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闘技大会 1

いつも読んで頂いて、ありがとうございます!

誤字報告、大変助かっています!

日本語って難しい!

 おはようございます。

 今日の天気は曇りです。

 明日からの闘技大会を目当てに、多くの人が集まっているのか、街に人が多いです。

 宿で肉々しい朝食を食べ、られず、芋とスープだけを食べて、今はラバー商会ジュボーダン支店に来ています。

 夕べ宿に届いていた手紙に、肉の処理方法を実際に見せて欲しいと書かれていたからです。

 指定通り裏から入っていくと、ひょろっとした見た目の、穏やかそうな男性が出迎えてくれました。


「ああ!坊っちゃん!来てくれたのですね!」


「どーしたのシューリアス、十日位前に来たときは、何とも言ってなかったのに~?」


「どーしたのじゃありませんよ!何故リス町とイヌ町では、高級肉を広めたのに、この街には教えてくださらないのですか?!お陰で恥をかきました!」


「恥?」


「リス町のレストランで食べた料理は出ないのかと、昨夜、我が宿に泊まった客に言われました!同じラバー商会の宿なのにと、馬鹿にされました!」


「あー、それはごめん。なんて言うか、流れで料理する事になって、ついでに教えたからさ~」


「それならば、まずはこのジュボーダン支店で披露するのが筋では?」


「ごめんて~。こんなにすぐに広まるとは思ってなかったんだよ~」


「獣族の食欲を甘くみてはいけません!奴らは素材そっちのけで肉を確保する種族ですよ!そのせいで、必要な素材がなかなか集まらないんですからね!」


 イヌ町の副隊長の言葉は、洒落では無かったらしい。

 そしてこのひょろっとした男性は、獣族街方面の総括部長とか言う、そこそこ偉い人だった。

 宿屋の主人かと思ってた。

 総括部長のシューリアスに急かされて、肉屋の店主と宿屋の主人を紹介されて、早速肉の解体へ。

 俺達の事は軽く挨拶をしただけでスルーされた。

 長々と挨拶されても面倒臭いから良いけどね。


 ディーグリーが主体に、助が手伝いながら肉の解体。

 食い入るように見ている肉屋と宿屋。

 獲物は鹿と猪の魔物。

 慣れたもので、解体はサクサク進み、肉の塊がドドンと置かれる。

 すかさず宿屋の主人が肉を切り分け焼いていく。

 ここは俺も口出ししますよ!旨い肉を食いたいからね!

 通常の肉の様に丸焦げにされてはたまりません!

 鹿肉はステーキ、猪肉は生姜焼きにして、いざ実食!

 柔らかい肉はうんまいね~!

 皆の顔も満足そう。

 総括部長のシューリアスと肉屋店主と宿屋主人の顔が凄い蕩けてだらしない顔になってる。

 完食してお茶を飲んでると、正気に戻った三人が、何故もっと早く教えなかった!と、猛抗議してきた。

 ディーグリーが、ゆる~く謝って流した。

 もう一度最初から、肉屋店主と宿屋主人が肉の解体をして、アドバイスして、やっと納得して解放された。

 これで文句は言わせない!って総括部長が息巻いてた。

 総括部長に、リス町の味噌とネコ町の鰹節を紹介して別れた。

 柔らかい肉が出るなら、宿屋を変える話も出たけど、伯爵の紹介の宿を簡単に変えるわけにもいかず断念。残念。

 肉屋店主と宿屋主人の解体した肉も味見して、腹がパンパンになったので、今日は固い肉の夕飯は要りません!

 終わったのは夕方だったので、街をブラついたら、帰って寝ます。


 獣族の街は、公衆浴場が少なく、井戸で体を洗うのが主流。

 洗浄魔法もあるけど、ちゃんと体を洗った方がさっぱりした気分になれる。

 町中には細い川が所々流れているので、川で水浴びをする人も多数。

 女性用にと、川を囲っている場所も多数。

 男性が近寄るとボコられるので要注意。

 これはクラックが、一番最初に教えてくれたこと。

 他の町でも同様で、これは獣族特有なのかと思ったら、人間族の町にもあるんだとか。

 全然気付かなかった!

