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エルフの山

年始早々の誤字報告、感想、ご挨拶をありがとうございます!

頑張ります!

 おはようございます。

 天気は晴れ。

 ドワーフの街の料理は塩味なのに味は濃かった。

 で、エルフの街の料理は、素材の味しかしない程薄味。

 調味料を足せば美味しく食べられるんだけどね。

 もうちょっと、丁度良い塩梅ってのはないのだろうか?

 ドワーフもエルフも人間とそう味覚は変わらないはずなんだけどね?

 あぁ、でも人間の料理も味が濃いんだった!

 そんなことを考えながら朝御飯をゆっくりと食べて、お茶を飲んでから街の散策へ。


 一晩経ったので、エルフの街も落ち着いた雰囲気、ではないね!

 無駄に宿の周りに人通りが多くて、チラチラチラチラチラチラと見られてる。

 それならいっそガン見してくれた方が気にならないかも?

 昨日の俺達の言葉を聞いて、極力見ないようにしているのだろうけど、集団になれば意味ないよね!

 もうこれは気にしないで進むしかないね!


 まず始めに行ったのは世界樹。

 南大陸にあった世界樹も大きかったけど、こっちの世界樹の方がさらに大きく感じる。

 根っこも広範囲にボッコボコ出てるし。

 幹に触れてご挨拶。

 つい最近も話したから特に変わったことはないけど、支店みたいに点在する擬態した樹よりも意志疎通はクリアな感じ。

 そして未だ笑ってる世界樹爺ちゃん。

 南大陸で病気?を治してからずっとご機嫌。

 まあ、何よりだけどね。


 挨拶がすんだら街の見学。

 エルフも暇ではないのか仕事の合間にチラ見されるくらいで、後を付けて来たりはしてないので、まあ良いだろう。

 世界樹と対面するように急斜面に広がる街は、吊り橋のような通路が縦横無尽に延びていて不思議な綺麗さがある。

 吊り橋が白く太い糸のようなもので編まれてるせいかもしれない。

 南大陸のエルフの森よりも歴史は古く、街の規模も大きい。


 北大陸のエルフの森では子供達を隔離して育てている訳ではないらしく、街を駆け回る子供の姿も見える。

 その子供達が興味津々でガン見してくる。

 大人達があまり見ちゃいけません!的に注意してるけど、そんなの聞いちゃいなくて、ジワジワ距離を詰めてくる。

 そして二、三歳くらいのチビッ子が、真っ直ぐトコトコ近寄ってきて歩いてた俺に抱き付いたのを機に、ワラワラと寄ってきて、撫でられたり揉まれたりと大変なことに!

 ルクスだけはツンな一面を見せて木の枝に逃避してたけど、俺とラニアンはもみくちゃになった。

 あとついでのように他のペット達ももみくちゃにされた。

 やっと子供達の気がすんでそれぞれに遊びに行って離れたあとは、ヨレヨレの俺とモシャモシャのペット達が残された。

 子供達って遠慮とか力加減とか下手だからね。

 アールスハインが抱っこしてヨレを直してくれたけど、他のペット達も小さくなって皆に撫でて毛並みを整えられてるけど、なんかぐったりしちゃうよね。

 シレッと俺の頭の上に戻ったルクスだけが、可愛い声でピヨ~と笑うように鳴いてた。


 下から登るように街を歩いていったら、街の半分くらいの場所から様子が変わってきた。

 岩場が多くなってるのもあるだろうけど、エルフはエルフでも、青白い肌のエルフではなく、褐色肌のエルフが多くなってきた。

 南大陸ではあまり見かけなかった褐色肌のエルフは、ダークエルフと言って、青白い肌のエルフよりも戦闘能力に優れているのだとか。

 うん、こっちのダークエルフの街でも子供達にもみくちゃにされました!

 そして説明をされました。

 街を案内してくれるらしいので、案内されるがまま進んでると、吊り橋に使われてるような太く白い糸で編まれた大きな建物?に到着。

 編み目も凝ったレース編みのように模様になっていて、とても綺麗。

 ここは教会だそうです。

 人間の街のように神官が居る訳ではなく、祈りたい人が勝手に来て祈って帰るだけの場所。

 ユーグラムが興味ありげに覗いているので入ってみると、天井も編まれた糸で出来ているらしく、隙間から空が見える。

 建物と言うより囲っただけの場所のよう。

 それでも正面には片手を腰にあて、目を挟むように横にピースする神様の像がある。

 無駄に神秘的に輝いてるのは神銀製だから?

