カンガルー町、ダチョウ町、秋の収穫祭
誤字報告ありがとうございます!
見直しはしてる筈なんですよ!
と言い訳してみる。
宿の昼食は、サラダ中心ではあるものの、肉もパンもあり、そこそこ満足のいくものでした。
宿の予約も済ませ、今度はダチョウ町へ。
リス町とネコ町のように隣接しているのではなく、十分程歩いた先にある町。
町に入ると、こちらも他種族の冒険者がチラホラ見える。
ダチョウが走る姿が描かれた看板の店に入ると、大きなカウンターの向こうに、マッスルポーズを取るダチョウ獣人が何人も並んでいる。
「らっしょい!ここは貸しダチョウ屋だよ!説明を聞くかい?」
しょい?
「お願いします」
「まず、ここは足自慢のダチョウ族を、乗り物として貸し出す場所だ!時間と乗る奴の体重によって料金が変わり、今回ならトレント以外の素材を取った場合、その重さの分追加料金が掛かる。ここまでは良いか?」
「はい、大丈夫です」
「ダチョウ族は足は速いが、乗せる奴の好みは中々うるさいんで、一応お客に選んでもらうが、ならしで暫くは訓練をしてもらう。相性が悪けりゃ別のダチョウ族を選ぶか、諦めてくれ!んで、どいつにする?」
カウンターの後ろでマッスルポーズを取るダチョウ獣人の中から選ぶそうです。
一人一羽?ずつ選んで乗る訓練。
俺も乗ってみたかったので、一羽?選んで乗り込んでみた。
ダチョウでも獣人なので、不潔さは無い。
固い羽の中に、羽毛のようなモコモコの羽があり、乗り心地は結構気持ちいい。
俺だけだと軽すぎるので、デブ猫ソラとプラムも乗ってます。
ハクはラニアンの頭の上に乗ってます。
ラニアンは、人前だと空中を飛ばなくなりました!
ママに何か言われた様子。
ダダダダダダダ、と走るダチョウ獣人さん。
人を乗せる時は、名乗らないそうです。
相性は良いけど金払いの悪い客や、文句の多い客に指名されない対策だそうです。
他の皆も順調そう?
たまにユーグラムが、スローモーションで落ちていくけど!
怪我一つ無いのはバリアを張ってるからね!
訓練を監視していた受付のおじさんが全員に合格を出したので、このまま明日から乗り物契約しました。
ユーグラムは紐とか必要?
ダチョウ獣人に乗る用の腰帯を貸してもらってた。
俺?羽に埋もれてるので問題なし。
町をぶらぶらして、何か珍しい物を物色。
武器屋にダチョウ族の卵の殻が売ってた。
なんに使うのか聞いてみたら、子供用の訓練防具だそうです。
丈夫なのね卵の殻。
雑貨屋さんには虫眼鏡が売ってて、珍しい!と思ったら、ダチョウ族用の片眼鏡だった!
そうね、ダチョウ族、皆さん凄く目が大きい!
陸上生物の中で一番大きな目玉って、聞いた記憶があるし。
ダチョウ町から戻って、カンガルー町に。
こっちでは、尻尾の手入れ用のデッキブラシとか、サンドバッグとか、ボクシンググローブとかを売ってた。買わないけども。
冒険者は、基本大きな空のバッグを持ち歩く事が多い。
討伐した魔物の高く売れる部位を持ち帰る為だ。
なので町に居る今は、ただの大きな空バッグ。
そこに、カンガルー族の子供達が出たり入ったりしている!
冒険者は慣れたもので気にもしないけど、たまに重さに耐えられずバッグを落とす人がいる。
そんな人は他の冒険者から、鍛え方が足りねぇ!とか笑われている。
何だか理不尽に感じるのは俺だけ?
カンガルー族の子供達、結構大きい子も参加してるよ?!
俺達は空のバッグは持ってないので、近寄られてふんふん匂いを嗅がれるだけでした。
宿に戻る途中の広場では、大きい子供達による、戦闘訓練が行われていました。
皆、アクロバティックに動くね!
