いよいよ?
誤字報告、感想をありがとうございます!
別室には、学園長、カイル先生、チチャール先生、テイルスミヤ長官の何時もの?メンバー。
こんなに間近で接する機会のないアールスハイン達に浮かれてる元女神が揃い、
「さて、状況を説明してくれるかい?」
学園長の低い声に一瞬ビクッとした後、元女神が、
「はい、あの、パーティーに出席していたら、突然魔物が現れて!私は、皆さんを守らなきゃって思って!必死に戦って、なんとか倒しました!」
さも自分の手柄で有るように満面の笑みで宣う元女神。
教師陣の視線は疑わしげ。
「彼女はこう言っているが、事実かね?」
低い声のままアールスハインに聞く学園長。
「いえ、一応彼女も戦う姿勢は見せてはいましたが…………………悲鳴を聞いて私達が駆け付けた時、マンイーターと思われる魔物は複数の生徒に攻撃を仕掛けていましたが、一番近くに居た彼女には一切攻撃を向けませんでした。避難誘導し、ホールの安全を確保した後は、一切攻撃する素振りも無く、半分眠っている様な状態でした」
「半分眠ってた?」
「その様に見えました」
「その間彼女は攻撃を続けていたのかね?」
「はい、レイピアと魔法玉での攻撃を」
「それでも反撃せずに?」
「はい」
「…………………そうか、それで?その後どうやって倒したのかね?」
「あー…………………マンイーターと思われる魔物は、背中に触手を生やし、その触手から瘴気の様な物を撒き散らしていたので、倒す際に更に被害が出ないように、ケータがバリアで囲い込み、…………………………」
「グフッ、ブフッ」
シェルが途中で笑いだした!ここは我慢しなきゃ!アールスハインがとても言いづらそう。
教師陣が訝しそうにシェルを見た後、
「それで?」
「あー、えーと、鼻くそを飛ばして、爆破しました」
「グブーーーッ、フハッ!し、失礼しました」
「なんて?」
「あー、ですから、ケータが、鼻くそを飛ばして爆破しました」
「鼻くそ」
学園長が真面目な顔で鼻くそとか言うから、ソファ裏に立ってたシェルが崩れ落ち、ソファの影で痙攣しております!
「「「「「「……………………………………」」」」」」
無言で見るの止めて下さい!
「グフッ………………鼻くそ、ブハッ!ギャハハハハハッ!なんだそれ!意味わかんねー!鼻くそって!ギャハッギャハハハハハ」
カイル先生が爆笑しだした。
テイルスミヤ長官も釣られて笑いだし、チチャール先生が困った顔をしながらも笑って、学園長が眉間に深い皺を作ってる。
暫くの間、爆笑が部屋に響き渡っていたが、バンッと机を叩き立ち上がって、
「なんでですか!魔物を倒したのは私よ!手柄を横取りするつもり!」
物凄い形相で俺を睨んできた元女神の声で、場がシンとなる。
「あんなこーげち、いみないだん(あんな攻撃、意味ないじゃん)」
「なんですって!何言ってるか意味分かんないのはあんたの方よ!子供は黙ってなさい!」
見た目幼児な俺に、唾を飛ばして怒鳴り付ける女のなんと醜悪な事か。
「しょのポーチにいれてちたんでしょー?まーどーぐらもんねー(そのポーチに入れてきたんでしょ?魔道具だもんね)」
「それは本当ですか?ちょっと失礼!」
「いやっ!ちょっと、何すんのよ!」
元女神の抗議の声も無視して、テイルスミヤ長官が奪うようにポーチを取ると、黒いウニョウニョが出てるポーチを、繁々と眺める。
取り返そうと手を伸ばす元女神を、カイル先生が押さえ込んでる。
チチャール先生までポーチをガン見して、
「成る程、中途半端に呪いを解いたせいで、性能が変わり、魔物を一体だけ生きたまま収容出来る魔道具になったようですね。道理で学園のバリアに反応しないわけだ」
「…………………それは、この女生徒が犯人と言うことですか?」
「違うわ!私は皆を救ったのよ!こんな扱い間違ってる!」
「ええ、犯人でしょうね。マンイーターの魔力の残滓が残っています。大方自分の都合の良いように改造した魔物を、持ち込んだのでしょうね」
「魔物の改造とは、また物騒な事をしでかすものだ」
「じーびゅんのしぇーれーちゅかったんでしょー?(自分の精霊つかったんでしょー?)」
「精霊?確かに彼女は、精霊に付かれたからこの学園に途中編入を許しましたが?」
「しょのせーれーちゅかって、まーものかいじょーちたんれしょー?いま、しぇーれーいないち。みんなきえちゃったもんねー(その精霊使って、魔物改造したんでしょ?今、精霊居ないし。皆消えちゃったもんね)」
