今後の予定と、魔法の説明ちょっとだけ
誤字脱字報告ありがとうございます!
至らない作品ですが、今後ともよろしくお願いします。
お礼も兼ねて、一ページ更新しときます。
サラサラと登録用紙に記入する3人の様子を横に、アールスハインの抱っこから離れ、フヨフヨ飛んで、インテリヤクザな担任の前に、
「しぇんしぇー」
「おお、噂の妖精か、俺に何の用だ?」
見た目は怖いし、態度も悪いし言葉遣いも乱暴だけど、目の前に飛んでる俺のために片手を出して、尻を押さえて座っても良いよと示してくれる。
こう言う所はとても面倒見の良い教師と思える。
遠慮なく座らせてもらって、
「しぇんしぇー、おりぇもえんしゅーいっていー?(先生、俺も演習行って良い?)」
「お前、俺って言えてねーぞ、無理して俺なんて言わないで、もっと可愛く自分の名前でも呼んどけば、周りのウケも良くなんじゃねーの?」
フム、確かに一利ある。
後はプライドの問題か、肉体的には幼児になったが、精神的には大人なので、本物の幼児のように、自分の名前にちゃん付けなどして呼ぶのは抵抗があったが、実際の所、正確に発音出来てない。
それに最近は、どうも肉体に引っ張られて、行動が幼く、取り繕えなくなってきているように思う。
仕方ないので、もう少し呂律の改善が為されるまでは、自分の名前呼びを容認し、周りのウケを良くしておこう。
「んじゃー、けーたはけーたで!」
「あぁ、その方が子供扱いで甘やかして貰えるぞ」
インテリヤクザな顔でニヤリと笑われると、とても悪いことを考えていそうに見える。
こちらも負けじとニヤリと笑えば、
「ブハッ!良い笑顔だ!」
とグリグリ頭を撫でられた。
「んで、演習か、別に良いんじゃねーの?ケータは、アールスハインにくっついてる妖精なんだから、一緒に行くのも問題ねーだろ。ただ、やり過ぎんなよ」
あっさり許可がおりました。
「あーい」
良い子のお返事しときました。
インテリヤクザな担任の手を離れて、アールスハインの元に戻る。
話を聞いていたのか、苦笑しているアールスハイン、ユーグラムは満面の無表情で、周囲に幻の花を振り撒いている。
ディーグリーは、登録用紙のアールスハインの名前の横に、小さく俺の名前を書いてくれた。
その後、続々と出来上がった班が、登録用紙に記入するため並び始めたので、席に戻った。
後から話を聞いた時に、シェルがニコニコしてたので、理由を聞いてみると、席順の時と同じく、王族であるアールスハインを、最後まで班に入れないのも気を使うし、剣術は素晴らしくても、つい最近まで一切魔法の使えなかったアールスハインを自分の班に入れるのは、不安があるしで、皆が、どうするのが最善か迷っていたら、ディーグリーがあっさりとアールスハインを班に入れちゃったので、その他の人達は何の問題も無く、班を決められるようになって、サクサク進んだんだとか。
アールスハインは、自分の立場をよく理解しているので、自分からは誘ったりせず、誘われたら誰の班でも断らないようにしてたんだとか。
普通は、学園で王族の子供が孤立しないように、幼い頃から側近と言われる複数の高位貴族の子供達を選んで、遊び相手として城へ頻繁に招待して、お互いに慣らしておくんだけど、アールスハインの場合、幼い頃から原因不明で魔法が使えず、その原因を調べることを最優先にしたため、遊ぶ時間が減らされ、更に、アールスハインの側近候補として集められた子供達を、キャベンディッシュの母であるクシュリアが、悉く排除していったために、今現在アールスハインに側近と呼ばれる者は一人もいなくなり、学園では微妙な立場になってしまっているらしい。
それが今回は、あっさりと解決したため、シェルもホッとしたんだって。
本当に面倒くさいな王公貴族!
