ダンジョン後
誤字報告ありがとうございます!
言われるまで気付きもしかったのですが、200話越えてましたね!
飽きっぽく根性なしの作者がここまで続けられたのは、完全に皆様の応援のお陰です!
ありがとうございます!
頑張ります!
おはようございます。
雪国を抜けたら、灼熱の火山でした。
環境の激変について行けないので、一旦外へ出ることになりました。
ダンジョンに潜っていたのはだいたい十日。
すっかり秋本番でした!
灼熱の火山を越えて、転移部屋を目指すよりも、帰りがけにもう一度巨大ミミズなワームを狩りたいと言うディーグリーの意見で、引き返す事に。
ぬいぐるみ肉も複数取れて、イエティの角もまた拾えたし、ワームのミスリルも無事一塊取れたので、ホクホク顔で戻りました。
転移の魔力消費は、魔力の多い俺達なら、ちょっとだるい?くらいの感覚ですみました。
ダンジョンを出た時間は夕方。
ダンジョン内とは多少時間の感覚が違うのかな?微妙なズレなので気にしないけど。
まずは宿を探す。
中々に清潔な宿が見付からない。
藁の上に厚手の布を掛けたベッドとか、分厚いフェルトを敷いただけのベッドとかには、あまり寝たくない。
羽毛とは言わないけど、綿の布団は有りませんか~?
ちょっと良いお値段の宿でも変わらず。
街の外でテントに泊まる?と相談してたら、良いお値段の宿の向かい側に露店を出す親父が、
「なんだいあんたら、高級宿を探してんのかい?この街の高級宿ってったら、娼館だろうが!この街には初めて来たのかい?」
「そうなんだよ~、街に着いてすぐにダンジョンに潜っちゃったから、宿の事とかは全然知らなくてね~。ただ泊まりたいだけだから、娼館てのもね~」
「ああ、それは大丈夫さ!この街の娼館は、金さえありゃ~娼婦を買わなくても泊まれるからよ!」
「へー、それはまた変わった娼館だね~?」
「まあ、娼婦を買わねーまま泊まれるのは、三日までだけどな!ダンジョン出たての冒険者は、転移のせいで娼婦買っても役に立たね~事もあるからよ!ガハハハッ」
「あ~なる程ね~!」
露店の親父に愛想笑いしながら、親父に似合わない可愛らしい飴菓子を買って、教えてもらった娼館を目指す。
甘さがだいぶ控え目な飴を頬張りながら、娼館の並ぶ通りに来た。
通りに向かって開け放たれた部屋には、飾りがついているとはいえ、檻の様な仕切りがある。
その部屋には、男女お構い無く娼婦が寛いだ様子で客を見ている。
客も娼婦に話しかけ、気に入った者がいれば、入り口に立つ男に声を掛けて店に入っていく。
ソラに乗ってる俺は、完全に場違いなのだが、意外と子供の姿も見掛けるので、それ程悪目立ちはしていない。
子供達は、娼館の小間使いらしく、忙しなく早足で歩く子が多い。
建物が綺麗で、娼婦達のレベルも高そうな娼館を見分けるには、一番に入り口に立つ男の身形を見ると良い、と教えてくれたのはイングリード。
大人への一歩として娼館デビューをプロデュースしたイングリードは、娼館の見分け方も教えてくれた。
曰く、入り口から見える場所は、どんなに底辺で悪質な店でも、見映え良く整えるもので、外観や並ぶ娼婦では見分けは付かないらしい。
そして、最良な娼館は、従業員の教育が行き届いているので、娼館従業員でもわりと下っ端の、入り口に立つ男が確りと教育されてる店は、ほぼ間違い無いらしい。
そんな意見を参考に良さげな店を探していると、
「な、な、な、なぜ貴様らがここに!私を笑いにでも来たのか!」
怒鳴り声と共に、ガシャンと格子を蹴る音がして、そちらを見てみれば、足をおさえて蹲る金髪の男。
どことなく見覚えがあるような、その金髪を見ていると、その奥の男が、
「底意地の悪い奴等だ、自分が追い落とした者の末路を確認しに来たか?」
心底馬鹿にしたような、見下すような顔で言った男にも見覚えが。
「えっとー、ぬがぬー?」