 幻想的な場所なのに、神像のせいで台無し!

 ダークエルフは信心深い人も多く、長年この神銀の像を守っているのだとか。

 他の種族に見付かると盗まれる恐れがあるので、普段は隠蔽の魔法で隠しているんだとか。

 神様の代替わりが起きた時は、物凄い騒ぎになったとか。

 アールスハイン達は人間だけど、俺やラニアンが居るから、特別に隠蔽を解いているんだとか。

 を、とても自慢気に話す子供達は楽しそうで誇らしそうで、とても微笑ましい。

 未だ、崇拝されるような対象に見られる意味が分かんないけどね!


 教会を出ると、多くのママエルフと赤ちゃんが居ました。

 跪いたママ達が赤ちゃんを差し出して、祝福を!とか言われました。

 ダークエルフも普通のエルフも一緒で人数多いよ!

 ツンツンルクスはまた高い枝に避難してしまったので、六十人近く居た赤ちゃん達に、ラニアンと手分けしてチュッチュしてやりました!

 特に魔法も使ってないのに、チュッてする度ピカッと光るのは何なんだろうね?

 赤ちゃん達は皆元気で可愛かったけど、唇が腫れるかと思ったよ!多いよ!

 ラニアンは楽しそうに赤ちゃんの頭をベロンと舐めてたよ!


 南大陸よりも街も大きく人口も多いエルフの街は、とても綺麗で幻想的だけど、一通り見れば充分な感じ。

 無駄に崇拝される感じが、居心地が悪いので、一周したら街を出ようか、って話してたら、エルフ代表者の三人が慌てて来て、世界樹様が!と、何やら言っているが、慌てすぎて三人一編に喋るので、何言ってるのかわかんない。

 取り敢えず世界樹に行けば良いんだな?と急いで向かうと、ワサワサワサワサ枝がしなってて、幹に触れると、


『ホォーホォーホォー………』


 相変わらず笑い続けてんね?


「しぇかいじゅーのじーちゃ~ん、聞こえりゅー?」


「ホォーホォーホォー、ホォホォ、小さき聖獣、どうした?先程話したばかりだが、青龍の雨は止んだようだの?」


 いやいやあれから三ヶ月はたってるからね?


「枝がワシャワシャしてるのなんで~?」


『枝?ああ、もうすぐ実がなるのでな、痒くて少し揺れたか?』


「みーなんの?」


『なるぞ!いつになく快調故にいつも以上になるぞ!ホォーホォーホォー………………』


 また笑い出しちゃった。


「せかいじゅーの、みーなるって」


 エルフ代表者に教えてあげたら、


「時期が違いますが?!」


「かいちょーだから、いっぱいにゃるって」


「かいちょー、快調なのですか?!それは大変ありがたい事です!」


 そこでユーグラムが南大陸の世界樹の不調だったのを治した話をしたら、拝まれました。

 うん。世界樹には異常どころか快調すぎて時期外れに実がなるそうなので、問題なし。

 世界樹の実は一日で実って収穫出来るほど育つらしいよ。

 その後三日間だけ実がなり続け、その間に出来るだけ多くの実を収穫しないとすぐに腐って駄目になるので大変なんだって。

 急いで皆に知らせてきます!って代表者の三人は走り去っていった。

 暇な俺達も見学がてら実を収穫していこうかね?


 おはようございます。

 天気はたぶん晴れ。

 夜も明けきらない内からザワザワ落ち着かない雰囲気に目覚めて、早かったけど朝御飯を食べて宿から出たら、街に人っ子一人居ませんでした。

 一瞬ホラーかと思ったら、全員世界樹付近に居ました。

 皆、手に袋やザルや籠を持ってヤル気満々。

 朝日が世界樹の天辺にあたると、その場所がほのかに光って、みるみる実がなっていく。

 物凄く高い場所なので、よくは見えないけど、期待のこもったエルフの囁きが聞こえるのでそうなのだろう。

 木に登ってるエルフの若者の興奮した声も聞こえるし。

 ドンドンと陽の当たる部分が増えていくと、エルフ達の抑えきれない歓声があがる。


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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
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