全員で22人のクラスで、男子4班、女子2班出来た。
ザ・お嬢様なイライザも友達らしい女子と無事班になっていた。
サクサク決まった班決めに、インテリヤクザな担任も満足そうに頷いて、演習に関する細かい注意をしていく。
資料を配り終えて、今日は終了。
毎年この班決めに、ほぼ1日かかるのに、このクラスは1時間程で終了してしまったので、早いけど解散して良いらしい。
教室を出ると、通り掛かるクラスでは、ワチャワチャと声がして、まだ決まる様子が無い。
階段横の1年Fクラスを通り掛かると、一際大きな声が、
「何で男女別なのよ!そもそも何で私がこのクラスなのよ!普通他国の王族って言ったら、一番上のクラスになるのが当然じゃない!こんな落ち零れクラス冗談じゃ無いわよ!すぐにクラス替えしなさいよ!」
二股女である。
そもそもの話、二股女は城を追い出されて、男爵家の養子になったので、男爵令嬢扱いになるところ、突然養子になったので入学手続きが間に合わず、入学は来年になるはずが、キャベンディッシュがいちゃもんをつけ、問題行動の多い二股女を監視する意味も込めて、聖女の時の入学条件だった他国の王族設定を使うって事で話が纏まったらしい。
本人達が、初日に男爵家の養子になったって大声で喚いていたけど、それは良いのだろうか?
王様が言ってたけど、本物の他国の王族ってのは、成績が悪いと国の恥になるので、自国を出る前に、徹底的な英才教育を施され、優秀と認められて初めて他国の学園に入学を許されるのだとか。
例えば、自国の内紛などで、若い王族を安全のため他国に留学させる時などは、英才教育をする暇もない場合、低位貴族の子息として留学させるなどの措置が取られる。
そう言う事情は、ほとんどの貴族が常識として知っているので、他国の王族と公表されて留学しているにも関わらず、能力の低い生徒は、王位の継承に関わる事の無い、扱いに困る、性質の悪い人間性の持ち主として、学園では平民以下の対応をとられているらしい。
なので、騒ぎや貴族とのトラブルを起こせば、即退学になることも少なくない。
本物の他国の王族だとしても、退学を言い渡されて帰国した王族は、能力無しとして、その後冷遇されてしまうとか。
怖い話である。
さっきから怒鳴り声を響かせている二股女も、この分では近いうちに退学を言い渡されてしまいそうですね。
二股女の声が止んで、教師の声がうっすらと聞こえる。
流石の二股女でも、退学を持ち出されれば、大人しくなるだろう。
通り過ぎながら、色々と考えたが、結局俺に出来る事なんて大した事はない。
いざと言う時のために、魔法チートに磨きをかけましょう。
何よりその方が、俺が楽しいし!
「にぇーにぇーはいんー、まほーくんれんしゅりゅー!(ねーねーハイン、魔法訓練する!)」
「ん?そうか、そうだな時間も出来たし訓練所でも借りて練習するか」
提案を快く了承して貰えました。
「その訓練、私も参加して良いですか?」
「ハイハイ!魔法訓練なら、俺も参加したいでーす」
参加者が増えました。
特に断る理由もないので、そのまま皆で移動。
職員室で、訓練所の利用許可を貰い、訓練所へ。
到着した訓練所は、お城の訓練所と同じ位の広さだが、周りを囲む塀の向こうにバリアがあり、その外側に観客席が設置してあった。
何か昔、教科書で見た気がする。
コロシアムとかコロッセオとか確かそんなのを小さくした感じ。
勿論古代遺跡とかじゃなく、現役で使用されてる施設なので、綺麗に掃除されてるけどね。
さて、ここでまずは何をしよう?
