森森森
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
天気は今にも降ってきそうな曇り。
ダンジョンを出た後、俺が寝た後も皆は話し合っていたらしく、やはり陸路で南大陸を目指すそうです。
それには広大な魔の森を抜けなければいけないんだけど、皆さんヤル気満々。
我がペット達までがヤル気満々。
なぜ皆してそんなに好戦的なのか?平和と安全が一番だと思うんだけど?
まあ、多数決ならしょうがない。
北大陸のパンダ町。ここが獣人だけど人の住む最西端の町。
竹林の中にある町は、皆さんのんびりと笹を食むパンダが大小沢山居て、何と言うか気が抜けるほどのんびりしてる。
前世では黒かった部分が赤だけど。子パンダはピンクだけど。
何故か皆さん前世に居た動物園のパンダ同様人間らしさは皆無で、動物としての本能が強いみたい。
何故かベストだけは着てるけど。
非常に長閑で可愛いんだけど、実物のパンダってでかいよね!
子パンダもめっちゃ可愛いんだけどレッサーパンダスタイルのプラムよりでかいよね。
力も強いし、よく見ると歯も鋭い。
あの竹をバリバリ噛むんだから当然だけどね!
紅白なせいで、よりのんびり和んじゃうけどね!
言葉は通じるので、町を通り抜けさせてもらう。
たまに子パンダにじゃれつかれたりしながら町を通り抜けて、いざ森の中ヘ。
子パンダ達が見送ってくれるのにほっこりしながらも出発。
そして森。
歩いても歩いてもずっと森。
冒険者としては正しいのかもしれないけど、ずっと景色が変わらないのは退屈。
皆は魔物倒したり方向の確認したり、道が無いかと探したり木の実取ったりで忙しそうだけど、俺は暇。
下手に手を出さない宣言してるから、余計暇。
暇過ぎて魔法でこっそり虫魔物とか狩ってる。
皆に気付かれないように狩ってる。
もう数を数えるのも面倒なほど狩ってる。
黒い靄が濃い奴だけ狩ってるのに、続々出てくる。
流石人の住まない魔の森だけあって、魔物も見たこと無い魔物が多いし、皆がそこそこ苦戦する魔物も出てくる。
ペット達も張り切って狩ってるので、魔物の死体がマジックバッグの中で大変な量になってる。
船で二ヶ月かかる航路を、回り道して陸路で渡るってのは、いったいどれ程の時間がかかるんだろう?
魔物も見たこと無い変な魔物が多いし、人里離れるほど魔素と言われる空気中の魔力も多くなるので、魔物も強くなるし。
修行にはとても良い場所なんだけどね。
快適馬車があるから寝食には困らないし、無限収納があるから魔物を処分しながら進まなくて良い分手間もかからないし。
いざとなったら幌馬車で飛んで逃げちゃえば良いしね。
なので皆さん連日の戦闘にも関わらず、元気溌剌でそれはもう楽しそうに魔物を倒してる。
我がペット達もバッタバッタと倒してる。
俺も厄介そうな虫魔物を大量に狩ってる。
そんな日々が半年も続くと、前方には崖。
辛うじて通れそうな道はあるけど、崖周辺にはプテラノドンに似た変形ワイバーンが飛び回り、崖の道を渡ろうとする魔物をつついて落とし、それを空中でキャッチしたり振り回したりするタチの悪い遊びをしてる。
たぶんここが大陸の境目。
幾つもの小さな島が蔦や倒木や崖同士で繋がってる場所。
下は海流が複雑に渦を巻いてる。落ちたら一巻の終わりな感じ。
水面までは数十メートルも高さがあるので、落ちただけでも終わりだろうけど。
細く頼りない足場で戦うのは無理なので、ボードに乗って空中戦で戦う皆。
ラニアンはプラムを乗せて飛び回り、ハクはユーグラムのボードに乗って近付くワイバーンを叩き落とし、ソラは自力で飛べないので不貞腐れて俺の足元でふて寝。
ルクスちゃんは、見えない速さでビュンと飛び、ワイバーンの硬い皮をものともせずにスボッと!胴体貫いてます!怖い!
しかも正確に心臓の辺りを貫いて一撃で倒してます!怖い!
