ネコ町
誤字報告、感想、ブクマをありがとうございます!
それ程歩く事無くネコ町に到着。
なにせ隣接してたからね!
一応、木で出来た柵はあったけど、町と町の行き来は自由みたい。
街道から町に入る時は、検査と身分証の提示が必要だけど。
ネコ町も、リス町と同程度の広さで、ただ、ネコ町の人獣さんは、身長の大小が様々でした。
獣人さんも様々。
たまに町角の軒下で、子猫の人獣、獣人入り乱れて団子になってお昼寝してるのは、見ててほのぼのする光景。
ユーグラムがいちいち足を止めて、ハワハワしながら、無表情で花を飛ばしまくってた。
ネコ町にも関わらず、普通に案内をしてくれているニコラス隊長。
馴染みのガリガリ屋さんを紹介してくれるそうです。
ガリガリ屋さんは、お菓子兼酒のツマミを売るお店だそうです。
十分も歩かずに露店に到着。
しなやかな体躯の、スラリとしたイケメンなネコ人獣な店員の店。
「よ、テール、お客さん連れてきたよ!」
「こんちわ~ニコラス隊長!隊長がお客さん連れてくるって、何か特別なお客さん?」
「うん!今までに見たこともない料理を食べさせて貰ったんだ!すっっごい旨くてさ~、その料理にガリガリを使ってたんだよ~」
「へー、ガリガリを料理にねー?」
疑わしそうな顔の店員さんに、
「めっちゃ旨かったからな!」
ニコラス隊長が必死に言うが、
「ガリガリの料理なんて、リス町とネコ町の住人しか食えないんじゃないの?」
「いやいやいや!固いまま使わないから!」
「ふーん」
現物が無いので、いまいち説得力も関心も無い様子。
それよりも選んで良いですか?
露店には、お菓子類とガリガリが半々で並んでいるが、魚の種類によって、何種類かあるガリガリを、手にとっても良いだろうか?
「ねーねー、しゃわっていー?」
「んえ?なんだい?」
「これは触っても良いですか?」
「ああ、勿論構わないよ!」
では早速。
何種類か有る物を、全部触って匂いを嗅いでみる。
鰹節独特の匂いを発見!
「こりぇください!(これください!)」
「ハイハイ、ありがとう!一個で良いかい?」
「んーん、じぇんぶ!」
「じぇんぶ?え?全部ってこと?」
「しょー!」
「ええ、こづかい足りるかい?」
「ケータおきゃねもちよ!(ケータお金持ちよ!)」
「ええと、良いのかな?」
店員のお兄ちゃんが、アールスハインの方を見て確認してる。
アールスハインが頷けば、鰹節を数え出した。
「ええと、全部で五千グリーだけど…………」
「あい!」
バッグから取り出した小銀貨を五枚渡すと、
「ええ!赤ちゃんにこんな大金持たせちゃ、危険だろう!」
怒られた。アールスハインが。
「いや、この子は人間の赤ん坊に見えるが、妖精族の突然変異だから、あんたよりも年上だ」
「う、うっそだー!こんなちっちゃくて可愛いのに?!」
「よんじゅーよんたいよ!(四十四歳よ!)」
両手で四を作って見せたら、ニコラス隊長までが、目を真ん丸にして驚いている。
アールスハイン達は笑ってるし。
ちょっと皆さん失礼じゃない?
まあ、慣れてるので気にしないけど、それよりも、
「ねーねー、もっとーにゃいの?(ねーねー、もっとないの?)」
「え?えーと、まだ足りないの?」
「うん、もっとほちい!」
「えー、君が選んだのは、あんまり人気無いから、今日はこれだけしか持ってないよ?」
「ほかのおみしぇに、ありゅ?(他のお店にある?)」
ニコラス隊長に聞いてみたら、
「あー、たぶん無いかなー?なんせ人気無いから、うちは、たまに物好きなお客さんが来るから、一応置いてるけどさー」
店員さんが答えてくれた。
鰹節人気無いってさ!
「どこいったりゃ、かえましゅか?」
「ええ?」
「他に売ってる所や、製造場所は教えて貰えますか?」
ディーグリーが通訳してくれる。
「そんなに気に入ったんだ?」
ニコラス隊長が、苦笑いしながら聞いてくるのは、人気の無い商品を爆買いしようとしてるせいだろう。
「ああ、ケータの料理には、こっちの方が馴染むんですよ」
助がフォローしてくれる。
「ふーん、人間族って、変わってるねー?製造元は、ゲム爺さんの所だけだから、ニコラス隊長に案内してもらうと良いよ!」
「ありあとー!」
お礼を言って露店を後にして、ゲム爺さんの所に案内してもらう。
ゲム爺さんの家は、町の外れにポツンとあって、それだけで、ちょっと変わり者な雰囲気を醸し出している。
頑丈そうな木のドアを、ニコラス隊長が力一杯叩き、
「ゲム爺さーん、いますかー?」
と、叫んでいる。
すると中からドスドス歩く音のあと、
「なんじゃー?」
とダミ声と共にドアが開いた。
ゲム爺さんは、岩のような筋肉の巨人だった。
「こんにちは~、ゲム爺さんのガリガリを買いたいってお客さんを連れてきたよー!」
「…………………ニコラスが直接にか?」
「そう、ジュボーダン様の知り合いで、案内を頼まれてね!」
ニコラス隊長と話ながら、ゲム爺さんが、ギロリ、って感じで見てくるんだけど、これ、威圧してるように見えて、本人は普通に見ただけなやつだろう。
冒険者になってからは、色々な種類の強面を見てきたので、特にビビリはしませんよ!
