ダンジョン 2
今年も一年お疲れ様でした!
誤字報告、ブクマ、評価をありがとうございました!
お陰様で何とか続けてこられました。
本年はこれで最後の更新になりますが、来年も頑張ります!
おはようございます。
ダンジョン三日目の朝です。
朝御飯は、ジャガイモのポタージュと、厚切りトーストにスクランブルエッグ、サラダに鯛的な魔物のソテーです。
昨夜は謎肉祭りだったので、朝はあっさりです。
そして五十一階ボス部屋です。
ボスは、二階建てバスサイズの巨大な蜘蛛です。
生きたまま尻から出る糸を巻き取ると、スパイダーシルクと言う、最高級の糸が取れるそうです。
死体から取ると、途端に質が落ちるそうです。
ディーグリーから、是非とも確保を!!って要望が有ったので、倒さずに出来るだけ糸を取る戦法に変更になりました。
ユーグラムの魔法で脚を切り落とし動けなくする。
俺の魔法で暗闇状態にして身動きを封じる。
闇雲に尻から糸を噴射するのを、鞘ごとの剣で巻き取る。
ディーグリーは、どこからか出した棒に巻き取っている。
魔法を掛けたら、蜘蛛が動き回らないように警戒しているだけの暇なお仕事。
ディーグリー、アールスハイン、助は必死に剣と棒を振り回し、糸を巻き取っています。
とてもシュールなのに、笑ってはいけない何か。
「いーとーまきまき、いーとーまきまき、ひーてひーてとんとんとん」
「止めて、ケータ!力抜ける!あと音痴!」
助に突っ込まれた。
そう、俺は音痴なので、人前で滅多に歌わないのだが、暇すぎて口から勝手に出てしまったのだ。
可愛らしい、笑いを誘う音痴ではなく、ドン引きされる類いの音痴なので、弟妹に子守唄禁止令が出された程。
反省反省!
さて、じゃあどんな暇潰しなら良いだろう?
編み物は飽きたし、繕う事は出来るけど、洋服を作ったりなんかの縫い物は出来ない。
マジックバッグをあさりながら考えているけど、特にやりたい事が見付からない。
三十分も糸巻きしていた面々は、物凄くぐったりしだしたので、糸巻き係を変わってあげようか?
なんか良さげな棒を取り出し、魔法でくるくる回す。
面白いように巻き付いて行く糸の束。
若干怨めしそうな視線も感じるけど、くるくるくるくる。
そしてさらに一時間、糸を巻き取り続けた蜘蛛の尻から、赤い糸が出てきた。
「ケータちゃんストップ!その赤い糸は巻かないで!」
ディーグリーの叫びで、途中で止めた巻き取り。
「あの赤い糸が出ると、もうその後は毒しか出ないんだよ~。しかも、あの赤い糸は毒ってるから、白い糸に触ると毒が移っちゃうんで、その前に止めるんだよ~」
説明しながら、巨大蜘蛛に容赦なく止めをさすディーグリー。
無慈悲である。
利用するだけ利用して、サクッと始末してしまう。
思わず巨大蜘蛛に手を合わせてしまったよ!
巨大蜘蛛から取れた大量の蜘蛛糸は、このまま使うのではなく、適切に処理されて初めてスパイダーシルクと呼ばれる物になるそうな。
それまでは俺のマジックバッグに入れておいて!って。
時間経過で劣化も激しいそうです。
そして次の階からは、粘着糸や粘着液を出す魔物の多い事多い事!
洞窟内も、ネバネバネチャネチャしてる。
そして可燃性。
あまり戦いたく無い相手ばかりだし、ユーグラムがフフフッて笑い出したので、ボードに乗ってスイッと飛んで先に進みます。
ラニアンが上手に飛べるようになって良かった!
そして転移部屋で登録を済ませ、次のボス部屋。
入った途端、海水浴場のような海でした。
えええ!と驚いているのは俺だけ?
なぜ皆驚かない?
「ダンジョンの景色が突然変わるのは常識だぞ!洞窟の中なのにいきなり森とか、海とか、水中とかも有るんだぞ!」
助の説明が何だかちょっとイラッとするのは、妙に自慢気なせいか?
自分だって巨大ダンジョンに入るのは初めてのクセに!
まぁ、気を取り直して海である!
「しゃかなーえびーかーにー!!(魚ー海老ー蟹ー!!)」
叫びながら海に向かえば、接近を感じ取ったのか、砂の中から巨大なタコが!タコ!
「たこやきーーー!!」
魔法で出した巨大な針で、巨大タコの目と目の間をブスッとね!