「ル、ガーヌ!だ!お前のような幼児に覚えられたくも無いがな!」
そして顔を上げたキャベンディッシュ。
「王族だった私を、このような場所に落としておいて、更に笑い者にしようなどと!」
唾を飛ばし怒鳴る様子は以前とまるで変わってない、ただ、無駄にキラキラしい王子フェイスだったのに、今のキャベンディッシュは、爛れた雰囲気満載。
職業柄仕方無いのだろうが、首に嵌められた魔道具の作用もあって、ルガーヌもキャベンディッシュもお色気ムンムン。
ちょっと子供には見せたくない感じになってる。
「落ちたのは自業自得だろうに。こんな所にまで落とされてもまだ、反省する様子も無いとは、ほとほと見下げた者達だ。わざわざお前達を笑いに来る程暇では無い」
何の感情も無く、吐き捨てる様に言ったアールスハインの声に、固まる二人。
そのまま通りすぎるアールスハイン。
他の面々も無言でその場を後にする。
後ろの方で何か叫び声が聞こえたが、誰も振り向かない。
それ程大きな建物では無いが、清潔感があり、入口に立つ男が、並ぶ娼館の中で一番姿勢良く立っていた店を選び、娼婦の指名無しで二日間の宿泊。
お値段は、普通の高級宿の三倍くらい。
お布団がフカフカ!
種族に合わせた食事も注文可能な、優秀なお店。
夕飯の配膳には綺麗なお姉さんが来て、配膳だけでなく一人に一人付いて、お酒のお酌もしてくれる。
俺はお姉さんの膝に座らされ、全て食べさせてもらった。
味は、自分達で作った方が美味しいけど、たまにはこんなのも良いね!
ペット達もお姉さんに撫でられて、のびのびしてたよ!
助の鼻の下ものびのびしてたよ!
お姉さん達は、まだお得意様の居ない、駆け出しの娼婦さんなので、ちょっとお酒が入ると、口が緩くなって、噂話として、ルガーヌとキャベンディッシュの人気が陰ってきたとか、相変わらず女のお客様は皆無だとか、と笑いながら話してて、お店の偉い感じのおじさんに注意されて下がっていった。
この世界の娼婦さん達は、犯罪奴隷以外は、本人の了解が無くては娼婦にはなれないので、親の借金のかたにとか、旦那や彼氏に騙されて等の理由が無い分悲壮感も薄い。
なので、陽気でお喋りで、たまに羽目を外し過ぎて、それを一人前に導くのも大変な仕事の一つらしい。
フカフカのお布団は、お日様の匂いがして、とても快適でした!
おはようございます。
今日の天気は曇り。
今日は荷物の整理をした後に、ギルドに行きます。
ディーグリーが自分で直接加工に出した方が、利幅の大きい素材とかは、ラバー商会に直接買い取りしてもらうらしい。
シルクスパイダーの糸とか、フォークバッドの糞とか、イエティの角とかね。
ミスリルは、自らドワーフの街に行って加工を頼みたいそうです。
冒険者ギルドは人で溢れていて、その中央でお酒のジョッキを片手に大声で語っているのは、見た覚えのある冒険者チーム。
あの酷い匂いを撒き散らしていた冒険者達。
俺達が入っていくと、入り口付近の冒険者が振り向いて、馴染みの無い顔ぶれに訝しげな目を向けてくる。
「何だあお前ら?他の町から来た駆け出しか?」
思いの外大きな声だったのか、周りの冒険者もこっちを見てきた。
「なにぃ?新人だとお?俺様に挨拶も無く、この街のダンジョンに潜れると思うな!俺様は……………」
酔って無駄に大声で怒鳴ってた、チーム洞窟の王、Aランク冒険者アルゴンが、俺達の顔を見て固まった。
固まって何も言わないので、構わずギルド受け付けに。
アルゴンが気になるのか、チラチラ見ながら受付嬢が、
「ようこそダンジョンの街、シュラウナへ!ダンジョンに来られたんですか?」
「いや、ダンジョンには既に潜ってきた。ドロップ品の買い取りを頼みたい」
潜るだけなら、何時でも誰でも入れるダンジョン。
最低限の見廻りくらいは冒険者ギルドもしているが、基本冒険者を助けたりはしない。
休憩所の使い方が適正か等を見て回るだけ。
発見した宝箱は開けても良いらしいけど。