パンチも蹴りも尻尾での薙ぎ払いも強烈ですな!
卵の殻の防具は微笑ましいのに!
宿で夕飯。
野菜多めの肉と薄焼きパンのメニューは、味は濃いけどとてもバランスの良い食事。
ここの肉も食えませんけどね!
早く柔らか肉が広まってくれないものか!
水浴びして本日は終了。
最近は水浴びが嬉しくなくなってきたなぁ。
おはようございます。
ビッグニューーース!!
身長が伸びましたよ!
前回と同じで十五センチくらいが一気に伸びた!
だがここで、あまり期待してはいけない!前回同様ここで成長が止まる可能性もある!
服にはまだ余裕があるので、裾の折り返しを戻すだけで大丈夫。
うん、取り敢えず、今日の成長を喜ぼう!ヒャッホーーー!!
一番早起きして静かに跳び跳ねてたら、ペット達が起き、共に喜び静かに踊ってたら、皆も起きて、俺の成長に驚いていた。
裾を伸ばしてぴったりサイズになった服。
それでもまだ七十センチ程だけど!
朝御飯を食べて、ダチョウ町に。
貸しダチョウ屋で契約したダチョウ族に乗って、狩り場と呼ばれる場所に行く。
ひろーーーい草原にノッシノッシと歩く木。
あれがトレントだそうです。
既になん組かの冒険者チームが戦闘を始めていて、ちょっと様子を見てみる。
赤いトレントは枝や根っこで攻撃してきて、それを掻い潜り幹に次々に切り付けて、袋のような物を幹に結んでいる。
あれで樹蜜を集めている様子。
黄色のトレントは、赤いトレントよりもアグレッシブに動き、枝も根も、木に絡まった蔦も使って攻撃してきて、しかも何かを飛ばしてる?それに当たった冒険者は吹っ飛ばされたり、立てなくなったりしてる。
それでも果敢に挑んでるけど、五メートル近くあるトレントに、四.五人で挑むのは大変なよう。
灰色のトレントは、あまり動かずズズズと這ってる感じ。
でも一番固そうで、枝を切り落とすのに何度も何度も切り付けている。
しかも毒持ち。
聞いた話では、毒を浴びると痺れるそうだ。
皆も対策として布で鼻や口を覆ってるけど、暫くすると距離を取って毒消しの薬を飲んでる。
これは何チームかで交代で狩った方が良いんじゃない?
草原の所々にカンガルー族とダチョウ族の獣人が立っているんだけど、あれは緑のトレントを狩りそうな奴の見張りだそうです。
罰則があるって言ってたなそう言えば?
さて、では俺達はどれから行きますか?ユーグラムは灰色に行くそうです。
アールスハインと助は黄色。
ディーグリーは赤色。
ハクはユーグラムに付いて行き、プラムとソラはディーグリーに付いて行った。
俺はラニアンに乗って黄色に行きます!気になる事があるので!
一体一体のトレントは、それなりに距離を取って戦っている。
お互いの攻撃が当たってダメージを受けない様にだろうけど、戦う側に取っても都合が良い。
で近くに寄って見てみれば、黄色トレントは秋の味覚の宝庫でした!
振り回す蔦の先には、カボチャやさつま芋が大量に実っているし、攻撃として飛ばしているのは栗!まあイガの攻撃はかなりのダメージになるだろうけど、俺からすると収穫祭だよね!
ヒャッホーーー!!と飛び出し、黄色トレントにバリアを張ってブブブブブと振動させる。
ボタボタ落ちるイガ栗。
風の魔法でスパスパ蔦を切って、その先のカボチャやさつま芋を収穫。
この世界の野菜なので、大きさが異常だけど、そう思ってるのは俺だけなんだろう。
栗が大人の握り拳くらいあり、さつま芋が大人の太ももサイズ、カボチャは逆に小さくて、一口サイズのが物凄い数なってるけど!
収穫する物が無くなれば、サクッとカッターで切って次へ。
収穫の為にアールスハイン達とは別のトレントを相手にしてます。
他の冒険者チームに物凄い形相で見られてるけど、今は収穫に忙しい!
