カッパ族をお助け
誤字報告、感想をありがとうございます!
宿の近くまで戻ってきて、ユニコーンやバイコーンの放牧場?で、やたら楽しそうに走る人間の体に馬顔の子供達、そして二足歩行なのに、体も顔も馬の獣人なユニコーンやバイコーンの子供達を見て。
グリフォンが、草原で伸び伸び寝てるのに、尻尾だけ激しく戦闘中なのを見て。
ぼんやりと歩いてると、前世サイズの狸の集団が、頭に葉っぱを乗せて、次々変身するのに感心して、失敗してるのに笑って、プラムが乱入して、変身出来ない事に落ち込んでるプラムを慰めて。
川沿いの道を遡ると、岩人間?を発見。
種族を聞いてみると、ストーンマンと言うそのまんまの名前。
石を主食にする種族で、気性は穏やかで、争いは好まず、自然の豊かな水辺に集団で生活するそうです。
まぁ、穏やかなだけで、戦闘が苦手なわけでは無いらしいけど!
思ったよりも、滑らかに動けるし!
擬態が得意な種族だそうです。
あと、食べる食事によって、体の組成が変わるそうです。
金ばっかり好んで食べる、金ピカのストーンマンもたまに居るとか。
本日はこれで終了。
まだまだ見たい種族は多いけど、宿の夕飯の時間だからね!
宿の夕飯は、サラダとスープ、芋でした。
おはようございます。
今日の天気は霧。
と言うか、町全体が薄い霧に覆われてる感じ。
これはそれぞれの種族の幻術が、ぼんやりと景色を霞ませてるそうです。
昨日の川沿いの道を更に遡ると、水源だろう大きな湖に到着。
何か居るかな~、と覗いて見れば、居ました!人魚が!
ええええー居るんだー!と感心してれば、ザブンと出てきた人魚は、前世の物語に登場するような、人間の上半身に、魚の下半身で間違いないんだけど、全体にノペッっとした、凹凸のない、はっきりとしない印象の生き物でした。
美人なお姉さんの半裸を想像してた訳じゃないけど、ちょっとガッカリしたのは内緒。
「人間とは珍しい。ここに何をしにきた?」
「観光に来ました」
「観光?」
「珍しい物が多く見られると聞きまして!」
「人魚の血や肉を求めてではなく?」
「何のために?」
「人間の間では、不老の秘薬に使われるとか」
「それは知りませんでした」
「そうか、我々人魚を傷付ける目的でないなら、攻撃はすまい」
「本当に、ただの観光です!」
「そうか、ならば好きに見て回るが良い」
「ありがとうございます!」
トプンと水に沈む人魚。
意外と攻撃的?!
まぁ、血や肉を求められたら、そりゃ戦うか。
受け答えしてたディーグリーも、気難しい貴族を相手にしてた時みたいになってたし。
満々と水を満たした湖は、それだけで美しく、動物達の憩いの場にもなってる様子。
その湖からは、たまに人魚の子供だろう、小さな頭がプカリプカリと浮いては沈んでいく。
暫くぼんやりと景色を楽しんだ後は、湖をぐるっと回り込んで、流れ出る支流に沿って歩く。
森の中を歩いているので、歩くスピードは遅い。
その分緑の匂いや、ひんやりとした空気、時々響く美しい鳥の声等を堪能しながら散歩気分で進む。
俺とプラムはソラに乗ってるから、更にのんびりしてるけど。
「ヤヤヤ!ヤヤ!」
プラムが何かを発見したのか、頻りに俺の脇腹の生地を引っ張っている。
「にゃにかいた~?」
プラムの指差す先を見ると、木々に隠れてはいるが、水面が見える。
フヨッと飛んで上から見ると、池?しかも何か生き物も居そう。
その事を皆にも報告して、そっちに向かう。
見付けたのは、大きな水溜まり?
湖からの流れを、人工的に塞き止めて、石のゴロゴロ転がった水溜まりを作ってる感じ。
人工的に作った、川原ってのがしっくりくる。
そしてそこにいるのは河童。
川原に河童って、一気に和な雰囲気に!
「こ、こんにちは~」
見たこともない種族相手に、ディーグリーの腰が若干引いてる。
「ああ、おう、こんちは。人間とは珍しい。何か用かい?」
「ええと、俺達は観光に来た、冒険者なんですけど、貴方達の種族は何ですか?」
「おう、そうかい。俺らはカッパって種族さ、まぁ、水辺に住むだけの、大して役にも立たない種族さ」
はぁーーーー、とため息と共に説明されるが、何でそんなにやさぐれているんですかね?