「こんちゃ~!がりがりくらしゃい!」
「んん?」
「ガリガリ売ってくださいって、言ってますよ!」
ニコラス隊長が通訳してくれた。
「……………どれくらいいる?」
「おとにゃよー、ひゃくー」
「大人用のガリガリを、百欲しいです」
今度はアールスハインが通訳。
「………………俺は、食わんもんには、売らん!」
「んう?くーよ?」
「百を全部か?」
「おともらちにも、おくりゅよ?」
「友達にも送ると言ってます」
「………そもそも、人間族には、ガリガリは固くて食えんだろう?ツマミ用のガリガリは特に固い、それをどうする気だ?煮たところで、柔らかくはならんぞ?」
子供用ガリガリは荒節、大人用ガリガリは、本枯節に近い感じの物。当然固い。
鯖節に比べて、鰹節は更に固い。
とても疑わしそうな顔で睨まれている。
ならば見せましょうか?
まず、どんぶりを用意します!
それをゲム爺さんに持たせ、お昼に炊いたご飯を盛ります、そしてその上に、さっき露店で買った、大人用ガリガリをカッターでうすーく削ぎます。
サラサラとご飯の上に積もる鰹節。
だいぶ気を付けてうすーく、削いだので、ご飯の湯気でフヨフヨ踊ります!そこに醤油を一回しかけて、猫まんまの完成!
箸は使えないだろうから、スプーンを渡してやると、作ってる間ずっと鼻をヒクヒクヒクヒクさせてたゲム爺さんが、血走った目をグワッと見開き、牙の生えた口をガバッと開け、掻き込むように猫まんまを食い出した。
一瞬で無くなった猫まんま。
猫獣人なゲム爺さんなら、好きかなー?と思ったら、予想外の食い付きでした!
食べた余韻でホワ~っとしてるゲム爺さんを見て、顔を引き攣らせながら、
「ね、ねぇ、さっきのガリガリご飯は、そんなに美味しいの?なんかゲム爺さんの様子が変だけど?」
ニコラス隊長が聞いてくるのに、
「あの料理は、猫まんまって言うくらいなんで、猫獣人にはなかなか人気なんだと思いますよ」
助がこそっと答えた。
ニコラス隊長が妙に納得した顔でウンウン頷いてる。
こそこそ話してる内に、ゲム爺さんも正気に戻り、ゴホッグフッと咳払いの後に、
「百だな、ちょっと待ってろ」
と言って家の中に入っていき、暫く待つと、麻袋いっぱいの大人用ガリガリを持ってきた。
ついでにどんぶりとスプーンが洗われて返ってきた。
「ほれ、料金は2万だ」
乱暴に差し出された麻袋、どう見ても百以上入っているし、百の値段としてもかなり安い。
差し出しながら、そっぽ向いてるゲム爺さん。
照れてんの?と突っ込みたいが、ここは敢えて指摘せずに、にこやかに料金を払いバッグに仕舞う。
「ありあとーごじゃます!」
笑顔でお礼もちゃんと言いますよ!
「おう、ありがとよ。…………………ところで、さっきのあれはよ、俺が勝手に真似しても良いもんか?」
「いーよー」
「誰かが、作り方を売ってる料理じゃねーのか?」
「それは全然大丈夫ですよ。料理って程難しい物でもないですし、誰でも真似出来ますから」
「そ、そうか?そんで、あの黒いソースは、人間族の町でしか買えんのか?」
「あれはショーユと言うソースで、ラバー商会のお店ならば、だいたい売ってますよ!俺もラバー商会の行商してるんで、少しなら売れますけど?」
「おう、売ってくれ!」
途中から話に入ってきたディーグリーが、商売を始めました。
ゲム爺さんの食いっぷりを見て、醤油が売れると確信しての事だろう。
何故かつられてニコラス隊長も買ってるし。
米とショーユを大量買いしたゲム爺さん、米とショーユと大人用ガリガリも買ったニコラス隊長。
猫まんまに興味津々ね!
ゲム爺さんには、薄く削ぐコツを教えて別れました。
その後は町をブラブラして、ディーグリーが、ラバー商会ネコ町支部で、ショーユと米を補充して、これからはちょっと多めに米とショーユを仕入れると良いよ!ってお店の人にアドバイスして、露店を冷やかして、ニコラス隊長お薦めの宿を取って、明日には別の町に行く予定を告げて、ニコラス隊長とお別れ。
宿で出された食事は、川魚が中心のメニューと芋でした。




