五日目更に続き
間違えました。。(〃_ _)σ∥
魔力測定の部屋から、ちょっと広い応接間に移って来た。
教皇猊下以外の神官?さん達は、一旦帰して、王様、宰相さんと将軍さん、教皇猊下とテイルスミヤ長官、アールスハインと助と俺。
女神が居なくなった事実を、何とか受け止めようとしているのか、皆様無言である。
空気が重いね!
ーーーピロリンーーー
空気の重さにそぐわない軽やかな音がした。
再度スマホを取り出して画面を見ると、メールの着信。
確認してみると、
❮神です!先程言い忘れておりましたが、貴方の鞄に神銀を詰めておきましたので、お手数ですが、神像を造っておいて下さい。貴方の魔力を込めて触れると、自由に形作れます。本教会に設置して頂ければ、世界中の教会に新たな神像が建ちますので、宜しくお願いします。
見本はこちら↓❯
そこには、ピースサインのギャル男神の写真付き。
……………………軽い、何処までも軽い。
この世界の人に、ピースは通じないだろうが、クソバカダ女神を処分出来た事で、浮かれ過ぎじゃ無かろうか?
良いのか?神像がピースしてて?黒歴史を刻むぞ?
まぁ良いか、本人の希望だし。
なので俺は、アールスハインの膝から飛び立ち、部屋の隅の空いてるスペースへ。
リュックをゴソゴソして、掴んだ神銀?とやらを取り出す。
デカイよ神銀!将軍一個半位の金属の塊が、20センチ位しかない俺のリュックから出て来るって、どういう事さ!
出した自分も驚いたが、周りも更に驚いている。
そりゃそうだ。
ほんのり輝いている銀の塊。
魔力を込めてみる。
粘土のようになるのかと思ったら、液体金属って感じになった。
昔、映画で見た未来型ロボットが、こんな感じで溶けたり、戻ったりしてたのを思い出す。
アワアワしながら近寄って来た助に、スマホを持たせ、ギャル男神の形を造って行く。
大学の後輩が重度のオタクで、好きなキャラの等身大フィギアを造るのを、手伝わされた事を思い出しながら、ギャル男神に相応しく、片手を腰にあて、ウインクさせたギャル男神の、目を挟むように横にしたピースを。
何時かどっかで見た記憶のある、ギャル男の写真を参考に造る。
おっさんの知識しかないが、まぁ良い感じのチャラさの有るギャル男の完成。
助からスマホを返してもらい、写真を撮って送信。
ーーピロリンーー
❮グッジョブ!!❯
俺の造った神像と同じ写真付きで、即行返信が来た。
お気に召したようで何より。
汗一つかいていないが、額の汗を拭うふりして、振り向くと、作業終了したことを理解したのか、助が、恐る恐る、
「な、なー恵太、それなに?」
「かみしゃまのー、しんじょー」
「?神様の心臓?」
「しんじょー!めぎゃみーが、こわりぇたあとにおくやちゅ!」
「ええと、女神様の後に新たにこの世界の神になられた方の神像、ということであっているだろうか?」
宰相さんが通訳してくれた。
「しょーしょりぇ!」
「この御方が、新たな我々の神なのですか?」
教皇猊下が、俺のすぐ隣から聞いてくる。
いつの間に近寄って来たの?