魔法訓練って言っても、俺とアールスハインが習ったのは、まだ、魔法玉を投げる初級魔法と、やっぱり初級のバリアの魔法だけ。
バリアの魔法は、色々と工夫して、初級のバリアながら、中級の攻撃魔法を防ぐ位の強度を出せるようになったよ。
「アールスハイン王子は、実際の所、何時から魔法を使えるようになって、どれ位の魔法を使えるようになったんですか?」
「使えるようになったのは、2週間前で、今現在使えるのは属性ごとの魔法玉とバリアの魔法だけだな」
「は?2週間前に始めて属性ごとの魔法玉とバリアが使えるって!いやいやいや出来すぎでしょ?なんすかそれ?アールスハイン王子、実は天才?」
「いや、テイルスミヤ長官に直接師事して、ケータと言う規格外に見本を見せられれば、誰でもそこそこ使えるようになるだろう」
「えー、そんなんなりますかねー?いくら魔法庁長官様に習っても、一番の基本の魔力操作が上手くいかないと、魔法自体発動しないでしょう?魔力錬成の玉って、幼い頃から何年もかけて訓練して出来るようになるもんでしょう?」
「あー、実は魔力錬成の玉の色変えは、裏技を使って1日でクリアしたんだ」
「え?そんな裏技あるんですか?王家の秘技とかですか?いや待てよ?確かキャベンディッシュ王子は色変えが下手だって先輩に聞いたことあるぞ?」
今もまだキャベンディッシュは色変えが下手ですよ!
そう言えば、人に色変えの方法を教えるのも内緒でした!言えない事が多くて困るね!
ディーグリーが方法を知りたくてウズウズしてるけど、王様にも内緒ねって言われてるから言えないけどね!
「悪いが方法はちょっと特殊なんで、教えられないんだ。まあ、それでその後の訓練で魔法玉とバリアを早々に習えた訳だ」
「あーはい、これ以上は聞きません!で、魔法玉の威力とバリアの強度は?」
「魔法玉は、魔法訓練用の人形を行動不能に出来る程度、バリアは威力の高い魔法玉でも防げる程度だな」
「いや、それもあり得ないって言うか………あれですね、アールスハイン王子って、実は天然なんですね!もしくはご自分を過小評価する人なんですかね?」
「そんなつもりは無いが?」
「普通はね、1年生の魔法玉ってのは、練習人形を半壊位させれば上位の成績が取れるんです!バリアは魔法玉一発防げれば上々の評価を貰えます!」
「そ、そうなのか、今まで魔法の授業は座学にしか出たことが無くてな」
「あー、それなら納得です。あれでしょ、テイルスミヤ長官と、妖精のケータ殿の魔法だけ見て覚えたんでしょ?そりゃぁ威力がおかしくなる訳だ!テイルスミヤ長官は元々この国一番の魔法使いだし、ケータ殿は妖精だから魔力抵抗がほぼ無いし!比べる相手が悪かったんですね~」
俺って魔法チートだからね!
魔力抵抗ってのは、魔力を魔法に変換する時に自然と減っちゃう魔力の事で、魔力操作が下手だと、魔力の割にショボい魔法しか発動しないんだって。
この学園にいる生徒の半数以上が、魔力変換の時に魔力抵抗で減っちゃう魔力が、大体50%位で、優秀と認められてる生徒の魔力抵抗は40%、テイルスミヤ長官位になると20%まで減らせるんだって。
俺?俺は魔力抵抗0%ですよ、内緒だけど聖獣だからね!
