して選ばれた令嬢達とのお茶会も開かれているらしいが、アールスハイン自身がいまいち乗り気ではないらしい。
アールスハインが相手を決められないので、下位貴族の令嬢達まで微かな希望を抱いて婚期を遅らせているとの噂まである。
お城を歩いてるとそんな令嬢達が俺にワラワラ寄ってくる。
「可愛らしい!わたくしは………」
「迷子かしら?親御さんの所まで案内しましょうか?わたくしは………」
「ウフフ、わたくし子供が大好きなのよ!わたくしは………」
などと言いながら俺を構おうとする令嬢達。
でもね、その八割が誰かへのアピールって、どうかと思うの。
能力面でも実務面でも、リュグナトフ国で揉まれてきた移住組は大変優秀で、この国でも着々とその能力を見せつけて、確固たる地位を確立しつつある。
既に何人かの大臣は交代させられてるし。
そしてそんな移住組は、皆揃ってまだ若い。アールスハインとそんなに変わらない年齢の人も多い。
そんな将来有望な人達に向けたものなのか、アールスハインへの遠回しなアピールなのか、やたらと俺を可愛がってますアピール合戦が起こってる。
ほぼ全員態々名乗ってくし。
とても迷惑。
なのでこっそりシェルにチクってる。
シェルは笑いながらリストを作って、お茶会から令嬢を除外してる。
令嬢は近隣国からも来る。
何処其処国の何々姫です、とか。
俺には関係ないよね?フリーパスでお城を歩いてる俺にアピールすればアールスハインに伝わると思ってるのかね?
ケータへの待遇?に色々と突っ込みを頂きました。
皆様の意見にも納得するんですが、ケータさんたら一年も人と接さずに生活している内に、自分が幼児であることを忘れてた気配。
一応?思考は大人なので、お金持ってるし買い物くらい出来るだろう、と思ってました。
その辺を上手く文章として書けたら良かったのにな~・・・。
頑張ります。