「しょー、ほんきょーかいにーしぇっちしゅりゅと、しぇかいじゅーのきょーかいに、おんなじのぎゃたちゅって!」
「本教会の元女神像の場所に、この新たな神像を建てれば、世界中の教会に同じ像が建つ、と?」
「しょー」
俺と教皇猊下が話してると、周りの人も寄ってきて、神像をペタペタ触り出した。
「なーなー、ケータ殿よ、俺の見間違いじゃなけりゃー、この神像って、神銀で出来てねーか?」
ペタペタしながら将軍が聞いてくる。
「しょーね」
「いやいやいや!しょーねじゃねーから!こんだけの量の神銀がありゃあ、おまっ俺んちが十軒は余裕で買えるからな!」
将軍の家がいくらするか知らんが、将軍は前に侯爵って言ってたから、まぁ結構な値打ちなんだろう。
「ふぇー」
「ふぇーって、ふぇーって!」
何か将軍が落ち込んでるが、これはギャル男神に貰った物なので、俺に言われてもね。
「…………………あー、これで新たな神も起たれた事だし、一先ず神殿の方は何とかなりそうか?」
「ええ、まぁ。何とかするしかないでしょう。流石に、女神が失格になったとは言えませんので、代替わりとでも、言っておきますがね」
「あぁ、それが無難だろうな。下手に女神が失格になった等と言えば、女神と新たな神とで教会が分裂しかねんからな」
「ええ、ですがケータ殿?が言われるように、この新たな神像を設置すれば、世界中に同じ像が建つと言うのが本当なら、それは一つの奇跡として、代替わりもスムーズに行くでしょう」
王様と教皇猊下の間で、話は纏まったようです。
そこに、い~いタイミングで、ザ・執事なデュランさんが入って来て、昼食の用意をしてくれた。
何だか皆、疲れてしまって、移動する気にならなかったので、このままこの部屋で食べる事になった。
皆が黙々と食べる中、助が、
「なーなー恵太、あれが本当に神様で良いのか?チャラ過ぎねぇ?」
「チャリャおららくて、ギャリュおな!(チャラ男じゃなくて、ギャル男な!)」
「え?それってどう違うの?」
「しゃー?れも、はだくりょかっちゃ」
「肌が黒かった?それでギャル男?」
「にゃんとにゃく?」
「あー、まー、それは良いけど、あのポーズって、神様に怒られない?ふざけすぎでしょ?」
「のりのりらッたよ?(ノリノリだったよ?)」
「え?中身もチャラいの?」
「めぎゃみーかりゃ、かいほーしゃりぇて、うかれてりゅよ」
「ええ?解放されて浮かれる程、女神って酷かったの?」
「しょーね、おとめげーむちたくて、まおーちゅくったり、まもにょふやちたり、びょーきちゅくったりちたらちいよ(そーね、乙女ゲームしたくて、魔王造ったり、魔物増やしたり、病気造ってたりしたらしいよ)」
「ええ!マジで?あぁーー、だから神様失格なのね!納得した!」
「いちばんわりゅーのは、いしぇかいちょーかんらちいよ、しぇかいこわりぇりゅじたいっちゅってた(一番悪いのは、異世界召還らしいよ、世界が壊れる事態だって言ってた)」
「あぁ、違う世界を無理矢理くっ付けて、穴開ける的な?」
「しょりぇな!たしゅきゅもおちちたな!」
「マジで!それで俺もこっち来たわけ?」
「しょーしょー」
「あぁーー、でもさ、流石にそれだけの事して、人間堕ちって、軽すぎない?」
「しょりぇはちららい」
「そーね、神様の決定だしね」
「しょーしょー」
俺と助がのんびり話しているのを、周りの人達が、物凄い形相で見てきてて、思わず助と抱き合った。
「ケータ殿、その話詳しく!」
教皇猊下、顔近いです!
「女神が望んだと言う、聖女、元聖女も言っていたが、おとめげーむとは何だ?ぎゃくはーとも言っていたが?」
宰相さんが眉間に皺を寄せて、おとめげーむやぎゃくはーって、片言で言うのが、物凄いシュールです!
「たしゅきゅしぇちゅめー」
「いやいや、俺だって詳しく知らないし!」
「ぎゃりゅげーはしりゅにょに?」
「ギャルゲーと乙女ゲームは違うでしょ!」
「えりょいか、くしゃいかにょちぎゃいれしょ?(エロいか、臭いかの違いでしょ?)」
「ええ?臭い?あぁ、台詞とか?まー、確かにそう言われるとそんな気も?」
「しぇちゅめー」
周りの圧が凄いです。
「あーハイハイ。えー、乙女ゲームと言いますのは、前世にあった、主に婦女子達が楽しむ娯楽の事で」
「すみません、先程からの様子を見れば大体想像は付きますが、確認しても良いですか?そもそも、何故ティタクティスが、ケータ殿の前の世界の事を知っているのでしょう?」
