表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/313

ウシ町 ウマ町

誤字報告でご指摘頂いたゴルゴンゾーラを、チェダーに変えました。

なんかずっと勘違いをしてたらしい事に、今更気付かされました!

レストランで指摘してくれる優しい友達募集するべき?!

 街道を歩いて、それ程離れていない場所にあったのはウシ町。


 町の門を守るのは、魔物じゃね?と激しく疑問に思う程、荒ぶっている闘牛のようなウシ獣人。

 ブフーブフーと鼻息が荒く、肩で息をしている。

 とても話し掛け辛い。

 しかも入り口を守る両方のウシ獣人がその状態。

 人を中に入れたくないんですかね?


 あまりに話し掛け辛いので、微妙な距離で止まっていると、後ろから来たネズミ族の若者に、


「おお、旅人さん、さっきは沢山チーズを買ってくれたようで、ありがとね~!で?何してんの?」


 軽やかに話し掛けられ、ウシ獣人のあまりに話し掛け辛い様子を相談してみた。


「あ~、今日はハズレの日か~。でも大丈夫!声を掛けたくらいでは、攻撃まではされないよ~」


 軽く言って、先に門番に声を掛けた。

 続いて俺達も門を通ったけど、めっちゃ鼻息かけられた!

 ネズミ族の若者の話では、彼等は入ったばかりの新人で、初めての任務を任されて、興奮と緊張でああなっているだけで、普段は至って普通の若者らしいですよ。


 声を掛け辛かったので、注意事項も名産も聞けなかった。

 仕方無く、門の近くに建てられた兵舎の警備をしている獣人に声を掛けた。


「あー、悪いね!奴等はほんと、いつまで緊張してんだか?ああ、この町の注意事項ね、これと言って無いんだけど、ああ!一つ!女のウシ族に、牛乳を売ってくれとは絶対に言わない事!張り倒されるからな!確かにこの町では牛乳を売ってるが、あれは獣のウシの乳を売ってるんであって、ウシ族の乳を売ってるわけじゃねーからな!」


 凄い真剣に注意されました!


 町を歩くと普通の町並み。

 一つ一つの建物は大きいし、さっきまでいたネズミ町と比べると、全てが五倍くらい大きいけど、特に変わった所は見当たらない普通の町。


 男のウシ族は両極端で、魔物並みにゴリゴリのマッチョか、ダルンダルンののほほんボディかに分かれてる。

 乳牛と闘牛の違い?

 女性のウシ族は、バインバインです。

 ええ、バインバイン。

 巨乳とか爆乳とかを越えた何かです。

 牛乳を売ってくれと言った人の気持ちも理解できる気がします。

 意外と種類?は多く、ホルスタインとかジャージーとか、水牛的なのとか、長毛とか。


 動きはゆっくりなのに、体が大きいせいと、バインバインなせいで圧迫感が有ります。

 どうにも落ち着かないので、牛乳を買って、ラバー商会に行ったら早々に退散しようと思います。


いや、出来なかったんだけど。

ラバー商会では、支店長が待ち構えていて、新しい料理をはよ!と催促されました。

取り敢えず、クリームシチューと牛乳寒天を作って置いてきた。


この世界の主なシチューと言えば、ビーフシチュー的な煮込みなので、白いシチューはちょっと驚かせたようです。

学園でもお城でも普通に作ってて、食べ慣れてた俺達は、ちょっと笑ったけどね!

牛乳寒天に使う寒天は、厳密には寒天ではなく、水棲魔物の骨を砕いて粉にしたものが、食用として広まったもの。

ゼラチンよりも寒天に近い食感で、普通は、冬場に汁にとろみをつけるために使われるだけらしい。

片栗粉みたいな使い方も出来るようです。

まあ、今は夏なので寒天として使うけど!

使い方は簡単。

牛乳を温めて、砂糖と寒天を入れて溶けるまで煮たら、型に移し冷まして冷やす。

ブルンと弾力のある、今までに無い食感で、とても評判が良かった!

寒天を大量に仕入れないと!と支店長が意気込んでた。

店にある在庫は、ディーグリーが大量に買っちゃったしね!