「…………あの、間違ってたら申し訳ないのですが、カッパと言う種族は、子玉を産み出すのでは?」
ユーグラムが恐る恐る聞いてみると、
「…………ああ、よく知ってるな。確かにちょっと前までは、俺達の産み出す子玉で、そりゃーウハウハだったがよ、最近はめっきり子玉を産み出す事が出来やしねーんだ」
「ご病気か何かで?」
「病気じゃねーよ。単に、聖魔力がたんねーのさ」
「聖魔力?」
「おう、以前は、ユニコーンや人魚、ストーンマンなんかが分けてくれてた聖魔力が、最近じゃ自分の体を保つ分だけで、俺らに分ける分は残ってねーとよ。お陰で、俺らも子玉が溜まって体調が優れねーの何の」
はぁーーーーーされた。
緑の体に、背中には大きな甲羅、頭には皿、嘴の黄色が妙に鮮やかなカッパさんは、とても煤けた中年オヤジのよう。
幻獣族の町では、その希少な種族特性を活かし、様々な素材を販売する事でお金を稼いでいる。
例えば、ユニコーンやバイコーンなら、二年に一度生え替わる角が、良薬の素材になるし、グリフォンの羽根は、貴婦人の扇子の素材に、ストーンマンが稀に産み出す希少な石は、魔石よりも魔力を沢山貯められるとか、人魚の鱗は傷薬の特効薬とか。
で、カッパ族は子玉と言われる玉を産み出し、その玉を加工した薬を飲み込んだ夫婦は、同性でも、種族が違っても、子供を授かる事が出来るんだとか。
前世の河童は、人間から尻子玉を奪い、溺れさせる怖い生き物だったのに。
ファンタジー世界は不思議がいっぱい!
そう言う事なら協力しますよ!
「せーまりょく、ありゅよー(聖魔力有るよ)」
「本当か!分けてくれんのか?!」
「いーよー」
「そりゃありがてぇ!皆にも知らせて良いか?」
「いーよー」
「おい!おーい!皆!聖魔力くれるってよーーーー!」
煤けたオヤジが、嬉々として叫べば、ワラワラと出てくる出てくる、カッパの群れ。
五十人近く集まったカッパさん達は、期待にギラギラとした目を向けてくる。
ユーグラムに。
ユーグラムたじたじ。
「早速頼むぜ!」
なぜユーグラムを見る!
困ったユーグラムが、俺をカッパさんに向けて抱っこしました。
仕方がないので、聖魔法玉を作ってやりました。
聖魔力は、直接送り込む感じだけど、聖魔法玉なら、直接食べられるからね!
皆さん聖魔法玉に釘付けです!
「全員の分有りますが、順序良く並んでもらわなければ、お渡し出来ませんね!」
ユーグラムが言えば、ズザッと一瞬で、綺麗な一列になった。
「ケータ様、お願いいたします」
無表情なのに、目が笑顔全開って、器用な顔のユーグラムに促されて、一人一個づつ聖魔法玉を渡していく。
渡された順に食べて、グオッと仁王立ち、空に向かってのけぞる。
「フハハハハハッ!キタキタキターーーー!!」
そして何と、頭の皿からブクブクブクーーーっと泡のように溢れ零れる何か。
まぁあれが子玉なんだろうけど。
量、多くない?溜まってたって言ってたけど、カッパさんにとって、子玉ってどういう扱いなのか気になる。
そこら中に溢れる子玉。
昔ニュースで見た、消火剤が誤作動起こした映像みたいになってる。
子玉に埋もれて、清々しい顔をしてるカッパさん達。
日が当たると硬化するのか、子玉は、不透明なビー玉みたく潰れたりはしてない。
拾うのがまず大変そう。
子玉の管理、販売は教会の専属なので、ユーグラムがフフフフフってしてる。
その後正気に戻ってもハイテンションなカッパさん達が、物凄い働きで子玉をかき集め、大量の箱に詰めて、ジュボーダン街の教会に届けると言う。
ユーグラムが教会に宛てて手紙を書いてた。
内容は、定期的に聖魔法を使える神官を派遣すれば、安定的に子玉が入手出来るかも?って事らしい。
カッパさん達も大賛成。
カッパさん達に取っては、子玉を産むのは、ゲップのような扱いらしい。
出さなくても死なないけど、スッキリしない、みたいな。
今回みたいな量は流石に出ないけど、定期的に聖魔法を得られれば、一定量は確保出来るようになるそうです。
人口の少ない世界なので、これで少しは増えると良いね!
大量の子玉を回収して、カッパさん達は、意気揚々と人獣の街へ出掛けて行った。
手伝ったお礼に、川魚の塩焼きを大量にご馳走になった。
あと、聖魔法玉のお礼に、川岸に生える、希少な薬草を大量に貰った。
町の外で売ると、高値が付くらしいよ。
夕方まで掛かった片付けも終わり、宿屋へ帰って本日は終了。




