表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
275/313

森、飽きました!

フライング、ではなく3巻発売記念に更新しました!

よろしくお願いいたします!

 おはようございます。

 天気は小雨。

 森の中なので直接雨にはあたらないけど、ちょっと肌寒い。

 リトルマンの里を出てから三ヶ月。

 その間に獣人の集落を幾つか見付けたり、知らずにストーンマンの集落でキャンプしようとして怒られたり、カッパ族に聖魔法わけてあげたり、小さなダンジョンを見付けて潰してみたり、バイコーンの群れにウザ絡みされたりとのんびりと過ごした。

 森を全部廻るのは無理なので、途中の険しい道とかはボードで飛んで回避したけど。


 ダンジョンは出来立てだと核を潰せば簡単に破壊出来る。

 破壊した後に逃げ遅れない事だけを注意すれば、冒険者としてはとても褒められます。

 それなりの報酬もくれるのだとか。

 ダンジョンは有りすぎても有害だし、管理するのに向かない土地に突然出来たりもするので、見付け次第潰すのが鉄則。

 自分達で潰せない時はギルドに報告しないといけない。

 後から無視した事を知られると、厳しい罰則があるそうです。

 これも何気にハイテクな冒険者タグに記録されるそうな。

 冒険者タグって誰が作って、どれだけの機能が有るんだろうね?謎。

 ギルドに尋ねても教えてくれないらしいよ。


 時々ショートカットしながら森を進み、見たことの無い魔物を倒して進む。

 とても冒険者らしい生活。

 でもこんな生活も半年以上もたてば飽きてきて、人恋しくもなってくるので、そろそろディーグリー爺ちゃんちに帰ります。


 ボードに乗って空を飛ぶと、下には幾つかの集落が見えたり森を歩く魔物の姿が見えたり。

 随分と遠くまで来てたもんだと感心する。


 ほぼ一年振りに帰ってきた街は、未だ復興の真っ只中だけど、以前より落ち着いて活気が溢れていた。

 ディーグリーが庭先に居た爺ちゃんに、


「爺ちゃんただいま~!」


 と挨拶すれば、一年前より皺の増えた顔で、


「お~お帰り!」


 顔は婆ちゃんに似てるのに、ディーグリーと同じ笑い方で迎えてくれた。

 家の中に入ると、ディーグリー婆ちゃんも笑顔で迎えてくれて、ゆっくりとお茶を飲みながら旅の話や街の話をした。

 そしてナタクとヤサク兄弟は、無事家族と再会出来た事を知りとても嬉しくなった。

 道場には続けて通っているらしく、ちょくちょく顔を見せてくれるそうな。


 善良な人が集められた西側は、復興も進み、人々の暮らしも安定しつつあり、以前のように音楽を楽しむ余裕も生まれてきたそうで、婆ちゃんがとても嬉しそうに広場での演奏会の様子などを語っている。

 砂漠化した場所も徐々に復活してきて、居住出来るエリアも広がってきたんだとか。

 建物などの壊れるような災害があった訳でもないので、住み分けが出来ると安定は早いようです。

 新しい街を造ると言うのは、商人にとっても沸き立つ事らしく、爺ちゃんも精力的に動いているとか。

 ただはしゃぎすぎてこの一年で二回もぎっくり腰になったのだと婆ちゃんが笑ってる。

 ゆっくりと話して一緒に夕飯を作って食べて、風呂に入ってのびのびとベッドで寝て、翌日は冒険者ギルドへ。


 旅の途中溜まった討伐魔物を売りにきた。

 Sランクに昇格したので、受付でタグを見せたら個室に案内されて、でもすぐに解体部屋へ移動。

 次々と出される素材にギルド職員がドン引きしてる。

 マジックバッグがあるのを良いことに、丸ごとの魔物を収納し、途中のギルドには寄らずに溜め込んでました!