気に入ったのね、牛乳寒天。

俺が寒天寒天言うせいで、名前がカンテンになりそうです。


 牛乳を大量買いして早々に次の町へ。


 街道を歩くのにも慣れてきたラニアンは、油断すると地面を三十センチくらい浮いて歩いてる時がある。

 注意しても、無意識に浮いてしまうので、今はプラムが重しとして背中に乗っている。

 そうすると、地面二.三センチまで沈むので、パッと見には普通に地面を走ってるように見える。

 最初は俺が乗ったんだけど、軽すぎて浮くので、プラムが乗ることで落ち着いた。


 途中、買ったばかりのチーズをこれでもかっ!とのせたピザトーストを昼御飯に自作して、いつの間にかソラの背中で昼寝して、ほぼ半日かけて日が沈む頃にやっと着いたのは、ウマ町。


 幻獣の町のユニコーン達を思い出し、ちょっとだけ腰が引けながら門番に声を掛けると、普通に対応された。訛ってもいなかった!

 注意事項は外で立ちションしたら、高額の罰金を取られるとか、柵を越えた人は、怪我をしても自己責任とか言われた。

 名産は薬草だそうです。


 町は、見渡す限りの草原。

 道の脇に柵があり、道を歩くのは小さな子ウマ達だけで、大人や少し大きくなった少年達は、柵の向こうを悠々と走り回っている。

 建物と建物の間隔がかなり離れていて、とても牧歌的。


 満足に走れない子ウマ達に案内されて、宿に着いたんだけど、馬小屋感半端ない。

 部屋と部屋の仕切りが凄く雑で、干し藁に布を掛けただけのベッド以外何もない。

 出された食事はサラダと芋のみ。

 テント出して良いですか?

 まあ、ここでテントを出したら、この町に対して凄く失礼になるので、一晩我慢するしかない感じ。



 おはようございます。

 今日の天気は快晴。

 干し藁のベッドに寝て一晩。

 体が痒いです!

 虫でもいたのか、背中と尻を中心に凄く痒い!

 何故か頭もモソモソするし!

 仕方無しに洗浄魔法を掛け、治癒魔法では治らなかった痒みは、解毒魔法で無事解決。

 皆にも掛けてやったら、とても感謝されました。

魔物以外の小さい虫も要注意と知りました!


 何日か風呂に入れなくても、水でガシガシ洗っても、何時でもツルツルサラサラなユーグラムの髪が、若干艶を失っております。

 虫のせいだね!


 サラダと芋の朝食を食べ、薬草屋さんを覗いたら、少し散歩。

草原を走る馬の姿はとても気持ち良さそうで、柵にもたれ暫く眺める。

ボケーっと眺めてたら、頭を食われました!

正確には髪の毛を食われてます!

横を見れば、モシャモシャと俺の髪を食む馬の少年。

ヨダレが凄い垂れてくる!

どうして良いか分からなくて固まっていたら、馬少年の横っ腹をプラムがドスーーンと突き飛ばした。

髪の毛がブチブチッと何本も抜けた!