テイルスミヤ長官が、何故か片手を挙げながら質問してきた。
そう言えばテイルスミヤ長官は、途中参加でした。
教皇猊下も、助が前世持ちとは知らないだろうし。
「あぁそうだな。教皇猊下にも説明をせねば。
先ずは、元聖女が現れた時に、巻き込まれる形でケータ殿もこの世界に来られたのは、教会にも報告したので知っておられるだろうが、ここにいる辺境伯が第五子、ティタクティスも、実は女神の聖女召還に巻き込まれ、この世界に来た事が判明した。
時間的なずれがある理由はまだ分からんが、ケータ殿がこの世界に現れたのと同じ頃に、ティタクティスも前世の記憶を取り戻したそうだ。それと同時に鬼属への覚醒もしている。
ティタクティスは、ケータ殿とは前世の幼馴染みだったそうだ」
「だから彼がここにいるのですね、納得しました。ティタクティス続きをお願いします」
「ハイ、えー、先程も言いましたが、元々婦女子が楽しむ為の娯楽なので、私も恵太も詳しい所は分からないのですが、基本的に恋愛小説のようなストーリーに沿って話が進み、その物語に出てくる見目麗しい異性との、恋愛の駆け引きを、取捨選択しながら話を進めて行くもので、登場人物の異性の数だけ様々な結末が用意されている。といったものです。
逆ハーとは逆ハーレムの事で、この国で言えば、一妻多夫の状態です」
「「「「「……………………………………………」」」」」」
一同無言です。
そりゃそうだろう、今まで崇め奉り、時には救いを求めてすがり付いた相手が、自分勝手な趣味の為に、何度も世界を危機に陥れて来た張本人なのだ。
「……………………ケータ殿、ケータ殿が実際に見て、次にこの世界の神となられた方は、どう思った?」
王様の重々しい声には、多分な不安が滲んでいる。
「らいじょーぶ、ちゅぎのかみしゃまは、しゅごきゅまじめ(大丈夫、次の神様は凄く真面目)」
「そうか………真面目か」
「ちゃーとしぇかいのこちょ、かーがえてくりぇりゅよ!めぎゃみーおいだちたち!(ちゃんと世界の事、考えてくれるよ!女神追い出したし!)」
見た目はあれだが、女神の行いに心底腹を立ててたギャル男神ならば、今後のこの世界は、安泰だろう…………………たぶん。
召還聖女を一人見逃してたりするけど、たぶんね。
俺の太鼓判に、どの程度威力が有るかは知らないが、大人達の顔に、取り敢えずの不安の影が薄らいだ。
「……そうだな、女神を処して下さった方だ。信頼して大丈夫だろう」
自分に言い聞かせるように、ちょっとトーンを上げた声で言うので、
「しょーしょー、らいじょーぶらいじょーぶ」
軽く返事しといた。
他の皆も、多少顔が明るくなったので、大丈夫だろう。
良かった、ふざけたクソバカダ女神のせいで、世界全体が無神論者にならなくて。
前世、敬虔な信徒ではなかったし、神様を意識するのは、冠婚葬祭くらいだったけど、本人に会っちゃったら、否定するわけにもいかないしね!何か力とか貰っちゃったし!
ーーピロリンーー
メール着信
❮グッジョブ!
そんな貴方に追加で鑑定眼をプレゼント!ついでに今ならその場にいる者達に破邪の眼を付けときました!❯
…………………………………………ギャル男神、クソバカダ女神追い出せて浮かれ切っておる。
まぁ良いか、後悔するの俺じゃ無いし。
「にぇーにぇー、かみしゃまがー、はじゃにょめーくりぇりゅって(神様が、破邪の目くれるって)」
「破邪の眼?!それは本当ですか!?」
教皇猊下の食い付きが半端ない!後顔近い!
教皇猊下に確認された途端、皆の目がビカッビカッと二回光った!
「おお!何か皆の目が光ったぞ!」
「こ、これが破邪の眼?!」
「?何が変わったんだ?」
王様、宰相さん、将軍の声。
俺は、視界に文字が浮かび、それを読むのに忙しい。
成る程、鑑定眼。
とても視界が五月蝿い。
部屋の隅に置いてある壺が、❨壺・高いよ!❩とかいらない。
他にも、❨王様・国で一番偉いよ!❩とか❨教皇・教会で一番偉いよ!❩とか。
鑑定眼と言うよりも、神の感想眼?何度か目を擦って瞬きすると、文字の大きさを変えられた。
文字を注視すれば、大きさを調節出来る。
破邪の眼は、邪悪なものを見分ける眼だそうです。
この場には特に、邪悪なものが無いので反応しないそうです。
その辺の事を話し合ったら、解散になりました。
と、言うことで、乙女ゲーム終了のお知らせ。
ザマーミロ!ダ女神!と、ビッチ女!
何かとてもスッキリした!俺は何もしてないけどね!