俺は皆が狩った獲物を巨大滑り台風に作ったバリアで受け止めて、自分の方に滑らせて収納する係。
これなら下から襲撃されることもなくて安心。
ルクスちゃんの活躍により、大量のワイバーンの死体を手に入れて、他のワイバーンに遠巻きに見られながら、悠々と崖の上空を渡る。
ソラがデブ猫スタイルで不貞腐れてる。
俺の頭の上に戻ってきたルクスちゃんがソラの様子を覗き込んでる。
崖を無事渡り終えて、南大陸に上陸。
南大陸の西側はもうリュグナトフ国の領土内。
魔の森なのでまだまだ王都までは遠いけど、地図上ではリュグナトフ国に入った事になってる。
リュグナトフ国は元は大陸の端にあった小国だったので、国としては珍しく国の端に王都がある。
お城の裏側、北側には巨大な壁があり、その先が魔の森。騎士や兵士の訓練も兼ねて近場の魔物は討伐されてるけど、一定距離以上は入らないのが暗黙の了解。
それでも年に一度は調査の名目でわりと深くまで探索されるそうだけど。
流石に大陸の境目までは来ないので、俺達の目の前はまだまだ森。
リュグナトフの王都の奥の魔の森にはドラゴンが住む。との噂が昔からあるらしいけど、今のところ会ってない。
火山は見あたらないので、ファイアドラゴン以外のドラゴンだろうけど、今のところそれらしい魔力は感じないね?
鬱蒼とした森を掻き分けて歩く歩く歩く。
俺もたまには歩く。大概はソラかラニアンに乗ってるけど、飽きたら飛ぶし、たまに乗ったまま昼寝もする。ソラもラニアンも慣れたもので、とても上手に乗せてくれて、俺が多少動いても落とさないでくれる。
でも夢見が悪かったりたまに寝相が悪いと落ちる。
うん、今現在も落ちている。
落ちた場所が悪かったのか、凄く深い穴に落ちてる模様。
遠くの上方でめっちゃソラが鳴いてる。本気のソラの鳴き声って獣だよね。
慌てた様子でラニアンが追い掛けて来てるけど、俺が飛べること忘れてない?
無事よ~と知らせる為に魔法で花火を一個打ち上げて、まだ落ち続けてる下を見る。
うん、そろそろ底につきそうなので、自力で飛んで備える。
床はツルツルに磨かれた大理石のよう。
そして巨大な洞窟が奥に続いてる。
ぼんやりと青白く光る洞窟内は不思議と明るくて、奥へ奥へと続いてる。
その奥の方からデカイ魔力を感じるね?ドラゴンが居るのかな?
奥を覗いてたらラニアンが到着。
暫く待つと皆も到着して、助の肩に乗ってたソラがビョ~ンと飛んできて押し倒され、顔をベロンベロンなめられた。
心配してくれるのは嬉しいけど、ザリザリの舌は痛いので程々で止めてもらって、奥を指差す。
皆にも感じ取れる程巨大な魔力に警戒しながらも奥へと慎重に進む。
黒い靄も見えないし、空気も澱んでないので、害ある存在には感じられないんだけどね?
ツルツルの床が続き、とても歩きやすいんだけど、一時間近く歩いても魔力の本体の姿が全然見えない。
奥へ行くほど不思議な青白い光が洞窟全体を明るく保ってるので、見晴らしは悪くないんだけどね?
「魔力の元はどこよ?」
「洞窟全体から感じられるのですが、特定は出来ませんね?」
「濃密な魔力だが、悪い感じはないな?」
「これだけ濃密な魔力なのに魔物の一匹も居ないのが不思議だよね~?」
行き止まりには大きな空間があるだけで、生き物の気配もしない。
本当に何なんだろうね?
全員が不思議空間に首を傾げていると、ゴワーーーンゴワーーーンとどこからともなく音が聞こえて、洞窟内を反響し、重く響く音となる。
そのせいなのかパラパラと天井から砂や小石が落ちてくる。
思わず天井を見れば、そこには一際黒光りする大きな石が壁にめり込んでて、その大岩がグルンと動いた。
?大岩が動いた?!
ビックリして声もなく凝視してると、またパラパラと小石が落ちてきて、それと同時に大岩の見える範囲が狭まった。
ん?
俺が天井を凝視してるのに気付いた皆が、俺と同じ方向を見てやっぱり驚いてる。
「は?今、あの黒い岩、動かなかったか?」
「う、ん。動いたように見えたね?」
「私にもそう見えました」
そしてまたゴワーーーンゴワーーーンと音が鳴る。
「この響いてる音って、声じゃないか?意味は聞き取れないが」
「え?じゃああの大岩ってもしかして、目?」
「見える範囲が狭まるのはまばたきですか?!」
「ってことはよ、それだけデカイ生き物ってことか?!」
助がダダダダと後ろに駆けていき、壁に張り付くようにして全体を見ようとしてる。
「うっっわマジか?!」
そのまま絶句してるので、俺達も壁際まで下がって見上げてみる。
デュラハンではなくリビングアーマーでは?とご指摘頂きました。
リビングアーマー、知りませんでした。
たぶんケータも知らないと思います。
読んだ本にデュラハンが出てきたので、それなんだろうと思ってます。
その辺はヌルッと流して頂けるとありがたいです。




