ウシ町 ウマ町
誤字報告でご指摘頂いたゴルゴンゾーラを、チェダーに変えました。
なんかずっと勘違いをしてたらしい事に、今更気付かされました!
レストランで指摘してくれる優しい友達募集するべき?!
街道を歩いて、それ程離れていない場所にあったのはウシ町。
町の門を守るのは、魔物じゃね?と激しく疑問に思う程、荒ぶっている闘牛のようなウシ獣人。
ブフーブフーと鼻息が荒く、肩で息をしている。
とても話し掛け辛い。
しかも入り口を守る両方のウシ獣人がその状態。
人を中に入れたくないんですかね?
あまりに話し掛け辛いので、微妙な距離で止まっていると、後ろから来たネズミ族の若者に、
「おお、旅人さん、さっきは沢山チーズを買ってくれたようで、ありがとね~!で?何してんの?」
軽やかに話し掛けられ、ウシ獣人のあまりに話し掛け辛い様子を相談してみた。
「あ~、今日はハズレの日か~。でも大丈夫!声を掛けたくらいでは、攻撃まではされないよ~」
軽く言って、先に門番に声を掛けた。
続いて俺達も門を通ったけど、めっちゃ鼻息かけられた!
ネズミ族の若者の話では、彼等は入ったばかりの新人で、初めての任務を任されて、興奮と緊張でああなっているだけで、普段は至って普通の若者らしいですよ。
声を掛け辛かったので、注意事項も名産も聞けなかった。
仕方無く、門の近くに建てられた兵舎の警備をしている獣人に声を掛けた。
「あー、悪いね!奴等はほんと、いつまで緊張してんだか?ああ、この町の注意事項ね、これと言って無いんだけど、ああ!一つ!女のウシ族に、牛乳を売ってくれとは絶対に言わない事!張り倒されるからな!確かにこの町では牛乳を売ってるが、あれは獣のウシの乳を売ってるんであって、ウシ族の乳を売ってるわけじゃねーからな!」
凄い真剣に注意されました!
町を歩くと普通の町並み。
一つ一つの建物は大きいし、さっきまでいたネズミ町と比べると、全てが五倍くらい大きいけど、特に変わった所は見当たらない普通の町。
男のウシ族は両極端で、魔物並みにゴリゴリのマッチョか、ダルンダルンののほほんボディかに分かれてる。
乳牛と闘牛の違い?
女性のウシ族は、バインバインです。
ええ、バインバイン。
巨乳とか爆乳とかを越えた何かです。
牛乳を売ってくれと言った人の気持ちも理解できる気がします。
意外と種類?は多く、ホルスタインとかジャージーとか、水牛的なのとか、長毛とか。
動きはゆっくりなのに、体が大きいせいと、バインバインなせいで圧迫感が有ります。
どうにも落ち着かないので、牛乳を買って、ラバー商会に行ったら早々に退散しようと思います。
いや、出来なかったんだけど。
ラバー商会では、支店長が待ち構えていて、新しい料理をはよ!と催促されました。
取り敢えず、クリームシチューと牛乳寒天を作って置いてきた。
この世界の主なシチューと言えば、ビーフシチュー的な煮込みなので、白いシチューはちょっと驚かせたようです。
学園でもお城でも普通に作ってて、食べ慣れてた俺達は、ちょっと笑ったけどね!
牛乳寒天に使う寒天は、厳密には寒天ではなく、水棲魔物の骨を砕いて粉にしたものが、食用として広まったもの。
ゼラチンよりも寒天に近い食感で、普通は、冬場に汁にとろみをつけるために使われるだけらしい。
片栗粉みたいな使い方も出来るようです。
まあ、今は夏なので寒天として使うけど!
使い方は簡単。
牛乳を温めて、砂糖と寒天を入れて溶けるまで煮たら、型に移し冷まして冷やす。
ブルンと弾力のある、今までに無い食感で、とても評判が良かった!
寒天を大量に仕入れないと!と支店長が意気込んでた。
店にある在庫は、ディーグリーが大量に買っちゃったしね!
気に入ったのね、牛乳寒天。
俺が寒天寒天言うせいで、名前がカンテンになりそうです。
牛乳を大量買いして早々に次の町へ。
街道を歩くのにも慣れてきたラニアンは、油断すると地面を三十センチくらい浮いて歩いてる時がある。
注意しても、無意識に浮いてしまうので、今はプラムが重しとして背中に乗っている。
そうすると、地面二.三センチまで沈むので、パッと見には普通に地面を走ってるように見える。
最初は俺が乗ったんだけど、軽すぎて浮くので、プラムが乗ることで落ち着いた。
途中、買ったばかりのチーズをこれでもかっ!とのせたピザトーストを昼御飯に自作して、いつの間にかソラの背中で昼寝して、ほぼ半日かけて日が沈む頃にやっと着いたのは、ウマ町。
幻獣の町のユニコーン達を思い出し、ちょっとだけ腰が引けながら門番に声を掛けると、普通に対応された。訛ってもいなかった!
注意事項は外で立ちションしたら、高額の罰金を取られるとか、柵を越えた人は、怪我をしても自己責任とか言われた。
名産は薬草だそうです。
町は、見渡す限りの草原。
道の脇に柵があり、道を歩くのは小さな子ウマ達だけで、大人や少し大きくなった少年達は、柵の向こうを悠々と走り回っている。
建物と建物の間隔がかなり離れていて、とても牧歌的。
満足に走れない子ウマ達に案内されて、宿に着いたんだけど、馬小屋感半端ない。
部屋と部屋の仕切りが凄く雑で、干し藁に布を掛けただけのベッド以外何もない。
出された食事はサラダと芋のみ。
テント出して良いですか?
