アシュリ鉱山のダンジョン
【6/10書籍発売】
五階層に来られる実力ある冒険者は、身に付ける防具や武器も一段良質な物に変わるのか、見た目からも強そうに見える。
そんな中を比較的軽装な俺達が無傷で進むもんで、注目を集めてる。
さっきのページュリーとのやり取りでAランク冒険者って言ってあるので変な絡まれ方はしないけど。
ページュリーが居心地悪そう。
注目されるのには慣れてない様子。
入って直ぐのドアはどの階もあまり人気が無いようで、何故か毎回すんなり入れる。
四階層までは通路だった部屋が広がっていて、より大物の出そうな予感。
出てきたのはワイバーンでした。
リザード系じゃなかった?
「ウワッ!ハズレ引いたな!」
「ハズレって?」
「俺も詳しくはねーけど、噂では五階層越えるとたまにリザード系じゃない魔物が混じるってよ!どうする?一旦部屋を出て別の部屋に行くか?」
「いや、あれを倒せば良いじゃん!ユーグ落とせる?」
「ええ」
ユーグラムがディーグリーに軽く答えると同時に魔法を放つ。
使ったのは風の魔法でワイバーンの翼に命中。
そのまま落ちるワイバーン。
ディーグリーとアールスハインが駆け寄り首と心臓の辺りを切って終了。
カクーンと口を開いたままのページュリー。
でもボヤボヤしてられない。
ワイバーンはあと二匹居るので。
ユーグラムが魔法で落とし、ディーグリーとアールスハインと助が切って終了。
以前ダンジョンで遭遇したワイバーンとはまた別の形をした今回のワイバーン。
逆三角の顔に蝙蝠の翼を持つゲームでお馴染みの姿のそれ。
今回のワイバーンの肉ってどんな味がするんだろうね?
部屋を出た所で正気を取り戻すページュリー。
「俺も、訓練したらあんたらみたいに強くなれるか?」
「なれると思うよ~?まあ本人の努力次第だけど!」
「やるさ!やってやるさ!俺は誰にも文句言わせねぇ強い男になる!」
握り拳を作っての宣言。
少年漫画ですか?
まあ頑張れ~と皆でゆるく応援したら、ウオオオオオ!とか言いながら魔力を体内で動かそうとし始めた。
全然動いてないけど。
ページュリーは青判定を受けた魔力の持ち主で、低位貴族としてはかなり多い方。
皆がダンジョンで魔物を嬉々として狩り捲っている間、暇な俺がページュリーの訓練を見てる。
学園にいた頃に説明した様に、血液の大まかな循環を説明し、その様に体内で魔力を循環させるイメージも教えた。
魔道具を使って魔力の動く様子も理解させた。
ページュリーは脳筋寄りだが、阿呆ではないのでちゃんと理解して、行動に移せる。
ゆっくりとだが胴体部分で巡り始めた魔力。
中々飲み込みも早い。
俺の移動型魔道具にも乗せて操作させてみた。
ギュンッと発車して壁にぶつかる寸前で自動で止まってた。
それを何度か繰り返し、急発進と自動停止から、そろそろ発進自力停止までいけたところで、また魔力循環の訓練。
魔力が底を付き掛けたところで休憩。
ページュリーはなかなか根性のある奴なので、こちらから休憩を言い出さないと、ゲロゲロしながら続けようとするので、程々を見極めるのが大変。
移動型魔道具にぐったりしたページュリーを乗せて移動。
意識は有るので、俺の魔道具操作を食い入る様に見てる。
とても真面目。
その間、皆はサクサクとリザードを狩っている。
最初の部屋のワイバーン以外は、全部リザード系で、体は大きくなったけど、前に出たものとそれ程変わらない。
ちょっと早さとか硬さとかが上がったくらいの変化。
たまに数が多い事もある。
けど問題なく進めてる。
肉が豊富に貯まってきてて嬉しいばかり。
五階層が終わった所で昼休憩するために、休憩所へ。
そこには多くのベテラン冒険者が、チーム毎に食事をしたり、休憩してたり。
その空いてる隅のスペースを陣取り作り置きの料理を出して食べる。
本日の昼食はボリューム満点のハンバーガーとポテトと、コーラモドキ。
ビールを飲んだせいで、炭酸飲料への渇望が抑えられなくなったので作りました!
パクチーとレモン、蜂蜜だけで作ったので、前世のコーラとは少々風味が違うが、懐かしく感じるのでまあ良いや!