「う、う、う、五月蝿いわね!あんたには関係無いでしょ!」
「それが本当ならば由々しき問題ですね。貴女の魔力量では学園に在籍する権利も失いますから」
「そ、そりゃ、私の魔力は少ないけど、皆を救う為に命懸けたのよ!」
「まだとぼける気ですか?貴女に魔力は無いでしょう?精霊の力を自分の力と偽って編入試験も誤魔化したようですし。現に今の貴女からは、一欠片の魔力も感じませんよ!」
「元々この学園に入る資格すら無かったと?その上で、このような事件を起こすとは」
学園長の視線が物凄く冷たい。
部屋の中に居る全員が、元女神を犯人と断定。
本人だけが、無駄に抵抗してる。
「この事件は、精霊を使った魔物の改造など、学園内で処理するのは危険ですね。騎士団に通報します。その前に彼女を在学無効とします」
「な、な、なんでよう!私は皆を救った聖女でしょう!なんで私が疑われて、退学になるのよ!こんなの許さないから!」
「おまーのゆるちなんていりゃねーち(お前の許しなんていらねーし)」
「退学では無く、在学無効です。貴女がこの学園に在籍していた事を無効とします!警備員を呼んで、この部屋で暫く見張るように、騎士団に連絡しますので、到着し次第速やかに引き渡すように」
学園長が部屋の外に待機してた学園の侍従さんに言うと、侍従さんは素早く移動、警備員を呼びに行ったのだろう。
間も無く警備員を連れて戻った侍従さんと警備員に、後の事を任せて、
「さて、卒業パーティーの続きをしましょうか」
と部屋を出て行った。
俺達もその後を追う。
後ろでなんか叫んでるけど、全員ガン無視。
さて、今度こそ、楽しいパーティーの始まりです!
でもその前に、庭をちゃんと浄化しないとね!
綺麗に浄化は出来たけど、焦げたり溶けたりした木や草は戻らない。
学園長がちょっと悲しげな顔をしてたけど、気を取り直して、パーティーの再開を宣言した。
その後のパーティーは大いに盛り上がった。
多少の危険は、なんかのスパイス的な盛り上がり。
お酒に慣れてないのに、ガバガバ飲んでへべれけになる生徒が多数。
学園のパーティーなので、弱いお酒しか置いてないのに、皆、よくそこまで酔えるね?って程。
酔った勢いで凄い絡まれる!
特に酔った令嬢の、愚痴が止まらない!
アールスハインに色仕掛けをしたいのに、幼児な俺が居るから上手く行かない!とか、俺に言うことじゃないと思うの!
なので、そんな奴には片っ端から酔い醒ましの魔法玉をぶつけてやりました!
酔いが醒めた途端、顔を真っ青にして物凄い早さで撤収していった。
そしてアールスハインと離れた隙に、ブロッコリー侯爵子息にも絡まれた!
最後通告だ!とか言ってたけど、それでもしつこく条件の話とかをしてくるから、鼻くそほじりながら聞いてたら、怒り出したので、鼻くそをポイッとね!
流石に目の前で爆発はさせませんよ?助は慌ててたけど!
その代わり、頭頂部に着弾した鼻くそを起点に、ブロッコリー侯爵子息の髪が、クルンクルンと丸まっていくのを観察。
やがて見事なブロッコリー頭の完成!勿論、アフロ的なファンキーなのでは無く、ただただもっさりとしたブロッコリーヘア!
シェル撃沈。
助も口許を隠し、必死に笑いを堪えている。
気付いて無いのは本人のみ。
「ちょっ、ケータ、なんであんな頭にしてんの?!」
「ぶりょっこりーこーしゃくらから、ぶりょっこりーあたまちたよ!(ブロッコリー侯爵だから、ブロッコリー頭にしたよ!)」
「グフッ!イヤ、ロッコリー侯爵だから!ブロッコリー侯爵じゃないから!」
「しょーらっけ?」
「あれだけ毎回名乗ってたのに、ホントに覚える気無かったのね!」
笑いながら呆れられました!
周りの人達も気付いて、必死に笑いを堪えています。
取り巻きの一人が、ブロッコリー侯爵子息にこそっと耳打ちすると、頭に手をやって、ワナワナするブロッコリー侯爵子息。
ポケットから手鏡を取り出し自分の頭を見たのか、更にワナワナ。
その度にワサワサするブロッコリーヘア。
周りで見てた誰かが、ブフッ!と吹き出したのを切っ掛けにドッと笑いが起こった。
ワナワナワサワサしながらもブロッコリー侯爵子息は、恥ずかしくなったのか、走り去って行った。
外はだいぶ暗くなって、そこここでピンクな雰囲気のカップルが多数誕生して、酔っ払いがホールの隅に転がる頃、新生徒会長のメガネが、閉会の挨拶をして、卒業パーティーの終了。
後は部屋に帰って、アニマル達をモフり、風呂入って寝た。