タコの絞め方の基本です!
急所を一突きしてやったので、徐々に色を変えていくタコ。
それでもさすが魔物、それだけでは死なずに、極太の脚を振り回す。
全部頭上を通り抜けてったけど!
俺の小ささ嘗めんなよ!
さらに、タコがスッポリ入る大きさの巨大なバリアに浄化水を満たし、タコを掬うようにバリアの中へ!
バタバタと暴れるタコがおとなしくなり、動かなくなったところで、大量の塩を投入。
バリア内の水を洗濯機のように回転、逆回転させて、滑りを取っていく。
と、そこでポワンと煙と共に消えるタコ!あああ!ダンジョン内でした!倒したら消えてドロップ品が落ちる事を、すっかり忘れてた!
タコのドロップ品は、茹で蛸と大量の金貨でした。
なぜ蛸に金貨?
意味は不明だったが、蛸が手に入ったので良しとしよう!
ルンルンスキップで戻ったら、皆に呆れた目で見られました!
ユーグラムは微笑んでたよ!
ダンジョンボスを瞬殺したった!
今夜の夕飯はたこ飯よ~!
ボス部屋を出ると、そこは海の浅瀬でした。
浅瀬がずっと続いてる感じ。
そして前世の伊勢海老サイズの海老が大量!角有るけど。
たらば蟹サイズの蟹も大量!靄出てるけど。
貝類も大量!アサリっぽいのにホタテサイズで、ウニ並みにトゲトゲだけど!
全部、根こそぎ取る勢いで、浄化バリアを転がして殺りましたとも!
海産物が大漁じゃーい!
不思議な事に、海産物はドロップしても海産物でした!
俺に取っては素材よりも嬉しいので問題なし!
昼ご飯も忘れて、漁業に勤しんでいたら、皆に、我がペット達にまでストップを言い渡され、渋々諦めました。
前世では、そんなに興奮する程海産物が好きだった訳じゃないのに、止められませんでした!
何時もより早目の夕飯は、頑張ったよ!
たこ飯以外は、バーベキュー方式でただ焼いただけだけど!
目を離すと、黒焦げにしたり、謎の煙を吐かせたりする奴が居るので、監督を頑張りました!
夕飯を食べたのに、暴れ足りない面々がもう少し先に進むそうです。
五十五階層からは、ちょっとだけ深くなって、魚も混じってきた。
目立つのは飛び魚。
海面を跳ねるように飛んでくる。
あご出汁ですか?
あとダツみたいな、突撃してくる尖った魚が何種類か。
たまにカジキマグロみたいな魔物が飛んでくるのは驚くけどね!
飛び魚とダツは、反射神経の鋭いディーグリーとアールスハインが手掴みして、俺の作った浄化バリアにポイ。助は大物狙いでカジキマグロを避けて横からバッサリ。
ユーグラムは、後方に柔らかいバリアを張って、刺さった魚を浄化バリアにポイポイ。
我がペット達は、ラニアンに乗って空中遊泳してるプラム。
ジェットコースターみたいだけど。
プカプカ浮かびながら触手で海老や蟹、貝を取ってるハク。
その上にのへ~っと延びてるデブ猫スタイルのソラ。
俺は、ユーグラムに抱っこされながら足場としてバリアを張ってます。
のんびり進んだのに六十階層の転移部屋に到着。
転移登録して、今夜はこの階でお泊まり。
六十階層休憩所なう。
懐かしい事を言ってみた。
この階の休憩所は、L字型になってるらしく、入り口から奥に死角になる部分があり、その奥の部分に先客が居た。
先客が居るのは構わないんだけど、物凄く睨まれてるなう。
この階層まで来られる以上、それなりの強さが有るんだろうけど、ムキムキで巨大筋肉だけど、とても汚れてて草臥れてる。
戦利品だろう魔物素材の小山が、壁際に積まれてる前に、焚き火を囲んでこっちを睨んでる。
下手に刺激すると面倒そうなので、水汲みに来ましたー!みたいに装って、さっさと退散するに限る!と目で会話。
必要ないのに水場に行って、水筒に水を汲む。
さて、退散!と背を向けた所に、
「よう!見ない顔だな?このダンジョンは初めてかい?」
声を掛けられてしまった!