痛みと驚きで涙目になっていたら、ユーグラムに抱っこされ、洗浄魔法を掛けられた。

そこへ、


「ちょっと!うちの子に何してんの!あああ、ホークちゃん大丈夫?どこか痛い所は無い?今、兵士を呼んだからね!こいつらはすぐに捕まるから、泣いてはダメよ!」


カッポカッポと気の抜ける長閑な音と共に現れた兵士二人。


「えーと、通報したのは奥さん?何がありました?」


「この人達が、よってたかって私のホークちゃんをいじめてたのよ!早く捕まえて!」


「ええと、君達は冒険者だよね?本当にそんなことをしたの?」


「何でそんな奴等に聞いてるの?!まずは捕まえてから聞けばいいじゃない!」


「はぁ~、奥さん、物には順序ってもんが有るんですよ、口出しせんで下さい!」


「うちの子を怪我させる所だったのよ!」


「まずは事情を聞いてからだと言っている!黙ってなさい!」


ヒステリーなおばさんは、兵士に怒鳴られてやっと黙った。


「それで、事情を話してもらえますか?」


「うまみてたりゃ、かみのきぇくわりぇた、しょんで、ぷりゃむがどーんちた(馬を見てたら、髪の毛食われて、それでプラムがどーんと突き飛ばしました)」


「ええーと?」


「馬が走る様子を見ていたら、そちらの子がケータちゃんの髪を噛みだして、それをプラム、こちらの従魔のプラムが止めようとして、横から突き飛ばしたかたちですね」


「……………髪を噛む。坊や、何故この子の髪を噛んだりしたの?」


兵士さんが、ホークと呼ばれた馬少年に優しい声で聞いている。


「……柔らかそうで、美味しそうで、いい匂いがしたから」


「そうか。でもね、この子は馬族の子じゃないんだ、いきなりそんなことをされたら、怖がって泣いてしまうだろう?突き飛ばしたのはやりすぎだけど、従魔は主人を守ったんだ。許してあげられるね?」


「うん、ビックリしただけで、僕怒ってないよ!あのね、いきなり髪の毛噛んでごめんね!」


兵士さんに諭されて、馬少年に謝られた。


「ごめんね、馬族は噛んだり舐めたりは親愛の表現方法なんだ、この子も悪気があった訳じゃなく、君と親しくなりたかっただけなんだよ、許してくれるかな?」


「い~よ~、びっくりちたらけらし(いいよ、ビックリしただけだし)」


「ありがとう!…………奥さん、事情は分かりましたね?無駄に騒ぎにせずに、最初から話を聞けば、何の問題にもならなかったでしょう?」


「だって!いきなり息子が突き飛ばされれば、誰だって驚くでしょう!?」


「その前の息子さんの行動は見てなかったんですか?」


「それは、見てたけど、愛情表現じゃない!」


「この子は馬族では無いのだから、それが通じない事も有るでしょう?大人なんだから、その辺は子供に教育する立場だろうに。それにね、子供の喧嘩を大人が騒ぎにするのもどうかと思いますよ?」


「周りの子は大人じゃない!」


「彼等はどう見ても、貴女よりずっと若いでしょう!それに見るからに冒険者だ、余所から来た彼等に、この町の常識が通じるはずがないだろう!」


「そんなの私のせいじゃないわ!私達の町に来たなら、私達の常識に合わせなさいよ!」


「ふぅ~、ダメだな、話が通じない上に、意固地になっている。ここは私達に任せて、貴方達は行って下さい。馬族の者がすみませんでした!」


兵士さんに謝られた。

ヒステリーおばさんは、まだなんか言ってるけど、構わずこの場を離れる。

馬少年に手を振ると、ニコッと笑って振り返してくれたので、まあ良いだろう。


「とんだことに巻き込まれたね~!」


「良識ある兵士の方々で良かったですね!」


「種族ごとの習性とか常識ってのは、なかなか面倒だな?」


「確かにそうだが、町に訪問する側も、多少の知識は必要だな」


「だね~、トラブル防止のためにも、先に門の所で聞いとかないとね~!」


まあちょっとしたトラブルはあったけど、これからの町へ行く時は、ちゃんと注意事項を守って行きましょうって事で!


 街道を歩いて移動、お昼ご飯は肉を希望され、たまには米も食いたい!との希望もあり、メニューはカツ丼。卵でとじたのとソースのと両方を作った。

 皆バクバク食った。



ボス○イビーに心を奪われております!

ケータだって負けないくらいモチモチのはず!

年末のこの忙しい時期に映画を観に行くべきか悩み中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 毎話楽しく拝見しています。ありがとうございます。 一点気になったのですが、この世界だと「牛乳」では通じなくて「ミルク」だと通じるというような話がプリンを初めて作ったとき(第38部分)…
[一言] 楽しく読ませてもらっています。 牛乳の産地のウシ町でなく、隣のネズミ町でチーズを造っているんですねえ。原料生産地でなく、製品消費地での製造ということは、原料乳よりチーズのほうが持ちが悪いん…
[一言] これが牧場で家畜だったら説明があるんですが 曲がりなりにもヒト同士となると 説明しなくともわかってるだろそのくらい ということになりがちなんですかね? 下手に意思疎通ができてしまう分むしろ。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