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海底都市

誤字報告、感想をありがとうございます!


 案内されて到着した海底都市は、海に沈んだ街と言った趣で、見える範囲に居るのは兵士らしき武装した海人だけ。

ちょっとだけ竜宮城をイメージしたのは内緒。

 その屈強な見た目の海人が守る入り口を潜ると、その先には遺跡風な石造りの街が広がっていた。

 多くは砂に埋まっているし、そこら中に珊瑚礁があったり海藻が揺れてるけど、ちゃんと生活感のある街として機能しているらしく、遠くの方では女の人に見える海人や子供の海人達も多く見られた。


 そんな街中をゆっくりと泳ぎながら案内されたのは大きな建物。

 特に装飾があるとか煌びやかに飾られてるとかは一切なく、ただ他の建物よりは大きいと言うだけに見える建物。

 建物の奥に奥に案内されて、一際大きな扉の前に着くと、両側を守る兵士が扉を開け、案内の海人が深く一礼してから声を張り上げて、


「陸人である人間をお連れしました!」


 と告げて俺達に中に入るよう促した。

 え?何が始まるの?

 疑問で一杯の俺達は取り敢えず部屋に入ると、中は会議でもしていたように大勢が大きな机に着いて話し合っている様子だった。

 その人達にガン見されてます。


「ようこそ参られた人間族よ!我々は今大変混乱している。出来れば知恵をお貸し頂きたい」


 コの字型に並ぶ机の、空いているスペースの壇上、そこに一際大きな海人が座っていて、その人がこちらに話し掛けてきた。

 顔がオコゼなのは突っ込んだらいけないんだろうね。


「我々は何の説明もなくここに連れてこられました。まずは説明を頂きたく存じます」


 アールスハインが言えば、偉い人だろうオコゼな海人が、俺達を案内してきた海人をギロッと睨み、


「何の説明もなくお連れしたのか?この者達は人間族の代表ではないのか?!」


 ビリビリ来るような怒りを滲ませて問い質せば、俺達を案内してきた海人はしどろもどろに、


「人間族の代表が何処さおられるんか知りませなんだ。なんで海を出てすぐの所さ居た者を連れてきました」


 とか言ってる。

 その言葉に、会議に参加していた全員かってくらい大勢のため息が重なった。


「すまぬ人間族の者。迂闊な使者を遣わしたばかりに混乱させてしまったようだ。我々も混乱の最中にあったとはいえ、人選を間違えた。だが出来れば、そなた達の分かる範囲で構わないので、我々の質問に答えては貰えないだろうか?」


「それは構いませんが、どのような事でしょう?」


「先日我々海人の街から多くの者が突然放り出されるように姿を消した。何事が起きたのか想像も出来ない事態で我々も混乱している。その理由を知っているのなら教えてほしい」


 ああ~。青龍の魔法って、海の中にも適用されちゃったのね!

 アールスハイン達もああ~、みたいな顔で頷き合って、


「それは聖獣である青龍様の魔法によるものです」


「聖獣とな?!」


「はい。今は亡き帝国に捕らえられていた青龍様のお子が解放されたことで、青龍様の怒りによって大陸が二分されました」


「ほ?!」


「そして善良な者は西に、そうでない者は東側に強制的に移動させられました」


「なぬ?!」


「善良でない者を排除することに力を入れられたのか、西側に善良でない者はほぼ居なくなりましたが、東側に取り残された善良な者は自力で移動しなくてはならず、青龍様の加護で暫くの間は守られているようですが、それが何時まで続くかは不明です。西と東の間には、青龍様のバリアが張られ、善良な者は通り抜け出来ますが、そうでない者は西側に入る事は出来ないようです」


「ほふぅ。そのような事になっておったとは!成る程、排除された者は善良ではなかったのだな?」


「青龍様の基準ではそのようです」


「今一度よく確認をしなくてはならんな。理由は分かった!皆の者!居なくなった者達の身辺調査を更に詳細に行うように!善良でないと聖獣様に判断されたのなら、その者達の事は諦めよう!そして新たに体制を立て直す!」


 オコゼな偉いさんは顔は怖いけど善良組なので、海人の街も混乱はしてもその内落ち着くだろう。

 この後も会議は続くらしく、俺達は丁寧に追い出された。

 街の観光は好きにして良いそうです。

 俺達を案内してくれた海人は、俺達が思ったよりもちゃんと説明出来た事に、凄くほっとしてた。

 本当は人間族の街に行って、代表者を説得して連れてこなくてはいけなかったのに、一人で行くのが怖かったらしいよ。

 ヘタレだね!