「ああ、そうだが?」
「ふ~ん。その割に小綺麗にして、荷物もろくに持ってない、って事は、結構な容量のマジックバッグを持ってるって事だろ?」
「さあ、どうだろうな?」
「まあまあ、そう警戒すんなよ!一つ交渉したいだけさ!」
「交渉?どんな?」
「俺達はこのダンジョンを拠点に活動してる、洞窟王ってチームなんだが、ご覧の通り荷物が多くなりすぎてね!一割出す!あんたらのマジックバッグに荷物を詰めて、運んじゃくれねーかな?な?中々の報酬だろ?帰りの戦闘は俺等がやるからさ!」
「いや、断る。俺達は先に進みたいんでな」
「そんな冷てーこと言わずにさ!同じ冒険者同士だろう!頼むよ!」
「悪いが断る。冒険者は自己責任が基本だろう?運びきれない荷物は諦めるんだな!」
「チィッ、下手に出てりゃー調子に乗りやがって!こっちはAランクの冒険者も居るんだぞ!怪我する前に、マジックバッグ置いて、さっさと出ていきな!」
「まあまあ、そんなに苛ついてんじゃないよ!」
剣を抜こうとした相手を、後ろから来た女が後ろ頭を叩いて止めた。
「ごめんね~、こいつら短気でさ~、だから最初からあたしに任せなって言ったろ~!」
交渉相手が交代のようです。
二十代後半ぐらいの、スタイルは良いが、どこか艶かしい、ちょっと娼館に居た女性達と同じ匂いのする女は、長いローブを着てるのに前を全開にして、水着みたいな服で胸を強調しながら、前屈みで上目使いで覗き込むように、
「ねぇ、良いだろう?荷物を運ぶだけの簡単な仕事で、あたし達の分け前を一割も貰えるんだ、運良くここまで来られた駆け出しのあんた等なら、暫くは自慢できるじゃないか!そ、れ、に、あんた等が望むなら、あたしが自ら相手してやっても良いんだよ?」
バチコーンとウインクして、当然頷くだろう?とばかりに見てくる女。
「断ると言っている」
アールスハインがバッサリと切りました!
「は、はあ?あんた今、あたしの頼みを断ったのかい?!しっっんじらんないよ!あんた等馬鹿なのかい!こんな美味しい話を断るなんて!あんた等!生きてこのダンジョンを出られると思わない事だね!」
金切り声を上げながら、仲間の元へ向かった女は、攻撃のためか、何かをブツブツ呟いている。
他の仲間は剣や斧、弓を構えて臨戦態勢に入っている。
身の丈程の長剣を肩に担いだ巨大筋肉が、
「もう一度だけ聞く、俺は洞窟の王、Aランク冒険者のアルゴンだ!それでも断るんだな?駆け出しども?」
「はぁ~、何を勘違いしているのか知らんが、俺達は全員がAランク冒険者だ。駆け出しと侮られる程弱くない」
全員で首から下げたドッグタグを見せる。
Aランク冒険者特有の金ピカのタグを見て、固まる奴等。
そして大量に汗をかきながら、少しずつさがって行き、壁際の小山まで戻ると、
「わ、わ、わ、悪かったよ!とんだ勘違いをした!まさかその若さでAランクなんて、思い付きもしなかった!本当にすまない!お詫びに幾つか素材をやるからさ!勘弁してくれ!な?」
ヘコヘコ謝りだした。
Aランク冒険者タグの威力は凄いね!
「お前らの素材などいらん!」
そうしてやっと休憩所から出た。
「あ~、時間の無駄だった!」
「この苛つきは、ボスで晴らしましょう!」
「そうだな~!苛ついたままじゃ安眠出来ねーしな!」
「おふりょはいりたい(お風呂入りたい)」
「ああ!あいつ等くっさかったなー!」
「もう少し何とかならなかったのですかね?」
「取り敢えずでも、水が有るんだから洗うとかー」
「口で息するのがやっとだった!」
「あの女性も、相当匂ってましたね」
「近くに寄られた時に、オエッてしないように、凄い我慢した!」
「特に、最後の!アルゴンとか言う奴!距離があるのに、鼻が曲がりそうだった!」
「いくら野営が多いと言えど、あの匂いには耐えられませんね!」
「きじぇちゅしゅりゅともった!(気絶するかと思った!)」
「あーー!なんか体が痒い気がしてきた!さっさとボス倒して、お風呂入ろー!」
「「「おーー!」」」
一致団結した皆が、次のボス部屋の主を瞬殺したのは、しょうがない事だった!
ちなみにボスは、巨大イカだった。
クラーケンって言うらしいよ!
スパスパ切られ過ぎて、だいぶ可哀想になったけど。
あ~~、お風呂は至福!
おやすみ~~!
年明けは七日からの再開となります。
週末のみの更新になりますが、よろしくお願いします!
皆様が健やかな一年を迎えられるよう願っております!