いつか他の香辛料なんかも入れて、本格的にクラフトコーラとかも作ってみたいところ。
パクチー苦手な人の為に、蜂蜜レモンの炭酸水も作ったけど、皆最初顔をしかめて飲んでたのに、クセになった様子で、食べ終わる頃には普通に飲んでた。
周りの冒険者達がボリューム満点のハンバーガーをガン見してくるけど、気にせず食べる。
ページュリーだけがとても居心地悪そう。
まあでも空腹には敵わないのでバクバク食べてたけど。
大声で旨い!とか言えないので、一口食べる毎に身悶えるのは面白かった。
午後一で六階層ヘ上がり、やはり手前の部屋へ。
サラマンダーとか言う火を纏った蜥蜴が居ました。
ユーグラムが直ぐ様消火しちゃったので、サクサク切れた。
ページュリーが納得いかない顔をしてたけど、文句も言わずに訓練に戻った。
六階層も難なく越えて七階層。
七階層ではハズレは出ずに、恐竜サイズになってきたリザードを狩って終了。
噂では八階層からはまた一段魔物が強くなるそうなので、今日は七階層の休憩所で早目に休む事に。
ここまで来ると冒険者は極端に減るので、遠慮無くテントを出して寛ぐ気満々。
夕飯は鯛に似た味の白身魚でアクアパッツァとサンドイッチ。
デザートは久々のプリン。
本日はこれで終了。
おはようございます。
本日の天気は雪。
ダンジョン内なのに外の天気が分かるのが逆に違和感を覚える。
階段状の片方は開けていて外の景色が見える。
見えるのに出ていけない不思議。
八階層に登り最初の部屋へ。
最初の部屋からワイバーン登場。
七階層の部屋より二匹多い五匹のワイバーン。
なのだが普通に倒せた。
俺とページュリーはまた訓練。
次の部屋には、サラマンダー。
次の部屋には、ワイバーンと風属性のリザード。
次の部屋には、火属性のリザードと土属性のリザード。
次の部屋には、氷属性のリザードとサラマンダー。
それで五部屋回り終わり。
バリアが有るので被弾はしないがなかなか手こずる様になってきた。
ページュリーは皆の張るバリアの強度に驚いている。
なのでバリアの訓練もしてみる。
ここ二日程でコントロール力も上がっているので、丸いバリアが張れる様になったページュリー。
だがまだまだ強度は足りず、プラムの軽い一撃で壊れてしまう。
何度も何度も張り直し、プラムに壊されるのの繰り返し。
普段戦う機会のあまり無いプラムの良いストレス発散になってる感じ。
ページュリー本人はストレス溜めてそうだけど。
三部屋終わった所で、八階層の休憩所で昼食。
著しい成長を遂げた俺は、一人でもフライパンを振れるようになったので、この世界に来て初めてのオムライスを作りました!
肉体強化してのフライパン返しは、なかなか勝手が違い、一個目は失敗したけど、後は程々の出来。
コンソメスープとサラダを付けて召し上がれ!
「あーー、ケータの味だわ!懐かし~!」
「ちっとふらいぱん、むずかちかった」
「肉体強化して振ってるからだろ?でも味は同じ気がする」
「たまご、ふわふわたりなかった」
「十分旨いよ?」
「たまご、ふわふわらと、もっとおいしい」
「次の楽しみが出来たな?」
皆に宥められ、ユーグラムに頭撫でられた。
ページュリーは俺が作った事に驚いて、食べ出したら止まんなくなってる。
午後からは残り二部屋。
色んな属性のリザード、たまにワイバーンとサラマンダーが、複数出てくる。
ページュリーのバリアが、プラムの一撃では壊れなくなった。
でもハクの触手では一撃。
ページュリーだけでなく、プラムも不満そうな顔をしてた。
そしてページュリーの隣でプラムも同じ様に訓練し始めた。
微笑ましい訓練風景になった。
ユーグラムが他所見して一発被弾した。
だいぶ手こずるようになってきたので、肉体強化解禁。
部屋の壁を走ったり、ジャンプしてワイバーンを切り付けたり、そして始まる爆笑大会。
全員が爆笑しながら戦ってる。
ユーグラムの無表情なフフフ笑いが凄く響いてる。
ページュリーがドン引きしてる。
「な、なあ、何で皆して爆笑してんだ?」
「にくたいきょうかすると、せーしんこうようちて、ああなる」
「精神が高揚?肉体だけじゃなく?」
「たびゅ、たぶん?」
「ちょっと、ああはなりたくね~んだけど?」
「でも、ちゅよ~いよ?」
「確かに段違いに強いがよ?」
「なりぇれば、すこしおさまりゅよ」
「少し治まる程度?完全には無理なのか?」
「さ~?がんばって!」
「自分で頑張れってことね!了解!やってやんよ!」
「ヤー!ヤヤヤ、ヤヤ!」
プラムもやる気満々の様子。
両拳を突き上げ、叫んでいるが、可愛いだけである。
ほっこりしながら、爆笑をバックに訓練は続く。
八階層の鍵を手に入れて、今日も早目に切り上げる。
休憩所で夕飯を作り、順番に風呂に入って就寝。
相変わらずページュリーはリビングスペースで寝てる。




