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戦場 2

誤字報告、感想をありがとうございます!

 おはようございます。

 天気は晴れてるんだけど、魔物から出る靄のせいで暗く感じる。

 戦場に来て一ヶ月たとうとしてます。

 昨日王様が到着したことで、士気はだいぶ高まったけれど皆さん疲れが目に見えてきてる。

 リュグナトフ国は世界一の大国だけど、無尽蔵に兵士や騎士が居るわけでもないし、当初予想してたよりもだいぶ魔物の数が多い。

 この一ヶ月で荒野を抜けて、ササナスラ王国の領土に入ったけど、ササナスラ王国の国内も大変な事になってる。

 抵抗する間も無く蹂躙された町や街、食い荒らされた死体の転がる現場は、歴戦の冒険者でも吐く程衝撃的だった。

 ササナスラ王国のお城に潜入してる暗部の報告では、ササナスラ国王ですら予想外の事態になってるようで、国王本人はリュグナトフ国のせいにしようと兵を集めているそうだ。

 でも街から逃げ延びた多くの住民達がこれはササナスラ国王の企みだったと証言しているせいで、兵は集まってないらしい。

 独裁主義の国王の命令でも、今回の事は看過出来る事ではなく、各貴族も徴兵に応じないんだとか。

 それよりも自分の領地を守る為に配備されているそうだ。


 会議の隅っこに参加して聞いたので、確かなのだろう。

 それに最近ではアンデッド系の魔物が混ざってきて苦戦することも多い。

 俺の一番の仕事は、治療ではなく最近では聖魔法水を作るのが一番多い。

 皆各々に水袋を持って、そこに聖魔法水を入れて、剣にかけながら戦ってる。

 聖魔法水で濡れた剣は、アンデッド系の魔物にも普通に致命傷を与えられるからね。

 我がペット達は普段から俺の聖魔法玉を主食にしているので、普通にアンデッド系と戦える不思議。

 ルクスちゃんまで参加して、アンデッドの胸の辺りをズボズボ突き抜けて倒してる。エゲツない!

 アンデッド系は取れる素材も無いのでとても役に立たない魔物です。

 ダンジョン内ならドロップ品があるのにね?

 外に出て普通に倒すと何も残さず消えていく。

 ゾンビとかグールは溶けたようにブチュブチュになるけど。

 消臭剤かけると消える。くっっっさいのも消えて一石二鳥。

 この戦場にも薬師ギルドの薬師さんが居たんだよ!だから作ってもらったよ消臭剤!アンデッド系は兎に角臭いからね!

 あと背負えるタイプの霧吹きをドワーフの街に注文して大量に作ってもらった。

 その霧吹きで上空から聖魔法水を噴霧してるのが魔法庁職員達。

 アクロバティックに飛ぶのは騎士の方が得意だけど、長時間安定して飛べるのは、魔力の多い魔法使いだからね。

 背負えるタイプの霧吹きで上空から霧吹きしてるのって、とてもシュールな光景なんだけど笑ってはいけない何か。

 人の命がかかってるから皆真剣だしね。でもそれがさらにシュールさを加速させてるよね!


 今日も今日とて聖魔法水を大量に作ってる俺です。

 川の水を魔法で汲み上げて、そこに聖魔法を溶かす簡単なお仕事。

 もう面倒くせぇからこれを上空からぶちまければ良いんじゃない?と思う。

 でもそれでは駄目なんだって。

 ササナスラ国王の企みを、リュグナトフが一丸となって倒す事に、国として意味があるそうな。

 ササナスラの国民は我先にと逃げ出してるのにね?

 協力して戦えば良いのにね?

 長年押さえつけられてた人達は、自分の意思で戦う事を選択するのは難しいんじゃないか?って言ったのは将軍さん。

 返り血で真っ赤ッ赤の顔で溜め息吐いてた。

 それでもリュグナトフ国側につく冒険者は多く出てきて、土地勘のある彼らには何度か助けられた。

 冒険者は自由、自己責任が特徴だから、状況に合わせてその辺は臨機応変に考えられないと生き残るのも難しいからね。

 ちゃんと冒険者ギルドの職員も同行してくれてるので、簡易だけど依頼登録も出来るよ!

 ササナスラ側としてアンデッドを倒しても何もないけど、リュグナトフ国側として依頼を受ければ少ないだろうけど報酬が出るからね。


 さらに一ヶ月間戦い続けてダンジョンの入り口が見える場所まで到着した。

 そもそも魔物倒しながら歩いてここまで来たので凄い時間かかった。

 半分は移動時間だったし。

 ダンジョンのある街は、普通ならダンジョンに関する商売をする店や冒険者相手の飲食店、宿やギルド等で大変な賑わいを見せる大きな街であることが多い。

 しかし今回の魔物の氾濫で街は壊滅的に破壊しつくされ、今や踏み潰された瓦礫が広がるばかり。

 人の姿は皆無で、所々に人ではないものの残骸が残るだけ。

 生き物も死体も魔物しか見当たらない。


 俺達が参加する前は知らないけど、ここまで来るのに、リュグナトフ国側として参加している者の中には、奇跡的に死者は出ていない。

 途中に転がっていた死体はササナスラ国民だけ。

 瀕死の重症を負った者は多く居たけど、俺チートで助けたし!