 まあ、俺のこの姿で近付いても、ボコられる事は無いだろうけど、大人なので、モラルに反する覗きなどはしませんよ!



 おはようございます。

 今日の天気は、薄曇り。

 闘技大会当日です。

 朝御飯を食べたら、まずは伯爵邸に行って、羊な執事さんにチケットをもらって、闘技大会会場へ行きます。

 羊な執事さんが取ってくれたチケットは、結構良い席だけど、ちょっと裕福な商人や、高ランクの冒険者なら買えるくらいの席。

 気を使ってくれた模様。

 席に座って始まるのを待つ。

 解説はクラック。


 コロッセオ的な会場の、始まる前の顔見せの為に、舞台に上がった選手の中には、知った顔がありました。

 トリ町のリードリー隊長、イヌ町のミルコ隊長、ネコ町のニクス隊長。

 ほぼ全員くらい獣人の中で、ど真ん中で仁王立ちする美少年な、ニコラス隊長。

 周りがかなり体格の良い獣人ばかりの中で、一際小さくそして人獣なニコラス隊長は、凄く目立っている。

 何故か満面の笑みで、観客に手を振っているし。


 この闘技大会は、各町ごとに一名選出され、武を競う大会で、戦闘の苦手な種族は、別の町の代表を推薦して参加費や宿泊費を援助するそう。

今年は違うけど、四年に一回の本大会と呼ばれる闘技大会では、人獣の街ジュボーダンの伯爵の座を巡っての戦いが行われるらしい。

 四年に一度、防衛出来なければ伯爵が変わるらしいよ。

 大統領選挙を、拳で決める的な?

 強いものには従う的な?

 素晴らしく脳筋な思想ですこと。

 そこに統治能力はあまり関係ないらしい。

 事務方は変更不可なので、それで良いそうです。

 そして、伯爵を名乗る時は、全員ジュボーダンと改名するんだとか。

 元々の名前は伯爵になったら名乗らず、伯爵辞めたら戻しても良いとか。

 そんな脳筋な獣族に取って、この闘技大会は、次代の領主を見極める意味もあって、大変人々の関心を引く。

 熱狂も半端ない。

 人獣の街の領主が、獣人でも良いのか?って思うんだけど、そこは脳筋、強いものには従うそうです。

 ただし、現伯爵のジュボーダン様は、現在三度の防衛に成功していて、大変人気で信者?も多いらしいよ。

 確かに強そうだけどね!