 そして更に詳しく聞くと、王族全員が一度に排除されたんだとか。

 そりゃ国も混乱するよね。

 オコゼさんは人間の国で言う宰相の地位に居た人らしい。

 残された国の中で一番偉い人だそう。

 てことは、国としてはとても良い結果なのでは?排除された王族は戻って来られない訳だしね?

 海の中がどれだけの範囲、排除対象になっているかは知らないけど、宝珠に魔力目一杯籠めて来たので、暫くは無理だと思うよ!

 その間により良い国作りでもしたら良いよ!


 街は人間族の街とそれ程変わらない。

 住んでる海人は見た目がかなり変わってるけど、生活スタイルは普通。

 食べる物は魚の魔物中心に、海草とか貝類とかも食べるそうな。

 ただし海の中なので調理は皮を剥いで切るだけとか、食べやすく刻むとかだけ。

 浄化もせずに生で食ってる。

 お腹壊さない?って聞いたら、海人は大丈夫なんだって!何それ羨ましい!俺だって刺身とか食いたい!って言ったら、海人の街でしか栽培してない海草をくれた。

 これを一緒に食べれば、生魔物魚も毒にはならないって!ヤッホ~イと受け取りすぐに地上に向かおうとしたら、他の皆に止められました!

 もう少し観光と言うか、街を見て珍しい物を買ったり売ったりしたいそうです。


 ディーグリーが街のお店を回っている間に、ユーグラムに付いて教会に行ってみる。

 教会には、例のごとくギャル男神のチャラい像が鎮座ましましていて、微妙な気分になるけど、その隣に威風堂々とした青龍の像もあったりして。

 海人にとっては、魔物から聖獣になった伝説の生き物として崇められる対象なんだとか説明された。

 だから青龍の選別ってことでより速やかに納得された模様。

 うん。ギャル男神像よりも青龍像の方が威厳が有るよね!

 ギャル男神像の方が、無駄に輝いてるんだけどね?

 やはり微妙な気分になりながら一応祈って帰りました。

 ディーグリーは大量の海草を買って帰ってきました。

 これはすんごいお高い美容液の原料になるんだけど、入手困難な海草なんだとか。

 海人の街では普通に野菜のように日常的に食べられてる物で、凄く安価で大量購入出来たそうです。

 俺にはウネウネしたキモイ触手にしか見えないんだけど!

 鮮度が大切らしく、俺のマジックバッグに保管しといて!って頼まれた。あまり嬉しくない。


 他には特に見るものもないので地上に帰ります!

 刺身が俺を待ってるぜ~!

 海の中では醤油が使えないのさ。


 海から出ると、エラが勝手に消えました!そして鼻の中が塩辛い!くしゃみも止まらないし、大変な思いをしました!鼻うがいしてやっと治まったけど、もう体験したくないね!

 ちなみに海人の街で魔法を使ってはいけないのは、海の中なので水魔法しか使えず、使ったら使ったで他に影響が大きくなりすぎて、街が混乱するからだそうです。

 まあ分からなくもない。


 鼻のイガイガするのもやっと治まったのは夜。

 夕飯は海鮮丼パーリーしたよ!

 とても不気味そうに生魔物魚の切身を見ていたアールスハイン達も、俺と助が嬉々として盛り付けて掻き込む姿を見て、ちょっとだけ食べて、不思議そうに咀嚼して、そして盛り付けて掻き込みだした。

 海人に貰った海草は、薄緑色だったけど、千切りにした大根のツマその物で、海鮮丼にも大変合いました!

 山葵醤油をかけてガツガツ食ったよ!我がペット達もガツガツ食ったよ!ソラとラニアンが特に凄い食欲だった!最大限大きい姿になって、生魔物魚を貪る姿は野生そのものでちょっと怖かったのは内緒。

 ちゃんと浄化してツマも添えたら一緒に食べてたから問題なし。

 久々の刺身を堪能して本日は終了。


むぅ、3巻のお知らせを貼りたいのに、何度やっても広告ページを変えられない不思議。

間違ってはいないはずなんだけどな~?


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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[一言] 予約済みですよー。早く来ないかな~。 来る頃には暖かくなってればいいのに  ですね。
[一言] 王族ほぼ全員東に飛ばされるってどんなディストピアだよ海人王国
[一言] 楽しい話ありがとうございます。 おや?と思うことが2点ありました。 1つ目は「そこら中に珊瑚礁や海草が揺れてる」です。軟質サンゴなら揺れるでしょうが、珊瑚礁が揺れるのは・・・。 2つ目は「…
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