 なるべく靄の多い強そうな魔物を選んで倒してたんだけど、それでも一年分となれば相当な量。

 一日では査定し切れないので、適量出したら次の日に回されました。

 それから三週間は毎日ギルド通いさせられました。

 近隣のギルドから解体作業の出来る職員を呼び寄せてたのに三週間。

 次はもう少し頻繁にギルドに通うように注意されました。

 解体され素材となった物を買い取りして貰うか引き取るかの交渉はディーグリーに丸投げ。

 ラバー商会の職員まで連れてきて激しい交渉をしているのだとか、凄く楽しそうだから良いけど。

 ユーグラムはカッパ族から受け取った子玉を教会に持ってった。

 街の場所とか出来れば聖魔法の使える神官を派遣して欲しいとかの希望も伝えたそうです。

 教会では受け取った子玉の多さに大変な騒ぎになってるとか。

 助とアールスハインは道場に。

 Sランクに昇格した事で、子供達からキラッキラした目で見られて照れ臭そうにしてた。

 俺は婆ちゃんと料理したりペット達とまったりしたり、青龍とニョロの様子を見に行ったり。

 青龍はほぼ砂に埋まって細長い山のようになってたし、ニョロは自由に飛べるようになってとても楽しそうだったし。

 宝珠にまた魔力を補充してきたので、ニョロでも魔法が自由に使えるだろう。


 ナタクとヤサクは何度か顔をあわせて昼ご飯を食べたりおやつを一緒に食べたりしてたんだけど、子供の成長って早いよね!元々栄養状態の最悪な時に会ってから、食べられるようになって、適度な?運動もして、さらに食べる量が増えて、としている内に、一年前とは見違えるように健康優良児に変身した!背も伸びてるし!顔つきも凛々しくなってるし。

 家族とも再会出来たことで、気持ち的にも安定したようで、逞しくなってるし!

 最初に見たあの弱々しい姿は微塵も感じられなくなってる。

 そんなナタクとヤサクの家族とのお食事会が開かれた。

 近所に住み始めた当初から爺ちゃん婆ちゃんとは仲良く過ごしてて、ナタクとヤサクを保護してた事を凄く感謝されたんだとか。

 で、そもそもナタクとヤサクを見付けて拾った俺達にもお礼を言いたいと、以前から言ってたらしく、食事の場が設けられた。

 ナタクとヤサクの家族は、両親と兄二人姉二人それと祖父母の十人家族で、皆さんバラバラに奴隷として売られていたようで、どこかしら怪我したり、欠損してしまっていたりしてとても痛々しい。

 両親はハーフエルフで見目麗しく、その子供達もイケメンと美人ばかり、それを部下に狙われたらしい。

今はなくなってしまったけど、元は小国の大臣をしていたそうで、貴族出身。ナタクとヤサクにはその頃の記憶は朧気にしかないらしく、突然の生活の変化にも辛うじて順応出来たのかも知れないとの話。

残念ながらお爺さんとお婆さんは亡くなってしまったそうだ。

 地位も財産も奪われて、売り飛ばされて、青龍のお陰で助かったのだとか。

 下のお姉さんだけは東側に取り残されていて、後から保護された時には精神を病んでしまって、今は療養中だそうです。

 東西に分けられた当初は、俺も盛大に治療しまくってたんだけど、それよりも後から西側に来た人たちは、俺の治療が受けられなくて、半端に治療されてしまっている人もいるとか。

 まずは命を繋ぎ止める事を優先にされたので、それも仕方ないんだけどね。

 なら治療する?って聞いたら、自分達だけ治療されるのは気が引けるって言うから、大々的にやりましょうか?って提案したら、爺ちゃんにタダじゃいかん!て怒られた。

 これだけ復興が進んでるのに、タダで何かをして貰えると分かると、他にもそれを求める人が必ず出てくるから、高額でなくてもいいから料金は取りなさいって。

 それは善良か善良じゃないかの違いではなく、人は施しに慣れるとそれを当然の事として受け止め始めてしまうので、甘やかすだけが優しさじゃないぞ!ってことね。

 爺ちゃん仕切りで大々的な治療所をやることに。

 ただし料金は取るし、一週間限定、時間も決めて、時間外は受け付けないと徹底するってことで決まった。

 ユーグラムと教会の治癒魔法が使える人も参加してくれるそうです。

 場所は砂漠地帯との境目の広場でテントを張っただけの場所。

 ラバー商会を引退したお爺ちゃんお婆ちゃん達も手伝ってくれることに。列整理とかね。

 お礼は体調不良の治療。


 まあナタクとヤサクの家族の治療を先にしたけど!

 治療代は最低限とは言えちゃんと貰ったよ。

兄ちゃん達の足や腕の欠損を治し、お母さんの腕や背中の怪我を治し、姉ちゃんは肉体的だけでなく、精神的にも病んでしまっていたので、嫌なことがあったって曖昧な記憶だけ残して、具体的な内容は忘れるように魔法を掛けました。

 その辺も俺のチートにかかれば意外といけた。

 まだ少し痛々しいけど、人形のようにされるがままだったお姉さんが、微かにでも笑みを浮かべた姿を見て、家族が大号泣してた。

 後は家族と一緒にゆっくりと回復していって欲しいね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[一言] > ディーグリーが庭先に居た爺ちゃんに、  (中略) > ディーグリーとそっくりな笑顔で迎えてくれた。 ディーグリーとそっくりなのって婆ちゃんでは? (257話「砂漠を抜けたよ」) 「お…
[一言] あとがきのリンク、アドレスがそのまま表に出てしまってますよ(^_^;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