午前中だけで大量に収穫出来た秋の味覚は、売りに出しても余る程。
なぜ皆はこれを収穫しないのだろうか?とても不思議。
お腹が空いたので一旦休憩。
草原の端に行って、タープと台所を用意。
収穫した秋の味覚でお昼ごはんを作りますよ!
ちょっと成長したので、ナイフも使えるだろう!フライパンを振るのはまだちょっと無理かな?
素材の味を楽しみたいので、まずはただの素焼き。
薄くスライスしたカボチャとさつま芋を、油を薄くひいたフライパンで焼くだけ!パラパラと少量の塩を振ります。
あまり強火にせずに、じっくりと焼きます。
その間に、栗をむいて栗ご飯。
イガが固くてむきにくいけど、カッターでサクサク切っても、中身がでかいので問題なし!
米と水と塩少々、そして栗!それだけのシンプル炊き込みご飯です。
後は味噌汁と、肉スキーの為に肉を焼きますか!
匂いに釣られた訳ではないだろうけど、皆も集まって手伝いだしたので、出来上がる頃には全員集合。
他の冒険者チームは携帯食と呼ばれるかっったいパンをガジガジしてるんだけど、俺にはそれは食えません!
他冒険者チームと見張りのカンガルー族とダチョウ族にガン見されながら、ウマウマとご飯を食べる。
栗が甘い!カボチャもさつま芋も、市販されてる物より断然甘い!ホックホクで表面はカリッと焼けたので、食感も楽しい!もはやスイーツですな!
既に売る程有るけど、皆がやる気になったので、収穫はお任せして午後は樹蜜でも取りますかね?
食休みも済んで午後の部へ。
赤いトレントを目指してラニアンも一直線に走っていく。
ソラよりも上下運動が少ないのは、空中を走っているからかな?上手に地面スレスレを走れる様になったよ!
赤いトレントは枝や根で攻撃してくるけど、俺っていう的が小さいので中々当たらない。
当たってもバリアが有るので、無傷どころか反撃するけど!
ラニアンは素早く避けて当たらない。
根本近くにグルっと一周、袋を装着。防水効果のある袋で、今回のためにギルドで貸し出しているのの、一番大きいのを借りてきた。
そしたら後は木に傷を付けて動けなくするだけ!
ラニアンも爪研ぎするように木に傷を付けてるし、俺も肉体強化して、魔法剣の要領で小さなナイフで傷を付けていく。
ダラダラと血の様に樹蜜を流すトレント。
動けないように、四角い部屋のようにバリアで囲む。
そんな赤トレントを三体確保して、眺めるお仕事。
袋がパンパンになった時だけ交換。
退屈になって、近くの灰色トレントにもちょっかいを掛けてみる。
毒の有る灰色トレントの枝をサクサク切って、攻撃力の無くなった所で地面スレスレの所でサクッと切る。
収納して終了。
バリアが便利すぎて、作業になった。
それも五体程狩って終了。
あまり他の人の獲物に手を出してはいけません。
周りを見れば、アールスハイン達が収穫祭をしてる。
ユーグラムがバリアを張ってブブブブっと栗を落とし、アールスハインとディーグリーが蔦を切って、カボチャとさつま芋の収穫、助が本体を切るって分担。
着々と貯まるカボチャとさつま芋と栗。
それを眺めながら次は何を作るかを考える。
カボチャのシチュー、煮物、天ぷら、さつま芋で大学芋、スイートポテト、さつま芋チップス、プリン、栗で焼き栗、渋皮煮、モンブラン。
どれもこれも甘いので、砂糖は控えめで良い。
夕方までのんびり討伐して、カンガルー町のギルドに納品。
これはチームごとの納品になるので、俺は一人で納品しに行ったら、ギルドタグに驚かれ、納品数に驚かれ、納品した品質に驚かれ、って大変騒がしい事になった。
アールスハイン達が事情を話し、無理矢理納得してたけど。
報酬は、他のチームよりも一桁多かったよ!
アールスハイン達とは良い勝負でした!
宿に戻って本日は終了。