 だからこそ、肉体強化は人獣の希望!みたいに、大熱狂されたんだろうね。


 顔見せも終わり、選手が下がって行って、舞台全体にバリアが張られる。

 全部で三十五人の選手は、五人ずつの組に分けられ対戦。

 一日目が四回戦が行われ、二日目は三回戦。

 三日目の最終戦で、七人が一斉に戦うそうです。

 一対一とかではないのね。


 最初の組には知り合いは無し。

 牛、馬、虎、羊、兎の獣族の対戦。

 虎はネコ族では?と思ったけど、虎やライオン、ジャガーとかの大型猫科獣人の町は、また別にあるそうです。

 舞台に上がった選手達に大きな声援が送られ、それぞれに観客に応えてる。

 ピーーーーっと笛の音が鳴ると、互いに向き合う。

 もう一度ピーーーーっと笛が鳴って、戦闘開始。


 牛と馬の獣人の戦い方は似ていて、斧を振り回し、敵を近付けずに薙ぎ倒す戦法。

 虎獣人は、持ち前の爪と牙で攻撃、羊獣人は、周りを良く見ていて、隙を見付けると突進して角で体当たり。

 兎獣人は兎に角、動き回って相手を撹乱する感じ。

 意外と武器は使わない獣人が多い。

 人間とはまるで違う戦い方は、見ていてちょっと楽しい。

 勝敗は、舞台から落ちる、または戦闘不能、武器を持ってる場合は、使用不能になると負け。

 分かりやすい。

 そして勝者は馬獣人。

 決め手は武器では無く、後ろ蹴り。

 斧を杖がわりに、後ろに回った獲物を両足で蹴り飛ばしてた。

 同じ武器の牛獣人の方が力は強そうだったのに、斧を全然使わずに勝ってた。

 強そうだった虎獣人も綺麗に飛ばされてた。


 二回戦目は、鼠、熊、狐、狸、そして鳥族のリードリー隊長。

 鼠獣人は、のへーっとしたカピバラのような顔をした獣人で、顔に似合わず素早い動きで、尻尾を使った攻撃をしてた。

 狸と狐の獣人は、水と風の魔法玉を使い、熊獣人は爪と牙で攻撃。

 リードリー隊長は、鉤爪と嘴での攻撃。

 ちょっと飛んで直滑降のように嘴で攻撃するリードリー隊長の勝利。

 何時もより胸を張っております。


 三回戦は、蛇、キリン、サイ、ハイエナ、犬獣人のミルコ隊長。

 蛇獣人が攻撃開始と同時に毒霧を吐いて終了。

 ミルコ隊長は大剣を抜く暇もなかった。


 四回戦は、猫族のニクス隊長とリス族のニコラス隊長、猿、豚、山羊の獣族の対戦。

 猿の獣人は機動力を活かし、両手剣で戦い、豚獣人は槍、山羊獣人は角とへの字型のブーメラン。

 ニクス隊長は長剣を持ち、ニコラス隊長はメリケンサックかな?

 ニコラス隊長の頬っぺたが異様に膨らんでいるので、そこにも何か有るのだろう。

 開始直後にそれは見事な命中率で、口から木の実を飛ばし、相手の目潰しをしたニコラス隊長が、尻尾を支えに両足蹴りで、ニクス隊長以外を場外に落とした。

 ニクス隊長は、目潰しは当てられたが、気配で避けて無事だった。

 一対一の戦いは、剣でニコラス隊長の尻尾を半分切り落としたニクス隊長の勝ち。

 尻尾を切られた時に、会場から凄い悲鳴が上がった。

 まあ、毛の部分だけだったらしく、ニコラス隊長はピンピンしてたけど。


 本日の対戦は終了。

 盛り上がってたし、思いがけない戦い方を見られたし、満足なんだけど、お腹がすいた!

 会場内で物売りの人も居たし、会場の外では露店も並んでるんだけど、食えるものが無い!

 獣族の主食である茹で芋ばかりでは、満足出来ませぬ!

 なのでディーグリーの権力を使って、ラバー商会に突撃。

 従業員用の調理場を借りて、唐揚げを大量に揚げております。

 助が塩唐揚げ、ディーグリーが醤油唐揚げを。

 だって、従業員が物凄い覗いてるんだもの!

 獣族街総括部長のシューリアスさんなんか揚げてる調理場の真っ正面に仁王立ちしてめっちゃメモってる。

 凄い質問してくるし!

 結構な量のドードー肉が、全て唐揚げになりました!

 俺が余裕で三人寝転べる大きさの皿二つに、てんこ盛りの唐揚げ。

 俺はこそっと端っこで、アールスハインと鶏ハムを作ってました!

 必要な分だけ確保したら退散します!

 目を血走らせた従業員の争いには参加しませんよ!

 宿に戻ってスープだけ貰って、部屋で食べます。

 お客の前では出しませぬ!

 芋ではなく、ご飯を出してモリモリ食べました。

 久しぶりの唐揚げに、皆満足そうで何より。

 井戸で体を洗ったら、本日は終了。

 おやすみ~。




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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
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