 勿論魔物も強い魔物が出てきてるけど、こっちも範囲が絞られてきてるので少数精鋭に切り替えてるし。

 王様はダンジョンではなく、ササナスラ国王の制圧のために動いてるし。

 アールスハインと助もそっちに行ってる。イングリードは近衛騎士団長として国に帰った。

 クレモアナ次期女王の警護にね。

 王様が居ない間に狙われたらシャレにならないし。

 なので戦力としてアールスハインと助も王様と一緒に行って、何故かデュランさんも王様と一緒に行っちゃった。

 元々只者じゃない雰囲気の人だったけど、戦力としても只者じゃないらしいよ!ちょっと見てみたかったね!

 こっちには将軍さんが居る。

 魔法庁職員は王様の方へ。教会関係者は半々。でもこっちに来たのは何故か戦闘員だけ。

 ユーグラムとディーグリーはこっち。

 いつの間にかユーグラムが教会代表者の一人になってるし。まだ見習いの筈なのにね?

 戦力としては誰よりも強いから言うことを聞いてくれるらしいよ。

 枢機卿のお爺ちゃんもお爺ちゃんなのに実は強いし!小型のワイバーンが救護所を襲ってきた時に、素手で倒してたからね!腰抜かす程驚いたからね!

 ダンジョンから出てくる魔物はアンデッド系と獣型と半々だけど大型のものが出てきてる。

 サイに似たモスに小型のドラゴンに、大型のリザードとか頭が三つあるケルベロスとか。

 あとはゴースト系の骨だけで動くスケルトンとか、レイス、レギオン、リッチとか言う目に見えるけど普通は触れない系も居る。

 その全部が腐ってたり溶けてたり、幽霊だったり。

 物凄く臭い!兎に角臭い!鼻が曲がりそうなくらい臭い!

 消臭剤はたっぷりあるけど、撒いても撒いても臭い!

 ダンジョンから出てきた途端飛び立とうとした腐ったドラゴンは、ルクスちゃんがズボッと一発で仕留めてたけど、戻ってきたルクスちゃんも臭い!本人もそう思ったのか、消臭液に飛び込んでたし!

 もう目にしみるくらい臭い!

 ちょっと我慢出来ない臭さだったので、魔法で浮かせたありったけの消臭液をぶちまけてやりました!

 物凄いもがき苦しんでました!

 ただの消臭剤なのに?!臭さが消えたら死ぬの?!

 呆れた目で見られたけど、臭いは軽減したよ!

 薬師さん達が涙目で消臭剤を作り始めたよ!ごめんね!追加の材料はまだまだ大量にあるよ!

 あとはもう突撃して倒すのみ!

 臭いので雄叫びをあげる人が少ないので静かな戦闘。

 普段は誰かしら叫んでるのに、今回は皆して無言のまま倒してる。

 臭さ過ぎて息をするのも嫌だからね!

 俺は聖魔法玉を遠くから撃つ係です。

 威力の弱い聖魔法玉何発かでは倒せないけど、当たった所には物理攻撃がきくからね!ゴースト系は実体が無いように思えるけど、聖魔法玉の当たった所には普通の剣でも攻撃が出来るので、倒すのをメインではなく、数を沢山撃ってる。

 たまに消臭液も振り撒く。

 腐っていても肉体のある魔物には消臭液で動きを止める事も出来るし、何ならダメージも与えられてる様子。

 良いぞ、消臭剤!ここまで役に立つとは思ってなかったけど、貧乏性でついついレシピを捨てられなかった俺、グッジョブ!


 湧き続ける魔物を交代で殲滅し続け、やっと魔物が出てこなくなったのは、それから三日後の夕方だった。

 最後のボスだろう頭が三個ある巨大ドラゴンは、特に!臭かった!

 息を吸うだけで吐き気をもよおす臭いだった!消臭剤を染み込ませた手拭いを顔に巻いても臭かった!

 最後は我慢出来なかったルクスちゃんにズボッとされて、ラニアンとソラに一個ずつ頭を切り飛ばされて、残った頭をハクが酸を吐いて溶かされて死んじゃったけど!

 もう二度と出会いたくない臭さだった!

 最後魔力の紐みたいなのがどっかに飛んでったように見えたけど、今は兎に角風呂に入って全身を洗いたい!疲れた!魔力はまだまだ全然余裕だけど、もう臭いのは嫌です!


先週はすみませんでした。

忘れた頃にやらかすからうっかりはうっかりと言うのね。ごめんなさい!

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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
某ジャンプマンガ「不死と不運」の腐っていないゾンビが思い浮かんだ
[気になる点] 前は消臭(臭い遮断)バリア使ってたのに ここは使わないの?
[一言] (//▽//)追いついた~ (☆∀☆)(☆∀☆)ヒャッホーイ!!!!!!www
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