まあ、ここでテントを出したら、この町に対して凄く失礼になるので、一晩我慢するしかない感じ。
おはようございます。
今日の天気は快晴。
干し藁のベッドに寝て一晩。
体が痒いです!
虫でもいたのか、背中と尻を中心に凄く痒い!
何故か頭もモソモソするし!
仕方無しに洗浄魔法を掛け、治癒魔法では治らなかった痒みは、解毒魔法で無事解決。
皆にも掛けてやったら、とても感謝されました。
魔物以外の小さい虫も要注意と知りました!
何日か風呂に入れなくても、水でガシガシ洗っても、何時でもツルツルサラサラなユーグラムの髪が、若干艶を失っております。
虫のせいだね!
サラダと芋の朝食を食べ、薬草屋さんを覗いたら、少し散歩。
草原を走る馬の姿はとても気持ち良さそうで、柵にもたれ暫く眺める。
ボケーっと眺めてたら、頭を食われました!
正確には髪の毛を食われてます!
横を見れば、モシャモシャと俺の髪を食む馬の少年。
ヨダレが凄い垂れてくる!
どうして良いか分からなくて固まっていたら、馬少年の横っ腹をプラムがドスーーンと突き飛ばした。
髪の毛がブチブチッと何本も抜けた!
痛みと驚きで涙目になっていたら、ユーグラムに抱っこされ、洗浄魔法を掛けられた。
そこへ、
「ちょっと!うちの子に何してんの!あああ、ホークちゃん大丈夫?どこか痛い所は無い?今、兵士を呼んだからね!こいつらはすぐに捕まるから、泣いてはダメよ!」
カッポカッポと気の抜ける長閑な音と共に現れた兵士二人。
「えーと、通報したのは奥さん?何がありました?」
「この人達が、よってたかって私のホークちゃんをいじめてたのよ!早く捕まえて!」
「ええと、君達は冒険者だよね?本当にそんなことをしたの?」
「何でそんな奴等に聞いてるの?!まずは捕まえてから聞けばいいじゃない!」
「はぁ~、奥さん、物には順序ってもんが有るんですよ、口出しせんで下さい!」
「うちの子を怪我させる所だったのよ!」
「まずは事情を聞いてからだと言っている!黙ってなさい!」
ヒステリーなおばさんは、兵士に怒鳴られてやっと黙った。
「それで、事情を話してもらえますか?」
「うまみてたりゃ、かみのきぇくわりぇた、しょんで、ぷりゃむがどーんちた(馬を見てたら、髪の毛食われて、それでプラムがどーんと突き飛ばしました)」
「ええーと?」
「馬が走る様子を見ていたら、そちらの子がケータちゃんの髪を噛みだして、それをプラム、こちらの従魔のプラムが止めようとして、横から突き飛ばしたかたちですね」
「……………髪を噛む。坊や、何故この子の髪を噛んだりしたの?」
兵士さんが、ホークと呼ばれた馬少年に優しい声で聞いている。
「……柔らかそうで、美味しそうで、いい匂いがしたから」
「そうか。でもね、この子は馬族の子じゃないんだ、いきなりそんなことをされたら、怖がって泣いてしまうだろう?突き飛ばしたのはやりすぎだけど、従魔は主人を守ったんだ。許してあげられるね?」
「うん、ビックリしただけで、僕怒ってないよ!あのね、いきなり髪の毛噛んでごめんね!」
兵士さんに諭されて、馬少年に謝られた。
「ごめんね、馬族は噛んだり舐めたりは親愛の表現方法なんだ、この子も悪気があった訳じゃなく、君と親しくなりたかっただけなんだよ、許してくれるかな?」
「い~よ~、びっくりちたらけらし(いいよ、ビックリしただけだし)」
「ありがとう!…………奥さん、事情は分かりましたね?無駄に騒ぎにせずに、最初から話を聞けば、何の問題にもならなかったでしょう?」
「だって!いきなり息子が突き飛ばされれば、誰だって驚くでしょう!?」
「その前の息子さんの行動は見てなかったんですか?」
「それは、見てたけど、愛情表現じゃない!」
「この子は馬族では無いのだから、それが通じない事も有るでしょう?大人なんだから、その辺は子供に教育する立場だろうに。それにね、子供の喧嘩を大人が騒ぎにするのもどうかと思いますよ?」
「周りの子は大人じゃない!」
「彼等はどう見ても、貴女よりずっと若いでしょう!それに見るからに冒険者だ、余所から来た彼等に、この町の常識が通じるはずがないだろう!」
「そんなの私のせいじゃないわ!私達の町に来たなら、私達の常識に合わせなさいよ!」
「ふぅ~、ダメだな、話が通じない上に、意固地になっている。ここは私達に任せて、貴方達は行って下さい。馬族の者がすみませんでした!」
兵士さんに謝られた。
ヒステリーおばさんは、まだなんか言ってるけど、構わずこの場を離れる。
馬少年に手を振ると、ニコッと笑って振り返してくれたので、まあ良いだろう。
「とんだことに巻き込まれたね~!」
「良識ある兵士の方々で良かったですね!」
「種族ごとの習性とか常識ってのは、なかなか面倒だな?」
「確かにそうだが、町に訪問する側も、多少の知識は必要だな」
「だね~、トラブル防止のためにも、先に門の所で聞いとかないとね~!」
まあちょっとしたトラブルはあったけど、これからの町へ行く時は、ちゃんと注意事項を守って行きましょうって事で!
街道を歩いて移動、お昼ご飯は肉を希望され、たまには米も食いたい!との希望もあり、メニューはカツ丼。卵でとじたのとソースのと両方を作った。
皆バクバク食った。
ボス○イビーに心を奪われております!
ケータだって負けないくらいモチモチのはず!
年末のこの忙しい時期に映画を観に行くべきか悩み中。