アールスハインは訓練で30%まで行ったよ。
そのため、魔力量がどれだけ多くても、魔力操作が下手クソだと、キャベンディッシュみたいにショボい魔法しか使えない。
「えーじゃあ、今後のために1度アールスハイン王子の魔法を見せてもらっても良いですか?俺らの魔法も確認して欲しいですし」
「ああ分かった」
アールスハインが了承すると、ディーグリーが職員室で借りてきたリモコンみたいな物を操作した。
訓練所は中央に丸い石の舞台?があり、その周りに芝生が植えられている。
アニメで見た事がある?弟がやってたゲームでも見た気がするね。
しかし、その舞台の横にまさか練習人形が格納されてるとは驚いた。
しかも、お城の人形とは違って、下半身もあるマネキンがガショガショいいながら歩いて来る。
顔の部分に目鼻は無く、関節が球体なのも、全体の色がボンヤリと発光する乳白色なのもとても不気味で、ついついアールスハインにしがみ付いちゃったよ。
幼児な体がプルプル震えちゃった。
アールスハインがポンポンしてくれて、少し離れた所で人形も止まったので、震えはすぐに治まったけどね。
「ケータ殿大丈夫ですか?あの人形を使うのは止めましょうか?」
心配してオロオロしながらユーグラムが聞いてくる。
アールスハインの腕の中で、既に震えの治まった俺は、
「だーじょーぶ、もーこわきゅにゃい」
「そうですか?無理せず言って下さいね」
「ありあとー」
そんな事もありつつ、さて実践です。
アールスハインが魔法を打つので、邪魔にならないように腕の中から飛んで離れると、やはり邪魔にならない場所に移動したディーグリーとユーグラムが二人とも来い来いと両手を広げている。
フヨフヨ飛んで近づくと、ポスンとその腕に落ちるように飛び込んだ。
二人の間に片腕ずつね。
ユーグラムとディーグリーが手を繋ぐみたいになるのが面白い。
さてさて気を引き締めて、アールスハインの魔法を見ます。
アールスハインは真剣な顔で人形に向き合い、魔力を掌に集め、時間をかけずに火魔法玉を人形に向けて打ち出す。
着弾した火魔法玉は、人形を丸呑みにして暫くの間燃え上がった後、仕事は終わったぜ!とばかりにシュルっと収まった。
残された人形は、辛うじて立っているものの両腕はもげ、胴体と頭部分が黒焦げになり、足もガタガタと震えて今にも崩れ落ちそうになっている。
俺は、当然の結果として頷いたが、ディーグリーとユーグラムは驚きで声も出ない様子。
アールスハインが振り向いた事で、我に返ったディーグリーが、
「いやいやいや、いやいやいや!何だよその威力!初級の魔法玉で出せる威力じゃねーだろ!ありえねー!!」
「ちょ、ディーグリー!言葉が過ぎますよ!確かに信じられない威力でしたが!王子に向けていい言葉では無いでしょう!」
「だって!この王子様ったら、魔法使えるようになってまだ2週間って言うじゃん!2週間でこんな魔法覚えちゃうとかあり得ないでしょ!今までの俺らの苦労は何だったの?」
「確かに信じられない上達速度ですが、王子に向けていい言葉使いではないでしょう、それに、どこの世界にも規格外と言うのは存在します」
「あー、アールスハイン王子申し訳ありませんでした!興奮のあまり無礼な……」
「あぁいや、言葉使いとかは気にしないでいい、これから少なくとも今学期中は共に演習に参加するんだ、気を使われ過ぎてもお互いやりづらくなるだろう、公の場でなければ、普段通りの言葉や態度でいてくれて構わないさ」
「いいのでしょうか?そんな事を言っては、ディーグリーなど本当に遠慮が無くなりますよ」
「いやー、アールスハイン王子が話の分かる人で助かりました~!……所で、話しは戻りますが!あの魔法は何ですか!あの威力は最早中級の魔法って言っても良いですよ!」
「確かに凄まじい威力でしたね」
「………そうなのか?テイルスミヤ長官やケータなんかは消し炭にしたり木っ端微塵にしたりするもんで、俺はまだまだなんだと思っていたんだが……」
「「………………」」
アールスハインが自分を過小評価する原因は俺でした!
いやいや、俺だって別にアールスハインに差を付けようとした訳じゃ無いよ。
魔法なんて未知の技術に興奮してただけで、ちょっと加減とか考えて無かっただけだよ!反省は多少するけど、後悔は無いね。