「ドロップ品の買い取りですね!それでしたら買い取り専門の窓口が有りますので、あちらの奥へどうぞ!」
紹介された衝立の奥に行くと、屈強なおっさんが暇そうにしてた。
俺達を見て、
「おう、買い取りか?少しは俺を驚かせる品はあるかね~?」
こちらを完全に嘗めているが、構わずドロップ品を出していく。
低層階のドロップ品はそれ程熱心に拾ってないので、次々放るように査定していくおっさん。
中層階と言われる二十階層からは少し見る目が変わって来て、二十一階層ボスドロップのぬいぐるみに、ちょっと驚いて、高層階と言われる、五十階層より下のドロップ品には、かなり驚いた顔をしだした。
「おおお!すげぇなお前ら!駆け出しだと思って嘗めてたが、ぬいぐるみ!ワイバーン!しかも五十階層とは!最近は、外での討伐ばっかしてて、ダンジョンの更新に行き詰まってる奴ばっかだったから、五十階層より下の素材が全然入って来なかったんだよな~!しかも大量!こりゃ大型新人か~?」
両手を擦り合わせ、舌なめずりするおっさん。
あまり海産物を食べない国で、五十階層の素材って?と疑問に思ってたら、主に角が武器として中々に優秀な素材だそうです。
角以外の素材は全て返してもらって、六十階層のジャングルの素材も出していく。
「ほほーー!」
奇声を上げて興奮するおっさん。
そして六十三階層以降の素材。
「………………………」
おっさんの目の色が変わり無言になる。
素材を触る手も慎重になり、奥に居るもう一人を呼び寄せた。
二人掛りで無言で査定してる。
真剣すぎて声も掛けられない。
ジャングル素材は、突撃してくる鳥の羽根、実は魔物だった木、飛び出してくる虎の皮と角と牙、蛇の毒と皮。
どれもが高額。
密林階層の素材は、虫の魔物素材が高額。
ビッグガガの針も買い取り可能なので、半分だけ出した。
奥から呼ばれた査定員が、急いで奥に引っ込んで、バタバタと別の誰かを連れてきた。
新しく来たのは、女戦士!って感じのムキムキでバインバインで、タンクトップにショートパンツの軽装の女の人だった。
「あんたらかい?六十三階層を越えたって言う新人冒険者は?」
物凄く値踏みされてます。
アールスハインとユーグラムは無表情、ディーグリーと助は苦笑い、俺は愛想笑いしといたよ!
「かわっ!」
ボソッと何かを言った女の人は、目にも止まらぬ速さで俺を抱えた!
バリアが有るので、バリア越しにバインバインのおっぱいがムニューーーとなってる。
力入れすぎじゃない?バリア無かったら俺、潰れんじゃない?
アンネローゼと同じ匂いがする。
直に抱っこ出来なかったのが不満なのか、バリアをムニムニと押している女の人。
「ちょっと、ギルド長!何やってんですか?!いきなり子供を拐うなんて、犯罪者の所業ですよ!早く離してあげなさい!」
後から来た査定員に怒られて、渋々俺を離すギルド長と呼ばれた女の人。
俺をソラの背に戻すと、他のペット達にも気付き、手を出そうとして、査定員とおっさんに止められてた。
暫く三人でゴニョゴニョした後に、
「ううん。それで、本当に君らが六十三階層を越えたのかね?」
何事も無かったように仕切り直した。
査定員の二人が、微妙な顔でギルド長の女の人を見ていた。
いや、本当に皆様のお陰なのですが、何もお返し出来なくて申し訳ない!
兎に角、更新を頑張ります!
◇あとがきの追記
ええと、読者様からの指摘を頂いたのですが、討伐素材の事で仕切っているのがディーグリーなのは、ギルドに出すよりもディーグリーの商会で買い取ってもらう方が高額な場合の時です。
あと、キャベンディッシュとルガーヌは犯罪奴隷に落ちてからは、お店を何度か移動してます。
人気に陰りが出てきたので。
王都にある娼館が一番格上扱いなのは利用客が多い以上仕方ありません。
血の気の多い冒険者の多い街には娼館が多いのも、利用客が多いせいです。




